こんにちは。けーすけです。前回はmxHeroのFusionルール設定値のサンプルを書きました。今回は少し目先を変えて、トライアル開始から運用までの流れを記載します。
この記事で説明する範囲
mxHeroのトライアル前の準備から運用開始までの標準的な流れを記述しています。
注意点
- 2022年4月20日現在の情報に基づきます。
- mxHeroの性質や用語、基本設定について、ある程度知識をお持ちのかたが前提の記事になっています。よくあるお問い合わせなども併せてご参照ください。
トライアルの前提条件
メールシステムとして
- Exchange Online
- Google Workspace
オンラインストレージアカウントとして、
- Box(Business Plus以上推奨)
- GoogleWorkspace
- OneDrive for Business
いずれかの新規環境が用意できること。
また、レコード編集が可能な独自ドメインを保有していること。(サブドメインで構いません)
なお、本番環境でのオンラインストレージ側のプランのご検討については、以下をご参照ください。
添付ファイルの保存容量や制限について
参考記事
予備知識
初期設定
- Google Workspace環境(GmailとGoogleドライブ)でのmxHero Fusionの初期設定
- Exchange OnlineとBox環境でのmxHero Fusionの初期設定
- mxHeroのExchange OnlineとOneDrive for Business環境での初期設定
- Google Workspace(Gmail)とBox環境でのmxHero Fusionの初期設定
ユーザー登録
個別機能
本番環境設定値叩き台
基本的なテスト項目
mxHeroバイパス手順(障害時対応テスト)
(必要な場合)
トライアル開始前
環境の準備(mxHEROトライアルテナントサインアップ前)
メール・オンラインストレージそれぞれについて、本番テナントとは別にトライアルテナントを新規にサインアップし、新規の独自ドメインまたは既存の独自ドメインでサブドメインを作成してください。また、Microsoft Defender for Office365など、付帯製品の動作の確認が必要な場合はここで併せてトライアルの手配をしてください。
環境の準備にあたっての注意事項と意図(2022/04/20追記)
冒頭黒字で記載しておりますが、メール・オンラインストレージ両方について、本番テナントとは別にトライアルテナントを新規に取得する想定でご案内しております。
単純に、メール関連のシステムはDNSレコードなど、メール全体に影響をおよぼす設定があり、本番環境へのいきなりの適用は全体への事故を招くということもございますが、それ以外に以下の意図によります。
- まっさらの状態からさわっていただくことで、オンラインストレージ側での設定変更によるmxHEROの動作への影響をご把握いただき、お客様本番環境へのmxHERO適用時に設定の差異が吸収できるようにすること
- 本番環境稼働開始の際に、少数のライセンスを割り振り、検証環境として残していただくことで、本番環境への変更適用前のテストを可能にし、事故を防ぐこと
特に、mxHEROライセンスのみのご購入でご検討されている場合は、ぜひご実施いただければと思います。
なお、mxHEROの最低購入ライセンス数は20ライセンスですが、テナントごとではなく、1社あたりの制限ですので、例えばテナントが2つあっても、最低購入ライセンスは20です。40とはなりません。
トライアル環境の想定構成図
mxHEROサインアップ前の環境の準備
本番テナントとは別に新規取得したトライアル環境の初期設定を行い、独自ドメインの適用後に、単体でメールの送受信と、ファイルの保存を確認してください。また、mxHeroの設定で利用するグループなどを事前に作成しておくと、後の作業が楽になります。具体的には以下について、”初期設定”の記事の前半部分を参考に設定してください。
- 新規取得したトライアルテナントへの独自ドメイン適用
- mxHeroの適用対象指定用グループの作成
- テスト用ユーザーアカウントの作成
- 代表アカウントに保存する場合
- テストユーザー用メールアカウント(mxHeroでの送受信のテスト用)
- 添付ファイル保管用代表オンラインストレージアカウント(認証用アカウントを兼ねていますが分けても構いません。人に紐付けないでください。)
- 共有取り消し権限者用オンラインストレージアカウント(取り消し処理を複数人で分担することが決定している場合)
- アカウント個別に保存する場合
- 認証用アカウント(人に紐付けないでください)
- テストユーザー用メールアカウント(mxHeroでの送受信のテスト用)
- テストユーザー用添付ファイル保管用オンラインストレージアカウント(ユーザー用メールアカウントと同数)
- 共有メールボックスなどのグループメールアドレスの利用時に保存先とするオンラインストレージアカウント
- 代表アカウントに保存する場合
- 作成したユーザーのメールシステム側グループへの組み込み
- Microsoft Defender for Office365など、付帯製品の組み込みと有効化
- メールシステムでのmxHero組み込み前の送受信テスト
- オンラインストレージの動作テスト
トライアルの開始の連絡と、mxHEROトライアルテナントのサインアップ
ここまで完了したら、弊社営業までご連絡ください。mxHEROのトライアル開始の手配をいたします。開始までは概ね5営業日を見込んでください。また、その際トライアルで利用するドメイン名を併せてお知らせください。弊社側手続きが終わり次第、サインアップ用のURLを営業からご案内いたします。
その後、ご案内したURLにてサインアップいただいた直後から構築作業が可能です。また、トライアル期間は14日間となります。
トライアル開始後
mxHeroの初期設定と接続テスト
mxHEROテナントのサインアップの完了後に、”初期設定”の該当記事の後半部分を参考に設定してください。設定が終わったら、以下を行い動作確認をします。
- 動作確認用ユーザーのmxHero登録
- 動作テスト用Fusionルールの作成
- 送信テスト(添付ファイルなし)・
- 送信テスト(添付ファイルあり)
Fusionルールを作り込む前に、”初期設定”の該当記事の末尾にあるようなシンプルな設定で一度動作確認を行ってください。
検証用Fusionルールの作成とテスト
検証用のFusionルール(送信)を作成します。
明確に方針が定まっていない場合は、mxHeroのFusionルールの設定値サンプルと考慮ポイントの記事を参考にして一度設定し、そこから運用イメージに合わせて変更してください。
ほか、
- 共有取り消し処理の検証
- mxHeroの除外設定の動作確認
を行います。
また、基本的なテスト項目の記事を作成いたしました。必要なテスト項目を網羅するものではありませんので、実施にあたっては適宜テスト項目を加除してください。
また、汎用的な設定ではありませんが、必要に応じて以下も行ってください。
- mxHero側のグループ作成
- mxHero側のグループを利用したルールの複数設定
オプション機能の確認
必要に応じ、以下のオプション機能について動作確認・設定します。
要求されるケースが限定的なため個別記事にしていませんが、SecureEmailについても必要に応じてテストしてください。
ユーザー登録方法のテスト
個別登録・CSV登録についてテストします。ディレクトリ同期については、全ユーザーが同期されるため、環境に合わせて要否を決定してください。また、CSVでの登録は多少クセがありますので、以下の手順を参照してください。
mxHeroの一時的なバイパス手順のテストと、障害対応フローの検討
mxHeroでの障害発生時に備え、バイパス操作を一度テストし、mxHeroを経由せずに正常にメールの送受信ができることを確認します。このとき、障害発生時の対応フローについても大まかに検討しておくとあとがスムーズです。
- 障害発生時の社内周知の方法
- 障害発生中のユーザーの暫定対応の手順
達成度評価と関連手続き
ここまで完了したら、目的に対しての達成度の評価を行います。mxHeroの機能が目的に対しての要求を満たす場合は、社内稟議についてご準備いただくとともに、弊社にご連絡ください。なお、その際に、以下をご確認いただき、1と2いずれのテナント構成にするかについてもお知らせください。
なお、1テナントのみでも構成・契約可能ですが、機能のアップデートが頻繁に行われるため、本番環境のみで構成することはおすすめいたしません。
トライアルを行ったテナントと本番テナントについて
本番導入する場合に、以下の二つの方法が考えられます。
- トライアル環境に本番用ドメインを追加する
(1テナントに2つのドメインを登録する) - もう一つのテナントを立て、そちらで本番テナントを設定する
(トライアル環境はテスト用の完全に分離されたサンドボックス環境として継続し、本番ドメインを別のテナントとする。)
1の場合、サインアップの手間はかかりませんが、mxHero側で本番ドメイン分の設定などはいずれにせよ必要であり、あまり工数削減に結びつきません。そのため、基本的には2の本番テナントは別途立てる方向でご検討ください。
また、最低発注数についてはテナントごとではなく、一社に対しての最低発注数になりますので、例えば、
本番テナント 240ライセンス
テスト用テナント 3ライセンス
というように、テナントごとのライセンス数量が最低契約数を上回っていなくても問題ありません。合計数量が上回っていれば大丈夫です。
おわりに
mxHeroのトライアル開始から本番環境導入直前までの流れを記載いたしました。基本的にこの流れに沿って進めていただければと思いますが、汎用的な記載になっておりますので、固有の要件が多い場合は弊社コンサルティングサービスの利用につきましても弊社営業にご相談ください。
以上、けーすけでした。