企業導入する生成AIの史上最強はNotion AIだと思う安いし

Shinji Saito
Shinji Saito

代表取締役社長 / 文部科学省 最高情報セキュリティアドバイザー

シンジです。社内で最近よく聞くのが、「Notion AI、これ普通にすごくないですか?」という声です。特にエンジニアチームのおかしんさんは Slack で 「Notion AIってなんでこんなに優秀なんだろう。不自然に優秀。」 と首をかしげていました。シンジ自身も、企業導入する生成AIとして見たときに Notion AIはかなり完成形に近いと感じています。Claude や ChatGPT のようなモデル直契約にいきなり全社を乗せる前に、まずは

  • Notion(ワークスペース) を標準の仕事場にする
  • その上に Notion AI を乗せる

この順番で設計したほうが、コスト・運用・拡張性のバランスが取りやすい。今日はその理由を、できるだけ具体的に書いてみます。


「Notion+Notion AI」を全社標準にして、足りないところだけ専用AIを足す

最初に結論だけ整理すると、シンジのスタンスはこうです。

① まず Notion を「組織のOS」として導入する

社内Wiki、プロジェクト管理、ナレッジ・FAQ、ミーティングレコード。 この「仕事の一次情報」を、できるだけ Notion に寄せていく。今のシンジならNotionAPIキー発行してClaude Code使って社内のドキュメント周りは全部AIにぶち込ませます。

② そこに Notion AI Enterpriseライセンスを全員分つける

要約、リライト、文章生成、構成案、ブレスト、軽いコード補助。 毎日使う仕事場の中で、自然にAIが使える状態を作る。

③ それでも不足する一部のパワーユーザだけ、専用AIを追加で配る

たとえば Claude Code / ChatGPT Codex など。「全社標準」ではなく「必要な人にだけ」尖ったツールを足す。

要するに、

この設計を Notion+Notion AI で作るのが合理的、という話です。


そもそも Notion が組織に入るだけで起きる変化

Notion AIの話に入る前に、「無印 Notion」だけでも組織はだいぶ変わる、という話をしておきます。

「ドキュメント」と「データベース」が同じ世界にいる

Notion が強いのは、ページ(文章)とデータベース(構造化データ)が同じ場所にあることです。

  • 1つ1つのページが、そのまま「レコード」になる
  • テーブル、ボード、カレンダー、タイムラインなど、ビューを切り替えるだけで管理の見え方が変わる
  • レコードの中に自由なリッチテキストが書けるので、「仕様書+チケット」「議事録+タスク」が自然に同居する

イメージとしては、Confluence + Jira 的な、Asanaな運用を、よりライトに自分たちで回している感覚に近いです。あくまでライトですよ。

Claude Codeで作ったカジュアルなプログラムを社内展開するとき、そのデータベースをクラウドインフラで作らずに Notion をデータベースとして使うこともよくやります。コスパ最強。

ミーティングレコードが「流れずに残る」

会議のメモ、決定事項、宿題、アクションアイテム。これらを Notion のページやDBに載せていくだけで、「あの会議の結論どこ?」が減ります。

さらに、後から入ってきたメンバーにも経緯ごと引き継げる。プロジェクトや担当者のビューに紐づけておけば、「会議のログ」が検索できる資産になります。

最近の Notion はミーティング関連の体験も強化されていて、会議ログの整理や共有が以前よりやりやすくなってきたと感じます(ここは組織の運用設計次第で効果が変わります)。

デスクトップアプリを入れておくと、Zoomが始まったタイミングでNotionがメモ取りましょうかって聞いてきてくれるの最高です。勝手にメモってくれます。

デスクトップ・モバイル・ブラウザ、どこでも同じ体験

専用デスクトップアプリ、スマホアプリ、ブラウザ。 基本的にどこからでも同じワークスペースに入れるので、

  • 「家のPCだから開けない」
  • 「出先なのでメモだけローカル」

みたいな断絶が減ります。ネイティブアプリが用意されてるのはいいですね。仕事の一次情報が、1つの場所に溜まり続けるのが良い。


Notion API は正直つらい。でも Notion AI がその「つらさ」を吸収してくれる

ここで一度、Notion API の話をします。

率直に言うと「Notion API はきれいだけど、実務でガチ連携するには結構しんどい」というのが本音です。

  • スキーマ設計・変更の影響範囲の追いかけ
  • Rate limit やクエリの制約
  • Notion的な"ページ+DB+権限"の世界観を外部から完全に再現する難しさ

このあたりを真面目にやるほど、「全部APIで自動化する」のはコスパが悪い結論になりがちです。

そこで Notion AI が効いてきます。

本来なら「API + 中間サーバー + スクリプト」でやるような整形、要約、集計、レポートの草案生成といった仕事が、ページの中で自然言語で指示するだけで済むケースが増えるからです。

体感としては、

に寄せたほうが、運用が壊れにくい。この感覚が、Notion AIを企業標準に推したい理由の1つです。


Notion AI が「企業向け生成AI」として強い理由

ここから Notion AI 本体の話です。「企業導入する生成AI」として Notion AI を推したい理由を、順番に書きます。

1. モデルではなく「ワークスペース」にAIが埋め込まれている

Claude や GPT の Enterprise は、どちらも「強力なモデルへのアクセス」が中心です。一方 Notion AI は、モデルそのものというより仕事場(ワークスペース)にAIが入っている設計です。

つまりユーザは、「プロンプトを書く専用の場所に行く」のではなく、いつも仕事しているページの上で、そのまま指示するだけでAIを使える。

既存ページのリライト、ミーティングノートの要約、DBのレコードからレポート草案。このあたりが同じ場所で完結するのは、企業導入では地味に大きいです。

社内ナレッジを活かしたAI運用を、別途RAG基盤やナレッジベース製品で組むと、設計も運用も重くなります。 Notion AIは、「Notionワークスペースそのものがナレッジベース」になり得る。ここは導入の初速が全然違います。

2. チャット画面でのコンテキスト注入の体験

Notion AI のチャット画面を開いた状態で、@メンションでページを指定する、ページ内のブロックを選択する、文字を選択する。これだけで、その情報が会話のコンテキストに明確に注入されます。

Claude や ChatGPT のチャットだと、「このドキュメントを読んで」とやるためにコピペするか、ファイルをアップロードする必要がある。Notion AI は、いま見ているページのいま選んでいる部分がそのままAIとの会話に入る。

しかもこれがすぐ切り替えられる。さっきは仕様書の一部を選択して「これ要約して」、次は別のページを@メンションして「こっちと比較して」。この往復が、同じ画面の中で一瞬で終わる。

その他インラインDBのアイテムなど、Notion上で選択可能な要素は大体、クリックや部分選択でコンテキストに注入したり外したりできるため、AIに対してコンテキストを明確に伝えるコストが圧倒的に低い。この体験は他のAIにはない唯一無二の機能。NotionのAI担当めちゃ賢い人なんだろうと思う。

というわけで、「ワークスペースにAIが埋め込まれている」の実態は、こういうコンテキストの出し入れの摩擦がゼロに近いところに表れています。

3. 配布しやすい。導入が「一発で終わる」

企業でAIを全社に配るとき、最大の敵は「配布」と「定着」です。

  • 強いAIを契約した
  • でも使われない
  • ルールが定まらない
  • 情報が散らばって仕事に効かない
  • AIに繋ぎたいSaaSが繋がらない

このパターンが多い。

Notion AI は、Notionという仕事場に同居しているので、配布と定着が同じ意思決定で進みやすい。Notion を標準ツールに据えるだけで、AIの利用も自然発生しやすい。

ここが経営目線でかなりありがたいポイントです。

4. 「モデル選定の運用コスト」を外部化できる

生成AI導入の現場では、実はモデルの性能そのもの以上に

  • どれを標準にするか
  • いつ更新するか
  • 変更の影響をどう検証するか
  • 調達・法務・セキュリティの説明をどう回すか

の運用コストが重いです。

Notion AI は、ユーザ体験としてはNotionのボタンを押すだけになりやすい。裏側のモデル選定や更新の波を、一定程度 Notion 側に任せられる。

この「更新と統合の運用コスト」を外部化できるのは、企業導入ではかなり効きます。

5. 情報ガバナンスの境界線が引きやすい

企業で生成AIを入れるときに一番揉めるのは、「どこまでの情報をAIに出していいのか」です。

Notion AI の良いところは、情報がすでに Notion ワークスペースに載っていて、その範囲でAIに処理させるというフローになりやすいことです。

  • 機微情報を Notion に載せるポリシーをどうするか
  • ワークスペースの権限設計をどうするか

この議論を先に固めれば、「その範囲内でAIをどう使うか」の設計が進めやすい。

AI導入の議論が、"情報管理の議論"と直結しているのは、実務上かなり助かります。


カスタムエージェント:Notion AIが「機能」から「基盤」に変わった瞬間

ここまで書いてきた Notion AI の話は、主に「人間がAIを呼び出す」体験でした。

2025年2月にリリースされたカスタムエージェントは、この前提をひっくり返します。

AIのほうから動く。

howdy39 さんが早速まとめてくれていますが、これは Notion AI の「機能」が「基盤」に格上げされた瞬間だと思っています。

「人が呼ぶAI」から「勝手に動くAI」へ

今までの Notion AI は、あくまで人間が「AIボタンを押す」か「チャットに質問する」ことで動いていました。パーソナルエージェントも便利ではあるものの、個人ごとに設定が必要で、人間が手動で呼び出す必要がある。

カスタムエージェントは違います。

  • 定期スケジュール:日次・週次・月次・年次で自動実行
  • Notionイベント:ページへのコメント追加、データベースへのページ追加・更新・削除、ページやコメントでの@メンション
  • Slackイベント:パブリックSlackチャンネルへの投稿や絵文字リアクション

Slack×Notion×Claude Code の連携構想

カスタムエージェント単体ではなく既存の仕組みと組み合わせる発想です。

たとえば、Notion API や Notion MCP 経由で、Slack のワークフローや Claude Code からNotionにページを作成する処理を組んでおく。すると、ページが作られた瞬間にカスタムエージェントの Notion トリガーが発火して、AIが自動で動き出す。

これを応用すると、

  • 問い合わせの入口は Slack ワークフロー(ユーザーが使い慣れた場所で受ける)
  • 一次回答は Notion AI のカスタムエージェントが自動で返す(Notion 上のナレッジを参照して)
  • 情報の整理や分類も Notion AI が勝手にやってくれる(DBへの振り分け、タグ付け、要約)

みたいな設計が組める。

カスタムエージェントの「トリガーで自律的に動く」という特性と、Notion API / MCP の「外部から Notion を操作できる」という特性を掛け合わせると、Slack を入口にしながら Notion AI を処理エンジンとして回すアーキテクチャが作れるわけです。

howdy39 さんの表現を借りると、これは「優秀な新メンバーが来た」のではなく、「昔からいた人が一人増えた」感覚です。NotionのDBやSlackの内容を踏まえた上で動いてくれるので、社内のコンテキストを理解した状態で仕事をしてくれます。

コードもフローチャートも不要

ここが一番大きいと思っています。

カスタムエージェントには

  • コードが出てこない
  • 黒い画面でコマンドを打つ必要がない
  • フローチャートのようなものを描く必要がない
  • エージェントを動かす端末や環境を別途用意する必要がない

必要なのは、ブラウザとNotionと、連携させたいクラウドサービスだけです。

howdy39 さんが書いている通り、「働く人みんなの生産性を上げるには、AIエージェントを誰もが簡単に作れることが条件」で、Notion カスタムエージェントはその壁を早いタイミングで超えてきたプロダクトだと感じています。(後半で書くGleanでも出来ることではあるのですが)

コスト管理は正直まだ課題

一方で、カスタムエージェントは従量課金です(2026年5月4日以降)。既存のAI機能はシート課金に含まれたままですが、カスタムエージェントは使った分だけクレジットを消費します。

howdy39 さんも指摘していますが、現時点のコスト管理UIはかなり見えづらい。

  • エージェント作成者がログを見ても、どれくらいクレジットを使っているか分からない
  • ワークスペース管理者も、エージェント単位の合計は見えるが、アクティビティ単位のコストは見えない
  • 定額だと思って使い込んでしまう人が出る可能性がある

これは Notion 側に改善をフィードバックすべきポイントです。機能としてはめちゃくちゃ良いが、コストの透明性がまだ追いついていない。

ただ、従量課金の開始が2026年5月なので、それまでに改善されると信じて先に運用ノウハウを溜めておく、というのが現実的な判断だと思っています。

今のところは使い放題なのでやりたい放題です。


ミーティングレコードとアプリ体験:日々の仕事の「その場」にAIがいる

Notion AI の体験で、個人的に一番「企業向けだな」と思うのは、ミーティングレコードや議事録の文脈です。

AIミーティングノート:会議が勝手に残る運用に寄せられる

Notionには、ミーティング関連の機能があります。

ポイントは、単に文字起こしができる、ではなく

  • 会議ログがワークスペースに残る
  • 要約・タスク抽出が同じ場所でできる
  • 共有の摩擦が減る

という運用設計まで含めて一体化できることです。

ミーティングから「意思決定」と「タスク」が落ちてこない問題への解

どの組織でも、

  • 会議はしている
  • メモはある
  • でも「何が決まって、誰が何をやるか」が曖昧

という問題があります。

Notion の議事録を取りながら、その場で Notion AI に

  • 決定事項だけ抜き出して
  • TODOだけ抜き出して
  • 担当者ごとに整理して

をやらせると、「流れるミーティング」が減ります。

議事録が読むものから、動くものになっていく。

ここは、NotionがDBとページを同居させている強みと、AIが刺さるポイントが重なります。

デスクトップ・スマホで「すぐ追記 → すぐAI処理」

電車の中でメモしたアイデアをモバイルでNotionに書いておいて、オフィスでデスクトップからAIに「ブログ案にして」と投げる。この動きが、同じワークスペースの中で完結します。

別のメモアプリ、タスクアプリ、AIチャットを別々に開くより、摩擦が少ない。企業でAIを定着させるには、この摩擦の差が効いてきます。


「コード用AI」としても、Notion AIで足りるケースは多い

もちろん、コーディング特化の環境(CLI連携やIDE連携、外部ツール統合が強いもの)を重宝しています。本気で開発するなら、専用環境の価値は大きい。

ただ、企業全体で見るとニーズの多数派は

  • ちょっとしたスクリプト
  • 既存のコード片の解説
  • 疑似コード
  • 社内向けツールの下書き

このあたりです。

この用途なら、

で十分なケースがかなりあります。

結果として

  • コア開発チームは専用AI
  • それ以外の大多数は Notion AI

という二層構造が、費用対効果と運用の両面で現実的だと感じます。


「管理画面」を見ると分かる。Notion AIは機能ではなく土台になりつつある

ここからは、Notion AI の管理・運用の観点です。Notion AI を「単なるAI機能」ではなく「AIの土台(プラットフォーム)」だと感じている理由がここにあります。

パーソナライズ:チームごとにAIの役割を変えられる

Notion AI には、ユーザーやチームの文脈に寄せた使い方をしやすい仕組みがあります。

企業導入で地味に重要なのは、全社で画一的なAIを配るより、業務ごとの"使い方の型"を作ったほうが定着することです。

  • セールス向けには提案書寄り
  • エンジニア向けには技術寄り
  • バックオフィス向けには規程・手順寄り

この型を作りやすいのは、実務では強いです。

現時点で主要生成AIではGoogle Work SpaceのAIだけがこのパーソナライズに対応していません。悲しい。

パーソナライズはAIが勝手に更新していく

Notion AI のカスタム指示は、Notionのページとして定義されます。つまり、ただのテキストファイルではなく「Notionのページ」なので、AIエージェント自身がそのページを書き換えることもできるし、人間が会話の途中でさっと編集することもできる。

さらに、カスタム指示をDB化して複数パターン持っておけば、用途に応じてすぐに切り替えられる。「セールスモード」「技術サポートモード」「社内FAQ モード」みたいな使い分けが、プロンプトのコピペではなくDBのビュー切り替えで回せる。

これ、カスタムエージェントの機能ではなく Notion AI の基本機能でできる(つまり追加課金なし)。

他のAIエージェントツールだと、カスタム指示は管理画面の設定項目として固定されていて、AI自身が自分の振る舞いを更新するループが作れない。Notionは「設定もコンテンツもすべてページ」という設計思想だからこそ、この柔軟さが自然に生まれている。

パーソナライズはAI利用する上でかなり重要なので、使えば使うほど他AIとの差が出てきます。

AIコネクター:Notionの外の情報を横断して引ける

Notion AI は、外部サービスと接続して情報を参照できる仕組み(いわゆるコネクター)があります。うちの環境でも、Asana、Box、GitHub、Gmail、Google Calendar、Google Drive、Slack などを使っていて、ここは実務に効きます。

企業の情報は1つのツールに閉じていません。

  • Slackに散らばった議論
  • Driveにある提案書
  • Asanaの進捗
  • Boxのファイル

これを横断して「今どうなってる?」を聞ける体験は、単体のAIチャットとは別物です。

(もし使うなら)MCPなどの拡張:自社ツールや独自連携の余地がある

Notionは拡張や連携の選択肢が増えています。標準コネクターで足りない場合に、より柔軟な連携を検討できる余地があるのは魅力です。

例えば、税理や法務につよい外部MCPを繋いで、社内経理をサポートしてもらったり、Microsoftにやたらと詳しい公式MCPを繋いで技術的回答をしてもらったり、社内ナレッジだけではなくて外部の脳みそをぶち込めるのは助かります。

やろうと思えば画像生成も動画生成もその他もろもろいろんなもの繋いで何でも出来そうな気がします


社内での使われ方:Notion AIは「議事録」と「ナレッジ」で一気に効く

社内でも Notion と Notion AI、ミーティング運用はかなり実戦投入されています。

  • 議事録の骨組みをAIで作ってから、人間が検証・追記する
  • プロンプト例やコツを Notion に溜めて、困っているメンバーに共有する
  • 外部向けの議事録でも「AI要約+人間追記」という型が作れる

このあたりは「全社標準AI」として効きやすい。

理由は単純で、議事録とナレッジは社内の共通言語になりやすいからです。 AI導入のROIを早く出したいなら、ここから入るのが強いです。


Glean との比較:「インデックス型AI」は何が違うのか

ここで、少し別の角度の話をします。

社内で Notion AI とは別に、エンタープライズ検索AIの Glean も導入して触っています。Glean は社内の全てのデータを取り込んでAIに回答させるタイプの社内検索基盤みたいなやつです。弊社は Glean の販売パートナーになろうかどうしようか悩んでいて、とりあえず最上位プランを買って導入して試験中です。両方を使い比べた上での所感を書きます。

正直に言うと、最初は

「Glean、これ Notion AI のコネクターとほぼ同じことやってない?」

と思いました。

どちらも Slack、Google Drive、Box、GitHub などの外部サービスを横断してAIが答えてくれる。表面的な体験は似ています。

でも、Gleanの場合は裏側のアーキテクチャがまったく違う。そして、その違いが効いてくる条件も違います。

Notion AI は「リアルタイムに聞きに行く」設計

Notion AI のコネクターは、ユーザーが質問したタイミングで外部サービスにクエリを投げて、結果を取ってくる方式です。データのコピーは持っていません。

メリットは、常に最新の情報にアクセスできること。デメリットは、事前にデータを学習していないので、「この会社固有の言い回し」や「人とプロジェクトの関係性」を理解する深さに限界があること。

AIにありがちですが、同じ質問をしても同じ回答が返ってこないということです。

Glean は「全部吸い込んで、関係性ごと理解する」設計

Glean は、接続先のデータを事前にすべてクロールして、ベクトル化して、独自の Knowledge Graph を構築します。もともとGleanの中の人は、Googleの人なので、検索エンジンとインデックスという概念がGleanには存在します。そして人・コンテンツ・アクティビティの関係をグラフ構造でモデル化する。

これによって、Notion AI のコネクターでは難しいことがいくつか可能になります。

① 人とプロジェクトの「関係推論」

「Q3のロードマップ」と聞いたとき、「秋の計画ドキュメント」のような別の表現で書かれたものも、同じ文脈だと理解して引ける。ドキュメント同士、人同士の関係をグラフで辿れるので、複数のデータソースをまたいだ多段階の推論ができます。

② ユーザーごとの検索パーソナライゼーション

同じ「予算計画」で検索しても、セールスの人とエンジニアの人で違うドキュメントが上位に来る。Gleanは共有されたドキュメント、チーム内のトレンド、所属部署、よく使うアプリなどのシグナルを検索結果に反映します。

③ エキスパート検出

「この件について詳しい人は誰?」が分かる。Knowledge Graph が人とコンテンツの関係を理解しているからこそできる機能で、ドキュメントが見つからなくても「この人に聞けばいい」を返せます。

④ 権限のインデックス時焼き込み

Notion AI のコネクターもリアルタイムで権限チェックはしますが、Gleanはインデックス構築時に権限をベクトルDBに焼き込んでいるため、検索の速度と権限同期の確実性が一段上です。

ただし、38人規模では正直「効きにくい」

ここが重要なところです。

Glean の Knowledge Graph が真価を発揮するのは、組織が数百〜数千人規模で、情報サイロが深刻になっているケースです。

うちのような38人の組織だと、

  • Knowledge Graph → 人間関係がそもそも全員分かっている。「誰に聞けばいいか」をAIに聞く必要がない
  • パーソナライゼーション → チーム数が少ないので、同じ検索で同じものが出ても困らない
  • エキスパート検出 → Slackで聞けば済む
  • 情報量 → インデックスの事前学習が効くほどのドキュメント量にまだ達していない

つまり、Gleanのインデックスが真価を発揮する「組織の複雑さ」に、まだ到達していない

一方で、Glean の年間コストはそれなりの金額になります。38人で割ると、1人あたりのコスト感もかなり上がる。

Notion AI が「仕事場のAI」だとしたら、Glean は「組織全体の知識基盤AI」。レイヤーが違うので、組織規模によっては両方使うことも普通にあり得ます。

AIだけで言ったらGleanの方が断然上位版って感じではあります。セキュリティオプションもかゆいところに手が届いてますし、社内検索用途だったり検索した結果でセキュリティを施してくみたいなアプローチはGlean圧勝です。あとなんかGleanは細かいバグが多くてサポートとのやりとりが多い感じです。これは管理者視点ではありますが。

マジで余談ですがGleanはGCPにセルフホストもできます。セキュリティのあれこれが厳しい環境向けですね。さすがEnterprise専用サービス。


Claude / ChatGPT の Enterprise と何が違うのか(使い分け)

よく名前が挙がる「モデル直契約」と、Notion AI の使い分けです。

モデル直契約は「土台を作るチーム」に向く

Claude / ChatGPT の Enterprise は、企業にとって強力な選択肢です。特に、

  • 自社プロダクトへのLLM組み込み
  • APIでの大規模自動化
  • セキュリティ運用や問い合わせ対応など、専用ワークフローの構築

のような「AIを使った仕組みを作る側」には向きます。

ただし、全社員に配って毎日使ってもらうには

  • コスト
  • トレーニング
  • ガバナンス
  • 情報の集約

がボトルネックになりがちです。

Notion AI は「利用者側」に最適化されている

一方 Notion AI は、

  • すでにある仕事場(Notion)
  • すでにある情報(ページとDB)

の上で、そのままAIを回せる。

つまり、「AIを日々の仕事で使う側」に最適化されたプロダクトだと感じます。

導入順としては

  1. まず Notion + Notion AI を全社標準にする
  2. 足りないチームにだけ、モデル直契約や専用環境を足す

のほうが、投資対効果が乗りやすいと思っています。

ちなみにGoogle Work SpaceのGeminiくんは、まぁなんか、おまけってかんじなのでもはや取り上げもしません。完全にGoogleの世界だけで生きていくならいいと思います。いやほんとそうであれば最高だと心から思う。パーソナライズないのはきついけどそのうち実装されるでしょう。個人版は実装されてるので。


まとめ:Notion AI は「企業導入する生成AI」のベースキャンプ

この記事を書きながら改めて思ったのは、AIとの仕事も人間との仕事も、結局のところ 「いかにコンテキストや要件を、正しく実行可能な形で伝えるか」 が一番重要だということです。AIにはゴミを入れるとゴミしか出てこない。

プロンプトの書き方、ドキュメントの構造、ナレッジの整理。 これらは全部、「相手に正しく伝えるための設計」という意味で同じことをやっている。

Notion AI が企業の標準AIとして強いのは、この「伝える」がやりやすい設計になっているからだと思います。

ページの中でコンテキストを@メンションで注入できる。ブロックを選択するだけでAIとの会話に入る。カスタム指示をNotionのページとして定義できるから、AI自身が更新もできるし、人間もすぐ切り替えられる。

そしてもう一つ大きいのは、Notion自身がナレッジベースであるということ。

AIをうまく使うためのプロンプト例、運用ルール、カスタム指示のテンプレート。こういったノウハウを、どんなリテラシーの人に対しても再配布・閲覧・編集可能な形で管理できる。特別なツールや権限がなくても、Notionのページを開けば誰でもアクセスできる。

AIの性能は日々上がっていくけれど、それを組織全体で使いこなすには「ノウハウの民主化」が必要です。Notionは、AIの利用基盤とナレッジの管理基盤が同じ場所にあるからこそ、この民主化が自然に回る。

これがNotion を「組織のOS」として採用する優位性だと感じている一番の理由です。

整理すると、

  • Notion自体が「ドキュメント+DB」の強い組織OSになる
  • AIが仕事場の中にいて、コンテキストの受け渡しの摩擦がほぼゼロ
  • カスタムエージェントで「人が呼ぶAI」から「勝手に動くAI」に進化した
  • AIの使い方やノウハウ自体を、同じNotionの中で誰でも管理・共有できる
  • 議事録・要約・タスク抽出・ナレッジ化が、同じ場所で回る
  • 外部サービス連携(コネクター)で、情報の横断検索に寄せられる
  • ガバナンスの議論が「ワークスペースの権限設計」とセットになりやすい
  • Glean のようなインデックス型AIは、組織規模が大きくなったときに足せばいい
  • その上で、必要な人にだけ専用AIを足す多層構造が作りやすい

なので僕は、「企業で生成AIを入れるなら、まず Notion+Notion AI を標準にしよう」という順番を、割と本気でおすすめします。

その上で、セキュリティチームや開発チーム向けにモデル直契約や専用環境を足す。 組織が大きくなったら Glean のような全社横断の知識基盤を検討する。 さらに特定業務向けに専用のAIワークフローを組む。

この多層構造にしていくと、AI投資のリターンと、運用・ガバナンスの現実解がちょうどいいところに落ちてくるはずです。

まずは、

ここから始めるとNotion導入がコスパ最強で効果も出ます。安くてうまいが存在した。


ここまで来て宣伝ですが、弊社はNotionの正規代理店です。代理店じゃなくてもこの記事は書いてます。いいものはいい、悪いものは悪いというスタンスなので。

価格ですが、Enterpriseプランは公開情報ではないので、お手数ですが必要ライセンス数をお問い合わせください。導入支援も承ります。組織が大きい場合は、PoCしてから一部だけ導入して徐々に展開する方法がおすすめですが、どうやってボリュームディスカウントを効かせるかなど検討の余地が多いので、あわせてご連絡ください。

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