SaaSに搭載されたAIがまともかどうか評価する

Shinji Saito
Shinji Saito

代表取締役社長 / 文部科学省 最高情報セキュリティアドバイザー

シンジです。AIって流行ってますよね。特にSaaSの一部機能として提供されるAIは、基本的に作りがブラックボックスで、その性質や特性を理解するには使い倒すしかない状況です。SaaSベンダーが公表するサマリーは置いといて、実際使ってみた感想、コスパ、注意点などを並べてみます。このAIはやめとけだとか、このAIは使うべきだとかを総評して遠回しに表現します。さすがに世の中の全部を評価するのは大変なので、何を評価したのかは目次を見てください。

指標の内容はこちらです

今回は以下の指標に基づいて、各SaaSのAIの特徴をまとめています。価格は調査時点の物で、今後は変動したりプランが統廃合されるかもしれません。また、搭載されたAIについての全ての機能や制限、あるいは規約を網羅しているわけではありません。
ですが、例えば、「XXXXってそのコスパ出せるんか…」といった疑問には答えられます。

指標名指標の内容・意味
金額SaaSのAIサービスを利用するために、上位プランやオプション契約を必要とするか。標準プランと上位プランで機能が異なる場合は、それぞれの費用を記載する。
規約入力したデータを学習に利用するか、出力したデータの権利はどこに帰属するかなど、規約上注意すべきポイントがどのようになっているか。および、特筆すべき条項があれば、それもピックアップする。
裏側使っているモデルや入力したデータがどこでどの期間保持されるかなど、仕組み的な裏側について記載する。
進化の過程初めは使い物にならなかったけど、あるときにどんなことによって劇的進化を遂げたのか。初めはこれくらいしかできなかったけど、大型アップデートによってこんなこともできるようになった。などの進化の過程を記載する。
特性と向き不向き特性から導き出される向き・不向きをコメントする例えば、会議の書き起こし、要約機能は優れているが、多人数の話者が入り乱れるような打ち合わせには不向き、など。
やってくれること単一機能について記載する。音声書き起こしと要約ができる、コンテンツの要約ができる、アクセスできるデータを使ってのコンテンツが作成できるなど
総評- SaaSを使っているなら、使わない手はない- 現状は飾り- 今後に期待- 雑に使ってもそこそこ使える- 精度のアウトプットプロンプトを作り込めば使える

クラウド/開発者プラットフォーム AI

Amazon Q Developer

指標名Amazon Q Developer
金額Freeプラン(機能制限あり)、Proプラン ($19/ユーザー/月)。Javaアップグレード等の特定機能には追加費用やクォータが存在。
規約Proプランは顧客コンテンツをサービス改善に利用しない。Freeプランは利用する可能性あり(オプトアウト可)。生成された出力は顧客コンテンツ。IP侵害保護は提供されるが制限あり。
裏側Amazon Bedrock基盤(Titan, Claude等複数の基盤モデル)。タスクに応じて最適なFM(基盤モデル)へ自動ルーティング(ユーザーはモデル選択不可)。データ保存場所:Proプランはプロファイル作成リージョン、Freeプランは米国
進化の過程Amazon CodeWhispererから進化・統合 (2024年4月)。SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)全体の合理化、レガシーシステム刷新も視野に。GitLab Duo with Amazon Qが2025年4月にGA。
特性と向き不向きAWSエコシステムとの深い統合が最大の強み。AWSリソース管理、AWS固有タスク、セキュリティ機能に優れる。特化型エージェントによる自律的タスク実行も特徴。AWS中心のプロジェクトや企業導入に適している。モデル選択の抽象化は柔軟性を制限する可能性あり。
やってくれることIDE/CLIでのリアルタイムコード提案、自然言語からの機能実装 (エージェント)、コードベースに関するQ&A、デバッグ支援、AWSリソースのQ&A・管理、脆弱性スキャンと修正案提示、SQL生成、特化型エージェント(開発/レビュー/テスト/ドキュメント/変換)。
総評このAIを導入するまでのAWS側での設定が煩雑で、利用までの手順が多い。開発者支援であれば、他の選択肢のほうがすぐに利用ができるため特別な要件がなければ別の選択肢のほうがおすすめ。

GitHub Copilot

指標名GitHub Copilot
金額Individual (Free, Pro $10/月, Pro+ $39/月)、Business ($19/ユーザー/月)、Enterprise ($39/ユーザー/月)。プレミアムリクエストはプラン許容量超過後、従量課金。
規約Business/Enterpriseプランはテレメトリをモデル学習に利用しない。Individualプランは利用する可能性あり(オプトアウト可)。提案はユーザーが所有する。IP侵害保護はBusiness/Enterpriseプランでフィルター利用時に提供される。
裏側OpenAI Codex (GPT-3/4ベース) およびGitHub Models(Claude, Gemini等)。Copilot Chatではユーザーがモデル選択可能。データはAzureリージョンで処理(GHECではデータレジデンシー選択可)。エディタでのプロンプト/提案は破棄される。
進化の過程コード補完からチャット、エージェント (Copilot X構想)、マルチモデルサポートへと急速に進化。「エージェントの覚醒」というコンセプトやModel Context Protocol (MCP) の統合が進行中。
特性と向き不向き広範なプログラミング言語とIDEをサポート。汎用的な開発者生産性向上に特化(コード補完、チャット、リファクタリング、テスト生成等)。IDEとの強力な統合、コンテンツ除外機能、Chatでのモデル選択が強み。多様な技術スタックでの開発に向く。
やってくれることIDEでのリアルタイムコード提案・補完、Copilot Chat (IDE/GitHub/Mobile/CLI) での対話型支援(質問、コード生成・説明、デバッグ)、リファクタリング、テスト生成、PR要約(Enterprise版)、CLI統合、カスタム指示、コーディングエージェント(Pro+/Enterprise版)。
総評機能開発も活発で、かつ簡単に導入できる。現在GitHubで開発をしている場合はかなり有力な選択肢。利用者も多く、情報も多いため、トラブルシューティングなどもしやすい。

ワークプレイス/オフィススイート AI

個人向けプランおよびAPIサービスは除く。

Google Gemini (in Google Workspace)

指標名Google Gemini (in Google Workspace)
金額Google Workspaceに統合されているのがめちゃいい。ただしStarterプランは提供機能が大きく制限されている。(以下年間契約の月割価格)Business Starter $7, Business Standard $14, Business Plus $22, Enterprise 非公開。
規約エンタープライズグレードのデータ保護に従い、入力は学習利用されない。GDPRにも準拠する。またGoogle社が規定するガードレール機能が有効な状態の出力について、それが商業上の納品物でないかつ利用者自身でリスク認識していないときに、著作権侵害申し立てを受けた場合の法的リスクはGoogle社が責任を負う。入出力アクティビティはGoogle社で一定期間保存され、機械的に監査処理されるが組織外流出することはなく、並行してGWSの監査ログ機能にしたがってテナント内に保存される。テナントの管理者はGoogle Vault で Gemini アプリ/ Gemini for Workspaceの監査が可能。更なる機能追加予定もあり。
裏側テキスト生成はGeminiファミリー(Gemini 2.5Pro/2.5Flash)、画像生成はImagen 3/4、動画生成はVeo 2/3。一部はAPI経由でのみ利用可能。データの取り扱いリージョンは限定できないため、EUデータ境界に対応できない。
進化の過程2023年に登場したGoogle Bardが原点。2024年頭にGeminiにリブランディング。個人向けのアドオン機能として先行展開され、後ほどGoogle Workspaceの有償アドオンとして追加。2025年1月にGoogle Workspaceの標準機能に組み込まれた。
特性と向き不向きGoogle Workspaceで標準利用でき、Google Workspace上のデータとの連携が強み。話題のNotebookLM PlusやDeepResearch機能が標準利用できる。これはすごい。
やってくれることメール/ドキュメント作成支援、会議議事録および要約、画像/動画生成、Q&A、リサーチ、カスタムAI bot構築
総評GWS自体が値上げとなったものの、標準機能でGWSテナント内のデータを参照する生成AI機能がついてくるのは値上げ後でもお得感が強い。メールやドキュメントがGoogle Workspaceに蓄積されているのであれば、機能拡張は途上とはいえ将来性あり。DeepResearch機能や、Notebook LM Plusといった現在トレンドなサービスも標準機能なのも加点。機能開発や強化の際に、組織統制の観点が後手に回り標準で機能有効化されたり、統制機能が後日実装になるなど、安全な生成AI活用を重視するとなると管理者に細かな対応を求められる。

Microsoft Copilot (Microsoft 365 Copilot / Microsoft 365 Copilot Chat)

指標名Microsoft Copilot (Microsoft 365 Copilot / Microsoft 365 Copilot Chat)
金額エンタープライズデータ保護を含む、チャット機能のMicrosoft 365 Copilot Chatは、ほぼ全ての商用スイートプランに含まれる。デスクトップアプリからの利用や、自組織テナントのデータを参照するMicrosoft 365 Copilotは有償アドオン。(以下年間契約の月割価格)Microsoft 365 Business Basic $6, Microsoft 365 Business Standard $12.5, Microsoft 365 Business Premium $22, Microsoft 365 E3 $33.75, Microsoft 365 E5 $54.75, Microsoft 365 Copilot Add-on $30
規約エンタープライズデータ保護に従い、入力は学習利用されない。GDPR・EUデータ境界にも準拠する。またMicrosoft社が規定する、ガードレール機能が有効な状態の出力について、それが商業上の納品物でないかつ利用者自身でリスク認識していない場合に、著作権侵害申し立てを受けた場合の法的リスクはMicrosoft社が責任を負う。入出力アクティビティはMicrosoft Purviewの監査機能に従い保存される。
裏側テキスト生成はOpenAI GPT-4、画像生成はDALL-E 3。Microsoft 365の各サービスと生成AIとの連携および統制はMicrosoft Graphで実現。データの取り扱いリージョンを指定可能。
進化の過程2019年にOpenAI社に出資。2022年末にOpenAI社から公開されたChatGPTを直後に検索エンジンBingに統合。2023年3月にMicrosoft 365での生成AIサービス機能としてCopilot for Microsoft 365が発表され、2023年11月に企業向け一般提供開始。2024年にはWindowsとの連携やTeamsへのCopilot統合が強化。当初より個人向けというより企業向けの機能強化が重視されている。
特性と向き不向きMicrosoft 365の各種サービスおよび、WindowsやOfficeデスクトップアプリケーションとの統合が強みだが、有償アドオンが必要かつコンテンツを全てMicrosoft 365上に集約する前提となる。Webコンテンツを生成ソースとした、AIチャットサービスのみであればアドオン不要なため、組織内展開しやすい。
やってくれることメール/ドキュメント作成支援、会議議事録および要約、社内ドキュメントの調査および要約、リサーチ、画像生成、カスタムAI bot構築
総評標準でエンタープライズデータ保護が有効なAIチャット機能が利用できるため、安全に生成AI機能を試しやすい。Azure OpenAIと認証基盤を共通とするため組織内展開のための環境構築の敷居が低い。デスクトップアプリケーションからの生成AI利用や、メールやドキュメント等の組織内データを生成AIで活用するには有償アドオンであるMicrosoft 365 Copilotが必須かつ、Exchagne OnlineやOneDrive、SharePoint Onlineへのデータ保存が前提条件となるため向き不向きが明確に出る。ベストオブブリード型なSaaS選定を行っていると、上記前提を満たせない。組織内データを安全に生成AIが活用できるかという観点に細心を払って、認証基盤であるEntraと各種サービスへアクセスするGraph APIの機能強化が行われており、安全な生成AI活用における信頼性が高い。OpenAI社との独占的パートナーシップによる最新テクノロジーの組み込み。

ワーク/プロジェクト管理 AI

Asana

指標名Asana
金額Personal(無料・AI機能なし)、Starter($10.99/月・150 AIアクション)、Advanced($24.99/月・1,500 AIアクション)、Enterprise(カスタム価格・無制限)。AI Studio:Advanced年間契約以上で利用可能、利用制限超過後は機能停止(追加課金なし)
規約顧客データをAIモデル訓練に使用せず、各インタラクション後にデータ削除を契約義務としている。AI生成コンテンツの所有権は顧客に帰属、商用利用可能。Enterprise/Enterprise+プランでHIPAA対応、EKM(顧客管理暗号化キー)提供。管理コンソールで組織全体のAI機能完全オプトアウト可能。
裏側OpenAI GPT-4系、Anthropic Claude 3.5 Sonnet使用したデータモデルで、組織の作業関係を記録・AI基盤とする。データ処理は主に米国サーバー、エンタープライズ向けデータレジデンシー(日本・EU・豪州)対応。ISO 27001/SOC 2 Type 2認証、FedRAMP認証追求中。
進化の過程2023年10月Asana Intelligence発表→2024年6月AI Teammates(ベータ)→2024年10月AI Studio発表→2025年春大幅機能拡充(Smart Workflow Gallery、Enhanced AI Rules等)。Work Innovation Labでの継続的研究、Fortune 500企業92%のAI導入トレンドをリード。
特性と向き不向き【得意】組織横断的なプロジェクト管理、ノーコードAIワークフロー構築、企業グレードセキュリティ。【不得意】無料利用、高度な分析・予測、Asana外部のデータアクセス。【差別化】AI機能の完全統合(別ツール不要)、「AIチームメイト」コンセプト、マルチモデル戦略。
やってくれることSmart Status(プロジェクト進捗自動生成)、Smart Editor(文書作成・トーン調整)、Smart Summaries(タスク・プロジェクト要約)、Smart Goals(AI支援目標設定)、AI Studio(ノーコードAIワークフロー構築)、Smart Workflows(業務フロー自動化)、SLA監視、Strategy Maps、Executive Reports自動生成、Request Management。
総評まぁあってもなくてもって感じ。生産性が向上しますとかそんな感じは全くない。

Notion AI

指標名Notion AI
金額2025年5月に料金体系改定。ビジネスプラン($12/ユーザー/月)以上でAI機能が標準搭載。フリープラン・プラスプランでは20回のお試し利用のみ。以前は全プランでアドオン($8-10/月)として提供していたが、現在はビジネスプラン以上に統合。
規約データ学習利用については、ユーザーの同意なくAIモデル学習に利用されることはない。ビジネス・エンタープライズプランでは厳格なプライバシー保護。生成コンテンツの所有権はユーザーに帰属。商用利用可能。オプトアウト機能あり。企業向けプランでSOC2準拠。
裏側2025年からOpenAIとAnthropicの複数モデル対応。独自にファインチューニングを実施。Notion専用のインフラで低遅延を実現。TLS 1.2以降を利用したデータ暗号化。サブプロセッサーはSOC2認証取得済。
進化の過程2023年2月23日正式リリース(アルファ版は2022年11月)。2024年後半にQ&A機能・AIコネクター追加。2025年2月にワンクリックセットアップ機能。2025年5月に料金体系改定とマルチモデル対応。継続的に機能拡張中、特に検索とワークフロー統合に注力。
特性と向き不向き【得意】文書作成・編集、要約、翻訳、アイデア出し、議事録作成、データベース構築支援。Notionワークスペース内でシームレスに動作。【不得意】独立したAIチャット、高度な推論タスク、リアルタイム情報検索。他のページ情報は参照しない仕様のため、横断的分析は限定的。
やってくれること文書生成(ブログ、メール、レポート)、既存テキストの編集・要約・翻訳、アクションアイテム抽出、データベース自動作成、AI会議メモ(自動文字起こし・要約)、エンタープライズ検索(Slack、Google Drive等の連携)、Q&A応答、AIテンプレート活用、ワークフロー提案・自動化支援。
総評ドキュメント作成、議事録自動化、ナレッジベース構築に特に有効。Notion AI Meeting Notesによる音声からの議事録書き起こしは特筆して優秀だが、たまーにサーバーが混んでますという理由でキャンセルされることがある。セキュリティ・プライバシー対策も企業利用に十分。料金改定によりビジネスプラン必須だが、統合ワークスペースとしてのコストパフォーマンスは良好。エンジニアリングチームの生産性向上に大きく貢献すると思われる。

Miro AI(Miro アシスト)

指標名Miro AI(Miro アシスト)
金額Free:10クレジット/月(チーム単位)、Starter:25クレジット/月/メンバー(月額$8または年払い$8)、Business:50クレジット/月/メンバー(月額$16または年払い$16)、Enterprise:100クレジット/月/メンバー(カスタム価格)。追加クレジット購入可能
規約AI機能改善にデータ利用する場合は同意が必要(つまりオプトアウト可能)。ユーザーが入力の所有権を保持し、出力もユーザー所有。第三者知的財産侵害に対する保証なし。BusinessプランでもデータはMiroインフラ内でのみ処理され、外部学習利用されない。
裏側大規模言語モデルと生成AIを活用。第三者AI(Microsoft Azure)と限定的データ共有。検索拡張生成(RAG)方式採用。EU-USデータプライバシーフレームワーク準拠。AWS VPCでホストしている。
進化の過程2023年5月にMiro AI発表、2023年11月にMiroアシスト導入、2024年から機能拡張。AI ダイアグラム作成、グルーピング、要約、シーケンス図作成など段階的に機能追加。
特性と向き不向き【得意】アイデア生成・整理、ダイアグラム作成、付箋グルーピング、会議要約、プロジェクト計画。【不得意】複雑なデータ分析、専門的なコーディング。
やってくれることアイデア生成・展開、付箋の自動グルーピング(キーワード・感情別)、シーケンス図自動作成、会議内容要約、マインドマップ生成、テキスト生成・編集、画像生成、プロジェクトタイムライン作成、リスク分析
総評現時点ではまぁって感じなんですけど、今年の10月頃にアップデートが来るので楽しみにしてて良いです

コミュニケーション/コンテンツ AI

Slack AI

指標名Slack AI
金額2025年7月17日から段階的統合。Pro:$7.25/月(年払い)、Business+:$12.50/月(年払い、旧$10から値上げ)、Enterprise+:カスタム価格。従来はアドオン形式だったが現在は基本機能として統合。
規約顧客データがLLMトレーニングに使用されることはなし。データはSlackインフラ外に出ない。メンバーがアクセス権を持つデータのみ対象。商用利用可能。従来のML機能(チャンネル推奨等)は匿名化集約データのみ使用、オプトアウト可能。
裏側サードパーティ製LLM(OpenAI等)をSlack内AWS VPCでホスト。検索拡張生成(RAG)方式でステートレス処理。Einstein Trust Layer でセキュリティ保護。2025年1月よりAgentforce統合。
進化の過程2024年2月にSlack AI発表・提供開始、2024年4月に全有料プラン対応。2025年6月に全有料プランに標準搭載、ビジネスプラス値上げ。今後Agentforce統合でエージェント機能強化予定。
特性と向き不向き【得意】会話要約、情報検索、既存データ活用。【不得意】新規コンテンツ創作、複雑な分析。あくまでも既存Slack内情報の効率的活用に特化。多言語対応(日本語含む8言語)
やってくれることチャンネル・DM要約(未読、過去7日、カスタム期間)、スマート検索(Slack内文書・ファイル・外部連携先)、質問応答、ハドルミーティング議事録作成、クリップ文字起こし、翻訳、リアルタイム検索結果提供
総評Slackが社内のOSとして完全に機能している場合はコスパが良い。そんな企業は少ないと思うが。社内コミュニケーション効率化に寄与する。過去のやりとり把握、ナレッジ検索の大幅改善が期待できる。リモートワーク環境でのキャッチアップ支援、意思決定速度向上に貢献。社内開発チームの技術議論追跡、トラブルシューティング履歴検索に有効。標準機能として搭載されることにより導入障壁は低い。Slackはサプライチェーン含む組織内外のコミュニケーション基盤として機能する特性を持つが故に、学習対象となるデータの質に完全に依存する。情報源が古い、矛盾している、あるいは単に間違っている場合、AIは自信を持って欠陥のある回答を提示する。特にクリエイティブな現場の場合、会話の「過程」(却下されたアイデア、横道のコメント、コンセプトの進化)は、最終的な成果物と同じくらい重要であることが多いため、これらがそぎ落とされた要約機能に頼る文化が形成されないようにする必要。完全な文脈を読むことから生まれる、偶発的な発見や創造性がそぎ落とされる可能性が高い。生成AIは決定論的ではなく確率論的であることを全ての利用者が理解する必要がある。段階的導入がおすすめ。

Box AI

指標名Box AI
金額Enterprise Plus以上で無制限利用可能。2025年2月からBusiness、Business Plus、Enterpriseプランでも基本機能利用可能。
規約エンタープライズグレードのセキュリティ・プライバシー保護。SOC2準拠、NIST AI RMFフレームワーク採用。ユーザー同意なくデータ学習に利用されない。商用利用可能。アクセス権限の厳格な管理、データ暗号化、透明性確保。Box AI原則に基づく責任ある利用を規定。
裏側RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術採用。Boxコンテンツ内でのセキュアな処理、データ暗号化、アクセス権限継承。Box独自インフラでエンタープライズ要件に対応。
進化の過程2023年11月:Box AI for Documents・Notesベータ開始。2024年3月:一般提供開始。2024年6月:無制限クエリ解放。2024年9月:機能強化。2025年1月:Box AI Studio正式リリース。2025年2月:全有償プランに展開、抽出エージェント・Studio API正式リリース
特性と向き不向き【得意】企業コンテンツ管理・分析、140種類以上ファイル形式対応、文書要約・Q&A、複数文書横断分析、セキュアなエンタープライズ利用、既存Boxワークフロー統合。【不得意】独立したAIチャット、リアルタイム情報検索、Boxコンテンツ外での利用、軽量なタスク(単にオーバースペック)
やってくれることドキュメント・画像分析、要約・Q&A、Box Notes連携コンテンツ生成、Box Hubsでの複数文書横断検索、カスタムAIエージェント作成(AI Studio)、メタデータ抽出、ワークフロー自動化、Slack等外部ツール連携、API経由カスタム統合。140+種類ファイル対応、無制限クエリ実行。
総評エンタープライズ要件(セキュリティ・コンプライアンス・ガバナンス)に特化したAI活用が可能。技術文書管理、契約書分析、ドキュメント管理基盤としてBoxを活用している場合、追加コストを抑制しつつ高度なAI機能を実現可能だが、他のAIサービスと比較し、回答精度がいまいち。

Zoom AI

指標名Zoom AI
金額Zoom AI Companionは、Zoomの有料プラン(Pro、Businessなど)に契約していれば、追加費用なしで利用できる。
規約顧客の音声、ビデオ、チャットといったいかなるコンテンツも、AIモデルの学習に使用しないと、明確に約束しているAI機能が有効な場合は、会議参加者全員に通知され、管理者は機能ごとにオン・オフを細かく制御できるため、透明性とガバナンスが確保されている。データは原則として最大30日で削除される。
裏側「フェデレーテッドAI」と呼ばれる、複数のAIモデルを組み合わせる独自のアプローチを採用している。Zoomが自社開発したモデルと、OpenAIやAnthropicといった外部の高性能な大規模言語モデル(LLM)を、タスクに応じて最適に使い分けるハイブリッドシステム。
進化の過程2023年に「Zoom IQ」として登場後、「AI Companion」として全有料プランに統合現在は、単なるアシスタントから、より自律的にタスクをこなす「エージェント型AI」へと進化の途上にある。将来的には、会議の準備からタスク登録までの一連のワークフローを自動で実行できるようになり、Zoomが単なる会議ツールから統合ワークプラットフォームへと変貌を遂げる上での中核を担う予定。
特性と向き不向き【得意】会議が多く、議事録作成やタスク管理の効率化を目指す組織に最適【不得意】Microsoft Teamsなど他社ツールを主に利用している環境、無料プランのみのユーザーには不向き。また、非常に専門的な用語が多用される業界では、標準機能のままでは精度に限界、不満を感じる可能性が高い。
やってくれること会議のリアルタイム文字起こし、要約、そして誰が何をすべきかという「アクションアイテム」の抽出を自動で行う。長いチャットのやり取りやメールスレッドの要点を瞬時に把握したり、返信案を作成したりすることも可能。その他、ホワイトボードでのアイデア出し、文書の下書き作成、通話内容の要約など、日々のコミュニケーションに関わる定型業務を幅広く自動化し、生産性を向上。
総評有料プランへの「追加費用なし」でのバンドルは、市場における最大の強み。顧客データでAIを学習させないという明確なプライバシーポリシーと、管理者による詳細な制御機能は、企業が安心して導入できる基盤を提供している。Zoomを既に利用中であれば、SaaSが提供するAIを追加コスト無しで体感したり、制度設計したり出来る点が大変良い。

セキュリティ/インフラ AI

CATO AIアシスタント(チャットボット)

指標名CATO AIアシスタント(チャットボット)
金額Cato SASEプラットフォームに含まれる (追加費用なし) 。
規約顧客データをAIトレーニングに扱わない。
裏側Amazon Bedrock。数値ベクトルをAmazon OpenSearchデータベースに保管。ナレッジベースを週に1回スクレイピング。
進化の過程2025年始めにAmazon Bedrockを採用し、AIアシスタントの提供開始。
特性と向き不向きテキストのインデックス化を行っていないため、ほぼすべての言語で質問することが可能。ただし、アカウントに合わせたカスタム回答は提供されない。
やってくれることRAGを利用してCATOの膨大なナレッジベースから、簡潔な回答を出力する。自然言語での製品に関する仕様や設定方法の問い合わせに対して、回答や手順を即時に返す。
総評非常に優秀。日本語質問にも日本語で回答してくれる(そらそうなんだけどそうでないものがあるということです)。回答の精度も高い。CATO利用者にとっては心強いアシスタントとなる。

Druva AI (Dru Investigate)

指標名Druva AI (Dru Investigate)
金額Druvaのすべての顧客は、追加費用なしでDru Investigateを利用できる。ただしDruvaそのものが高コストSaaSなのでうんぬん。
規約顧客データへのアクセス・学習は行わない。サービス維持のために、コンテンツ(インプット及びアウトプット)については使用する場合がある。
裏側Amazon BedrockとIntercom。プライベートなRAGを使用したLLMアーキテクチャ。独立したLLMとプライベートなRAGを構築。
進化の過程Dru Investigate発表 (2024年夏) 。Sentinel統合などSIEM製品との連携を強化。Dru Assist(チャットボット)も2024年夏にリリース。
特性と向き不向き自然言語(対話形式)で直感的に操作できるので、特定のクエリ言語を習得する必要がない。Druvaはランサム対策などで使われることが多いセキュリティ製品なので、予防的調査やインシデント対応などにおいて、専門知識が限定的な担当者でも調査と対応を加速・簡素化できる。
やってくれること自然言語で、ランサムウェア攻撃後の調査・復旧やプロアクティブな脅威調査、内部脅威の検出といった包括的な調査を行う。ログの追跡、外れ値のリストアップ、自然言語での指示に基づきフィルター処理されたリストを提示してくれる、など活用方法は様々。
総評データ調査時に利用価値あり。それ以外ではあまり使うことなさそう。文字での回答だけでなく、グラフや表の作成も可能。複数用意されているサンプルプロンプトも便利。

その他

xAI Grok

指標名xAI Grok
金額無料版、X Premium ($7~{X Premium+ ($32.92~{)、Enterprise API (未公開)。
規約学習利用あり (オプトアウト/プライベートチャット可)。ビジネス顧客データは不使用。出力はユーザー所有 (帰属表示要)。GDPR対応。
裏側xAIの大規模言語モデル。データ保持30日 (プライベートチャット/削除時)。
進化の過程Grok 3リリース (2025/2) で無料版提供。
特性と向き不向きXプラットフォームとの連携によるリアルタイム性が特徴。ユーモアと個性。情報収集やユニークな対話向け。
やってくれること会話AI、リアルタイム情報アクセス、Q&A、画像/動画/コード支援、ペルソナ対話。
CN総評X連携のリアルタイム性はユニークだが、ビジネス利用はAPI次第。データ利用ポリシーは個人/ビジネスで注意が必要。

SaaS AIのビッグバン展開は基本的にやめましょう

こうやって見てみると、全従業員の為に展開できるSaaS AIなのか、管理者など一部の人が使うSaaS AIなのかも分かりますね。一覧には書きませんでしたが、CNAPPであるWizが搭載するAIも、一部の人が使うAIですよね。

Slack AIを例に社内展開を考えてみる

全従業員の為に展開するSaaS AIは、いきなり全員が使える状態にする(ビッグバン展開)のは得策とは言えません。Slackがいい例なので総評を見直して改めて考えてみます。
Slackは主にコミュニケーション基盤として機能しているはずです。この場合、Slack AIがもたらすメリットは大きいように見えます。特に新しいプロジェクトへの参加、休暇からの復帰、あるいは活発なチャンネルの監視において、潜在的な時間節約効果は絶大です。ユーザーは全てのメッセージを読むことなく、長い議論の要点を素早く把握できます。加えて、自動文字起こしとアクションアイテムを含むハドルの要約は、議事録の作成と配布にかかる手作業を劇的に削減できます。
一方で、微細な誤情報(ハルシネーション)のリスクは避けられません。生成AIは決定論的ではなく確率論的です。要約は重要なニュアンスを省略したり、トーンを誤って伝えたり、もっともらしいが不正確な記述(「ハルシネーション」)を生成する可能性があります。クリエイティブな文脈では、デザインのフィードバックに関するスレッドを要約すると、重要だが微妙な批判点が失われる可能性があります。ビジネスの文脈では、サプライヤーとの交渉を要約すると、条件付きの条項を確定的な約束として誤って表現する可能性があります。
会話の「過程」が失われることは、文脈的没入感の喪失を促し、完全な文脈を読むことから生まれる偶発的な発見を妨げる可能性があります。利便性が高いがあまりに、ユーザーはそれを暗黙のうちに信頼し、Slackがその目的のために引用元を提供しているにもかかわらず、情報源と照らし合わせて情報を検証するという重要なステップを怠るようになります。

ちょっとずつやりましょう

外部ソースを参照できるAIの場合、一度に全てを接続しないでください。Google DriveやJIRAなど、知識が最も頻繁にサイロ化されている上位3〜5つの「信頼できる情報源」を特定します。最も優先度の高いソースから始め、パイロットグループで徹底的にテストし、次のソースに進む前にあなたが期待する権限が尊重されていることを確認します。
技術に精通しているが、最も機密性の高いプロジェクトには関与していない、部門横断的なパイロットグループ(例:社内開発チーム1つ、マーケティングユニット1つ)を選定し、詳細な管理コントロールを使用して、パイロットグループの特定ユーザーにのみAI機能を有効化します。

  1. アクセスを有効にする前に、パイロットグループに対して必須のトレーニングを実施します。このトレーニングでは以下を網羅する必要があります。
    • 各AIツールの機能(要約、検索)
    • 「AIハルシネーション」の概念と、重要な情報を基に行動する前に引用機能を活用して検証することの絶対的な必要性。
    • AI要約が適切なユースケース(例:一般的なチームの更新情報を把握する)と、不適切なユースケース(例:最終的な法的、財務的、技術的仕様を要約する)の具体例。
  2. 監視とフィードバック収集: 1〜2ヶ月の期間をかけて、パイロットグループから有用性、正確性、AI生成情報が混乱やエラーを引き起こした事例に関するフィードバックを収集します。アンケートや直接のインタビューを活用します。
  3. 拡大展開計画の策定: パイロットの成功に基づき、より広範な展開計画を策定します。異なる権限セットの作成を検討します。例えば、
    • フルアクセス: 一般的な生産性向上を目指すチーム向け。
    • 限定アクセス: 機密性の高い文書を扱うチームに対しては、ファイル要約機能を無効化するなど。
    • アクセス不可: 誤解のリスクが高すぎるチーム(法務部や主要なライセンス契約を交渉するチームなど)向け

これらは組織が取り扱う情報や組織体制によって大きく異なります。大きく展開しても実はさほどネガティブな影響が無いケースもあるでしょうし、じわじわと侵食されていくケースもあるでしょう。戦略的な必須事項は、新しいAIツールを使用する従業員と、協業するパートナーの両方に対して、「信頼しつつも検証する」モデルへと移行することです。

AIの進化は5ヶ月周期らしいですよ

これらの不安や対処も、いずれ無くなってるかもしれませんし、めちゃ増えてるかもしれませんね。一定程度のAIによって、一定程度の生産性が上がるのは確かですが、企業利用におけるリスクを認識せずに使っても良いとは思えません。AIを理解し、正しくリスクを受容しましょう。

余談:SlackはAI搭載によって値上げが確定しているので

弊社のSlackはGRIDからダウングレードした場合の影響を検討中です。AIいらんねん(といっても全プランでついてくるんだけど)。以前はダウングレードのパスをSlack社が残していて、1ワークスペースあたり千何百万円支払うことで実現できていましたが、そんな大金は払えません。
現在はダウングレードパスそのものがなくなっていて、公式を見ても問いあわせてみても「出来ません」で終わりです。Enterpriseプラン以上のSlackは、それら未満のSlackとはデータの形式が違うため、単純なインポート/エクスポートが出来ません。

そこで手順としては、

  1. 下位ライセンスのSlackテナントを作る(もちろん既存と同名は不可)
  2. Enterprise環境のデータをエキスポートする
  3. Backupery for Slack Exportを利用してデータ変換する
  4. Slackテナントへインポートする

といった具合ですが、このツール使ったことがないのと、Slackのコピーを作れるような代物ではないので、一部は手動での移行や作り込みが必須です。その気になったら試したいなと思ってますが、次の契約更新がまだ先なのです。これらの詳細については需要を感じたらまとめていきたいとおもいます。

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