はじめに
PMアシスタントのnatsumiです。
今回は、プリセールス段階や支援開始前によく耳にする「CNの○○支援はどんなことするの?」をご紹介したいと思います!
一度クラウドネイティブの支援を受けたお客様なら分かるけれど、意外と支援受けてみないとイメージ沸かない…そのように思っているお客様も中にはいるのではないでしょうか…!
またこれから支援を受けるそんなお客様にも、きっと事前情報取得、事前準備ができる参考ブログになっているかと思います。
前提
- 紹介する支援は、グランドデザイン策定(※)をする際に必要な支援内容です。
- 紹介する内容はあくまで一例であり、プロジェクトやお客様のリソース状況に応じて調整が必要です。
- 今回のブログでは、○○支援の内容を紹介しています。PJ全体の進め方のイメージについては下記ブログをご参照ください。
- クラウドネイティブの支援を初めて受けるお客様は、下記ブログから先に見ていただくとよりイメージしやすい内容になっています。
※グランドデザイン:ビジネスにおける要件を満たし課題を解決するために目指す、次世代ITインフラの構成と、その実現に向けたロードマップのことを示します。
クラウドネイティブが提示する支援
今回は支援の肝となる、Phase1の現状調査・方針策定の支援内容をご紹介いたします。
※Phase1が、前提で述べたグランドデザイン策定を含みます。
現状調査・方針策定での支援内容
要件整理
まずは、要件整理について紹介します。
「要件整理」と言われても、「実際どうやって要件を整理していくの?」と思うお客様もいらっしゃるかと思います。
いわゆる「要件定義」とは違って、クラウドネイティブの支援中に使われる「要件整理」は、ビジネス要求をシステム要件に落とし込んで、最終的に「グランドデザイン」にするインプットの為ものです。ビジネスから要求があって、システムをどうすべきか?を考えていく流れです。
※グランドデザイン策定PJ(Phase1)ではなく、製品導入PJ(Phase2)から支援させていただくお客様でも、同時並行で設計に落とし込みながら要件整理をしていきます。
■やる目的(ここで得られるもの)
契約時に想定されている支援内容は、あくまで大枠としてのものです。実際のお客様の要件や背景、なりたい姿について情報をヒアリングし、お客様の組織にとって最適な形を明確にします。ツールはあくまで手段であり、ツールの導入が目的ではありません。
どのようなビジネスの課題を解決するために、どのような仕組みが必要なのかをお客様と一緒に考えていくために、私たちは要件整理を重視しています。
■お客様にやっていただくこと
- インプットとなる資料の提供
- お客様の業界/業種で求められる特殊な要件、セキュリティガイドライン等。
- ヒアリングシートを元にお客様の課題を記入いただく
- リストに沿ってお客様の課題や、優先度・緊急度、背景、現状の対策、どうしていきたいか(目標や方向性)などを記入いただく。
■クラウドネイティブがやること
- どういった背景から何を支援していくべきか、お客様とCNで認識合わせを行う。
- ディスカッション
- 共有頂いた資料・ヒアリングシートの内容を元に、より詳細な内容の深掘りや、関係者のPJに対する生の意見を確認させていただく。
- 例)発端、課題感、直近の問題、理想像、背景など。
- 共有頂いた資料・ヒアリングシートの内容を元に、より詳細な内容の深掘りや、関係者のPJに対する生の意見を確認させていただく。
- お客様から見えずらい課題や要件を掘り起こすお手伝いをする。
- 最終的には、要件をグランドデザインに落とし込んでいく。
As-Is調査
つぎに、As-Is調査(現状調査)です。
クラウドネイティブが言う「As-Is調査」とは、要件整理で把握したご要望の実現にあたり必要な対応を検討する上で、お客様の現状を把握する活動です。
お客様環境の現状を共有頂き、クラウドネイティブPMやエンジニアから定例会にて質問させていただいたり、ヒアリングシートを元に調査を行います。
■やる目的
お客様とクラウドネイティブメンバーで、現状について把握し共通の認識を持つことで、グランドデザイン作成・製品導入いずれであっても、絵に描いた餅にならないように、現状を把握した上で実現可能なToBe構成を検討していきます。
■お客様にやっていただくこと
- 共有いただく資料の例
- 組織図
- 知りたいこと
- 従業員の人数と属性(雇用形態・部署・業務)
- どのような事業部門があるか
- 知りたいこと
- 構成図(社内インフラ)
- 知りたいこと
- 社内にどのような端末、ネットワーク機器、システムが存在しているか
- 知りたいこと
- オンボーディング手順
- 知りたいこと
- どのような設定やアプリが社内標準になっているのか
- 知りたいこと
- 組織図
※PJの為に資料を作成いただくことはなく、お手持ちの資料でかまいません。
- ヒアリングシート記入
- 業務に関わる登場人物(ユーザー、属性等)
- デバイス(サーバ、デスクトップ、モバイル、NW等)
- BYODの有無、オンプレ資産(NAS、Active Directory等)
- SaaS
- ライセンス形態
- SSOに対応しているか
- 誰がアクセスするか
- SaaS(クラウドサービス)内でのアクセス権限設定
- ライセンス費用
- 更新時期
- 各分野の統制状況
- 認証と認可
- デバイス管理
- セキュリティ
- データガバナンス
■クラウドネイティブがやること
- 共有いただいた情報を元に、構成図などの形へ整理する。
- 整理した内容を元に、お客様とクラウドネイティブで認識合わせをする。
※クラウドネイティブがこのような構成図を作る目的は、ITインフラ全体を把握して、お互いに現状の姿となりたい姿を共通認識するためです。もちろん、お客様社内への説明資料などにご利用いただけます。
情報流通経路の整理
情報流通経路の整理とは、データの分類と流通経路の整理を行うことを示します。
※データの分類:データの形式や公開範囲、クラウドかオンプレか、自社としての重要度などで分類を行うこと。
※流通経路の整理:データがどこに保管され、どのようなネットワーク経路を通り、どこから利用されているかを整理すること。
■やる目的
データに関するリスクアセスメントを実施し、よりセキュリティを考慮したグランドデザイン策定を行うためです。
データは、セキュリティを考える上で大事で価値のある「守りたいもの」としてまず挙げられます。データは利活用されるという前提で、データの所在や流れなどの実態を把握して、データをまとめたり、流れを制御するなど、データの分類と流通経路のなりたい姿を検討します。このような取り組みを、クラウドネイティブではデータガバナンスと呼んでいます。
■ここで得られるもの
- 自社情報の取り扱い状況について可視化し、自社でも振り返るキッカケとなる。
- 中には「こんなにデータ散らかっていたんだ・・・」とびっくりするお客様もいる。
- クラウドネイティブからデータガバナンスに関するご提案することが可能となる。
- 情報の共有方法(最適なクラウドストレージ等)
- 情報の持ち出し防止・流通の抑制の施策
- データのライフサイクル管理
■お客様にやっていただくこと
- Step1:シートの記入
- クラウドネイティブが用意した「データの分類と流通経路ワークシート」を、記入ガイドに沿って埋めていただく。
- シート例
- Step2:検討
- クラウドネイティブが提案するデータガバナンスに関する施策内容に関して、自組織に落とし込むことができるかの検討を行う。
- 検討は、Step1で記入いただいた内容を、CNのセキュリティチームが確認し、以下の図のような中間成果物を作成します。
- Steep3:方向性の議論(両社)
- Step1やStep2での中間成果物を元に、以下のような内容をクラウドネイティブから提案しディスカッション等行い方向性を考えていく。
■クラウドネイティブがやること
- ここまででの要件整理での情報や、お客様が記入いただいたワークシート、規定やガイドラインを元に、情報の取り扱いや、情報漏洩防止の施策についてのご提案を行う。
- また、お客様が記入いただいたワークシートを第三者目線で見させていただき、考慮漏れがないかのダブルチェックを行う。
グランドデザインの作成
Phase1の現状調査・方針策定支援の最後となるのが、グランドデザインの作成です。
これまで紹介してきた、As-Is調査や情報流通経路の整理結果をインプットとして、ToBeを設計し、そのToBeを実現するためのロードマップや必要となるコストを取りまとめてグランドデザインを作成するといった流れになります。
グランドデザインの作成は、主にクラウドネイティブの作業ターンとなります。担当のPMを始めとした、各チーム(セキュリティチーム、デバイスチーム、IDチーム)のメンバーが総出でグランドデザインの作成に取りかかります。
作成したグランドデザインをDraft版としてお客様に共有し、クラウドネイティブから中身の解説をし、お客様にレビュー頂き、ディスカッションを繰り返し行い完成版が出来上がります。
以下、As-Is調査や情報流通経路の整理結果を元に設計したToBe構成図です。この図に至るまでは、クラウドネイティブの各チームエンジニアが議論をし様々な構成を練って作成しています。
その他にも、選定したソリューションの解説や、想定されるリスクと対応策、ライセンス概算費用などを落とし込んでいきます。
お客様からの、フィードバック→資料に反映を繰り返し両社が納得し、グランドデザインの完成です。グランドデザイン作成が終わると、導入Phaseに入ります。
導入をお客様ご自身で行うか、そのままクラウドネイティブでPhase2としてエンジニアが伴走支援に入るかは、お客様でご判断いただけます。Phase1から続けてPhase2を開始頂くと、お互いに現状や背景などを把握した状態で、より最適なご支援ができます。
今回はグランドデザイン策定PJ(Phase1)からのご支援内容を紹介しましたが、もちろん、製品導入PJ(Phase2)からのご支援も多くやらさせていただいておりますので、ここまでの内容を読んで自分の会社のことは既に整理できていて、すぐにでもシステムに要件を落とし込んでいきたい!というお客様は是非、Phase2からのご支援もご検討ください。
おわりに
クラウドネイティブの支援は、主にお客様に手を動かしていただき伴走する形での支援となりますが、支援内容や進め方、やり方等はお客様のそれぞれの環境に合わせてご提案させていただきます。
今回は、Phase1における現状調査・方針策定支援の一部にフォーカスした内容となりましたが、今までふわっとしていた支援内容が少しでもイメージのつくものになり、「クラウドネイティブと一緒に最適なITインフラを作っていきたい!」と思っていただけたら嬉しいです!