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情報処理安全確保支援士 合格体験記|独学で使った教材5つと、「午後試験から始める」勉強法

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)に合格し、登録まで済ませました。結論を先に書くと、科目A(旧・午前)は過去問の繰り返しで済ませ、残りの時間をすべて科目B(旧・午後)の記述対策に使うのが最短距離でした。

また2026年度から、試験はCBT方式(試験会場のパソコンで解答する方式)に移行し、科目名や実施時期も変わりました。変更点も公式情報で確認してまとめます。

情報処理安全確保支援士とは

情報処理安全確保支援士(SC)は、「情報処理の促進に関する法律」に基づいて実施される国家試験で、IPA(情報処理推進機構)が運営しています。サイバーセキュリティリスクを分析・評価し、技術・管理の両面から対策を助言する人材を対象にした試験です。

項目内容(2026年度)
実施団体IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)
実施方式CBT方式(2026年度から移行)
科目構成科目A-1(50分・四肢択一30問)、科目A-2(40分・四肢択一25問)、科目B(150分・記述式4問中2問解答)
実施時期前期・後期の年2回(期間内の複数日で実施)
受験手数料7,500円(非課税)
受験資格どなたでも受験可能(実務経験要件なし)
免除制度科目A-1免除(旧・午前Ⅰ免除)、科目A-2免除

大事なのは、「登録セキスペ」になるには、合格後にIPAへの登録手続きが必要という点です。登録してはじめて国家資格の保持者になります(詳しくは後述)。

取得するメリット

  • 国内の実務で共通言語になる:出題範囲が公開されており、日本の法令・ガイドラインの前提が揃っています。提案や社内調整の場で話が通じやすくなります。
  • 実務経験要件がない:CISSPなどの国際資格は実務経験5年以上が前提になるため、キャリアチェンジ直後に取りに行ける資格として狙いやすいです。

【重要】2026年度から試験方式が変わりました(CBT化)

2026年度からは、私が受けた当時(ペーパー方式)とは申込みと受験の手順が変わっています。体験記に入る前に、制度変更の要点を先にまとめます。

IPAは2025年8月12日の発表で、応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験を2026年度(令和8年度)からCBT方式に移行すると公表しました。これに伴って、科目名と実施時期も変わっています。

変わった点①:ペーパー方式からCBT方式へ

試験会場のパソコンで、画面の問題を読み、マウスとキーボードで解答します。記述式の科目Bもキーボード入力になるのが大きな変化です。すでにITパスポート・基本情報・情報セキュリティマネジメントはCBT化済みで、SCもこれに続く形です。メモ用紙1枚と筆記用具は会場で配布され、終了後に回収されます。

変わった点②:科目名の変更

変更前午前Ⅰ試験午前Ⅱ試験午後試験
変更後科目A-1試験科目A-2試験科目B試験

免除制度も名称を読み替えて継続します。

変わった点③:前期・後期の「期間実施」になり、科目A群と科目B群を別の日に受験する

基本情報技術者試験などと同様に、CBT会場の空き枠から受験日時を選んで予約する仕組みになりました。ただし基本情報のような通年実施ではなく、前期・後期それぞれの一定期間内の複数日から選ぶ形式です。SCは前期(2026年10〜11月)・後期(2027年2〜3月)の両方で実施されます。

一番見落としやすいのは、科目A群と科目B群の実施期間が分かれている点です。従来のように1日で通しではなく、申込時に両方の日時を同時に予約します。

令和8年度前期のSCは、具体的には次のスケジュールです。

項目日程
申込受付期間2026年10月6日 10時〜10月24日 17時
科目A-1・A-2試験2026年10月17日〜10月27日
科目B試験2026年11月11日〜11月23日
合格発表2027年2月頃(予定)

変わっていない点

一方で、IPAは次の点に変更はないと明言しています。

  • 試験で問う知識・技能の範囲(シラバス)
  • 出題形式(科目A-1・A-2は多肢選択式、科目Bは記述式)
  • 出題数・解答数と試験時間
  • 採点方式・配点・合格基準
  • 免除制度の中身

現行制度は2026年度で終了予定

SCの主な変更点(2026年3月時点の検討案)は次のとおりです。

  • 開始時期:2027年度夏頃〜秋頃の見込み
  • 試験時間・問題数:科目A-1は45分・30問、A-2は35分・25問、科目Bは120分・12問
  • 解答方式:記述式をCBTに適した出題形式へ見直し
  • 出題範囲:科目Bはマネジメント分野などを強化。科目Aは体系の整理のみ
  • 難易度:SCのレベル感は変更なし(経済産業省の見直し(案))

2026年度は「受け方」が変わるだけなので、本記事の学習法はそのまま使えます。

私の受験条件

再現性のために、私の条件を先に開示しておきます。

  • 受験時期:2024年春期。本記事の教材・勉強法はその当時のものです。
  • 登録状況:合格後にIPAへ登録し、現在は登録セキスペ3年目です。講習の維持コストも実感している立場から書いています。
  • 学習開始時の知識:Webアプリの脆弱性や認証周辺は実装レベルで理解。一方でネットワーク機器と運用・組織面はほぼ未経験。
  • 受験形式:私が受けたのは従来のペーパー方式(午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後を同一日に通しで受験)です。現行のCBT方式とは手続きが異なるため、差分は前の節で整理しています。
  • 学習スタイル:専門学校の対策講座は未受講で、市販教材による独学のみです。
  • 学習時間:平日は1日2時間、土日は1日6時間。合計で350時間程度でした。

使った教材と、対策講座を使うかどうか

実際に使った教材5つ

教材使った目的周回数
情報処理安全確保支援士ドットコム(無料の過去問演習サイト)午前Ⅰ・午前Ⅱ(現・科目A-1/A-2)の演習3周
『情報処理教科書 情報処理安全確保支援士 2024年版』(上原孝之 著、翔泳社)午後(現・科目B)の主教材。通読後は辞書的に参照2周通読
『セキュリティ技術の教科書 第4版』図解が多く読み進めやすい教科書。分かりにくい箇所は図を写して理解3周
『うかる! 情報処理安全確保支援士 午後問題集』(村山直紀 著、通称・村山本)午後の記述アウトプット5周以上
YouTube まさるの勉強部屋(情報セキュリティ・支援士試験の解説チャンネル)知識のインデックス貼り・定着通しで5周以上

教材ごとの使い分けは次のとおりです。

  • 過去問演習サイト:午前対策はここだけで完結させました。無料で分野別に回せるので、午前対策はこのサイトだけで足りました。
  • 『情報処理教科書 情報処理安全確保支援士』:まず2周通読し、以降は分からない語が出てきたときに引く辞書として使いました。
  • 『セキュリティ技術の教科書』:同じく教科書的な使い方ですが、図解が多い分だけ読み始めやすかったです。Kerberos認証のような理解しにくいところは、図を写しながら覚えると頭に入りました。
  • 村山本(午後問題集):今回一番助けられた一冊です。ポケットサイズなので、通勤中やちょっとしたすきま時間に午後問題に触れられます。午後は記述式なので、「この状況ならこう書く」をすぐに書ける状態にしておく必要があり、この繰り返しがそのまま得点につながりました。最終的にはぼろぼろになりました。
  • YouTube「まさるの勉強部屋」:セキュリティや支援士試験の範囲を解説してくれるチャンネルで、通しで5周以上見ました。狙いは細かい暗記ではなく、「この論点はこの辺にある」というインデックスを頭に貼ることと、一度学んだ知識を定着させることです。やり方は単純で、2倍速で昼食のときに毎日30分見る。机に向かう時間を増やさずに触れる回数を増やせるので、書籍の読み直しより続けやすかったです。

模試・直前対策・YouTubeは、実際いくらかかるのか

SCにはCISSPのような「公式トレーニング」はありませんが、アイテックやTACなどの資格スクールが模試・直前対策講座を提供しており、YouTubeには無料の過去問解説もあります。公表されている金額は次のとおりです。

選択肢内容価格(税込)
独学(今回の選択)過去問演習サイト(無料)+市販教材教材代数千円〜1万円程度+受験手数料7,500円
アイテック 全国統一公開模試(採点付)2026春・2026秋のSC向け模試。記述答案を採点してもらえる8,800円
アイテック 合格ゼミ 直前対策講座2026前期・後期のSC向け直前講座通常価格 33,000円
アイテック『情報処理安全確保支援士「専門知識+午後問題」の重点対策』直前期の定番とされる問題集4,070円
TAC Web公開模試情報処理各区分のWeb模試4,450円〜(区分・セットにより変動)
YouTubeの解説動画「まさるの勉強部屋」など。試験範囲の解説や午後問題の解き方を動画で追える無料

採点付き模試(8,800円)は、記述答案を第三者に採点してもらえるのが利点です。自己採点に自信がない人は検討してみてください。

直前対策講座(33,000円)で買っているのは、問題そのものより直前期のスケジュールと「やらざるを得ない環境」だと考えています。

YouTubeは無料で、午後問題の読み方・答え方を実演で見られるのが利点です。ただしペーパー方式前提の説明もあるため、手続きや試験方式はIPAの公式情報で確認してください。

私は、過去問と公式解答例がIPAから無料で公開されている(CBT化後は試験問題が非公開のため、令和7年度秋期までの分)ため独学を選びました。一方、自己採点が苦手な人や一人だと続かない人は、添削付きの講座にお金を使う価値があると思います。

勉強方法

科目A(旧・午前Ⅰ・Ⅱ)は「過去問3周」で割り切る

科目Aは出題分野が安定しており、過去問の反復がそのまま得点につながります。私は過去問演習サイトで3周しただけで、それ以上は時間を使いませんでした。

体感としては、6割前後は過去問と同じ問題か、問い方を変えた問題でした。3周して内容を理解できていれば、科目A対策としては十分だと考えています。

意識したのは、正解の選択肢だけでなく「なぜ他の3つが違うのか」を短く言語化することです。これをやっておくと、科目Bの記述で用語を説明する場面にそのまま流用できます。

科目B(旧・午後)①:まずは「解答の引き出し」を増やす

科目Bは、知識量よりも設問が求めている粒度で答える練習のほうが重要です。得点になるのは、設問が求めていることを書いたときです。

午後対策で最初にやるべきなのは、「この状況ならこう答える」という解答の引き出しを増やすことだと考えています。

「認証情報が平文で送信されている」「ログが残っていない」といった定番の状況と答え方の組み合わせがあり、そのストックがそのまま得点力になります。過去問や村山本を回すときも、正解したかではなく「この答え方を引き出しに入れたか」を基準にしていました。

  • 公式解答例を「状況→答え方」のペアで覚える(文章を丸暗記しない)
  • 自分の言葉で書き直してみる
  • 別の年度の似た題材で、同じ引き出しを使えるか試す

引き出しが増えるほど、本番では「どの粒度で書くか」に集中できるようになります。

科目B(旧・午後)②:試験時間が足りない前提で、解く2問を選ぶ

高度試験の午後(現・科目B)で最初に面食らうのが、設問数に対して試験時間がまったく足りないことです。理由は単純で、解答する前に長い問題文を読み切る必要があるからです。私が解いた年度の午後問題冊子は表紙などを含めて30ページ前後、大問は4問なので、1問あたりおおむね7〜8ページの分量になります。これを読み込んでから記述するため、読むだけで時間が溶けます。

だからこそ、4問のうちどの2問を解くかの取捨選択が合否を左右します。私は最初の20分を「解く問題を選ぶ時間」に充てて臨みました。見極めるポイントは次の2つです。

  • 自分の得意分野に寄っているか(Webアプリ系・ネットワーク系・マネジメント系のどれ寄りの題材か)
  • 問いが素直で答えやすそうか(設問が何を求めているかを読み取りやすいか)

最初の20分で2問に絞れば、記述に十分な時間を残せます。選ぶ時間をあらかじめ試験時間内に組み込んでおくのがおすすめです。

科目B(旧・午後)③:過去問は周回ごとに目的を変える

最初にやったのは、過去問を約10年分印刷して、紙で解くことでした。参考書やKindleだと本文と設問を行き戻りしにくく、書き込みもできないからです。その上で、次の周回ごとに目的を変えて取り組みました。

周回目的実際にやったこと
1周目現在地を知る解答解説を熟読し、参考書片手に理解する
2周目理解が足りていない箇所の洗い出し落とした設問の傾向を確認し、弱点分野を埋める
3周目仕上げ本番のつもりで通して解く

これと並行して、村山本(午後問題集)で解答の型を覚えたらすぐ書いてみる、という作業を短い間隔で繰り返しました。

1問ごとの復習で回していたのは、次の4ステップのループです。

ステップやることねらい
1. 演習制限時間を計って本文を読み、設問に答える本番と同じ時間感覚を作る
2. 答え合わせ公式解答例と自分の解答を1問ずつ比べる採点の基準をIPAに合わせる
3. 違いをメモ「なぜこの言葉が必要か」「なぜ自分の書き方では足りないか」を一言で残す点を落とした理由を把握する
4. 書き直す次の演習でそのメモを意識して書く答え方の粒度を揃える

地味ですが、このメモが溜まってくると「設問がこの聞き方なら、答えはこの粒度」というパターンが見えてきます。科目B対策は知識を詰め込むことより、この感覚を作ることだと考えたほうが伸びます。

開発経験が役に立ったところ

認証・セッション管理や入力検証、Webアプリの脆弱性は、自分で作った経験がある分、設問の意図をつかみやすかったです。逆に、ネットワーク機器の構成、インシデント対応の運用、組織・規程・監査の3つは、意識して学習時間を割いて埋めました。開発出身の方は弱点がこの辺りに寄りやすいので、先にここから手をつけると効率が良いと思います。

学習スケジュール

時間配分の考え方はシンプルで、科目Aは前半の短期間で終わらせ、残りの時間を科目Bに集中するという順番です。

フェーズ内容比率の目安
前半科目Aの過去問を複数年分反復し、得点を安定させる全体の2割程度
中盤科目Bの過去問を時間を計って解き、解答例と見比べる全体の6割程度
終盤弱点分野(ネットワーク・運用)の集中補強+過去問の再演習全体の2割程度

平日は空き時間に科目Aの過去問を進め、まとまった時間が取れる土日に科目Bの演習をまとめてやる配分でした。科目Bは本文を通しで読む必要があるため、細切れの学習とは相性が悪いです。

試験をいつ申し込むか、当日の流れ

申し込みのコツ

  • 申込開始日に動く:CBT方式は会場・日時の空席次第なので、早めに動いたほうが選択肢が広いです。
  • 科目A群とB群の間隔を考えて決める:同時予約なので、両方の日程を見ながら「科目Bの演習期間をどれだけ確保できるか」を計算して予約するのが良いと思います。
  • 身体の不自由等でCBT受験が難しい場合:ペーパー方式の特別措置試験が別途実施されます。受験申込の前に特別措置申請が必要で、申請期間が通常の申込より早く終了するのでご注意ください。

当日の過ごし方

私はペーパー方式で、朝の午前Ⅰから夕方の午後まで通しで受験しました。一番きついのは最後の午後150分で、疲れた状態で長文を行き戻りするので知識より先に集中力が尽きます。直前期の演習は「150分を通しで集中する練習」としてやるのが大事です。CBT方式では科目Bが別日になりますが、150分画面を見続ける負荷には慣れておきましょう。

また休憩時間には必ずトイレへ。私はコーヒーを飲みすぎて大変なことになりました。なおCBT方式で持ち込める飲み物は、ラベルを外したペットボトルの水(1000ml以下)1本のみです。

試験内容と受験の感想

出題自体は、公開されているシラバスの範囲内でした。意外な知識が問われるというより、事例の状況設定を正確に読めるかどうかで得点が変わる試験だと感じました。

ただ、題材の面では過去に実際に起きた不正アクセスや脆弱性の話題がベースになっており、それが毎年アップデートされています。攻撃手法は常に新しくなり、その新しい手法に対して問われるので、参考書の知識を固めるだけでなく、最新の攻撃手法にもアンテナを立てておく必要があります。

印象的だったのは、2024年春期(午後 問2)の多要素認証を突破するフィッシングの問題です。利用者に届いたセキュリティコードを罠のサイトで入力させ、攻撃者がそれを中継してVPNにログインする手口でした。多要素認証があっても防げない前提で、どこで防ぐかを本文の運用から考える実務的な感覚が問われていると感じました。

この意味で、勉強した内容がそのまま実務につながっていると感じられたことが、一番の収穫だったと思っています。

試験結果

参考までに、私の得点は次のとおりです。

試験区分得点基準点
午前Ⅰ85点60点
午前Ⅱ76点60点
午後62点60点

かなり時間をかけて理解を深めたつもりでしたが、午後は62点とギリギリの合格でした。午前は過去問の反復で余裕を持って通過できる一方、午後は「理解している」と「設問が求める粒度で書ける」の差がそのまま点差になります。この結果からも、学習時間は午後(科目B)に寄せるべきだと実感しています。

合格後に待っているセキスペ登録

ここは受験前に知っておいてほしいポイントです。

登録時に登録免許税と登録手数料がかかり、その後はオンライン講習(毎年)と実践講習・特定講習(3年に1回)を受け続けます。維持費用は3年間で約14万円(オンライン講習2万円×3回+IPAの実践講習8万円〜)が目安です。なお2026年4月からは、所定の実務経験があればオンライン講習のみで済む実務経験者に対する講習制度も始まっています(金額は改定されるため、最新額はIPAでご確認ください)。

これから受ける方へ

  • 科目Aはあくまで通過点で、科目Bで落とさないことに集中する。合否を分けるのは科目Bです。
  • 解答を「書いて」公式解答例と見比べる。書いて公式解答例と比べることで、記述の点が上がります。
  • 学習計画を試験日程から逆算する。科目A群とB群を同時予約する以上、学習計画もその日程に合わせることになります。
  • 合格後の姿を先に決めておく。登録するのか、登録して何をしたいのかを決めるとモチベーションが落ちません。

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参考リンク(一次情報)

試験方式の変更・CBT化

2027年度からの新試験制度

登録セキスペ制度

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