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Azure OpenAI でクオータ制限に抵触してないのに「No quota is available for this deployment. You can request for more quota. 」というエラーでモデルがデプロイできない(よくあるお問い合わせ-Azure編)

セキュリティチームの ぐっちー です。今回はAzure OpenAI Serviceに関する超小ネタ記事です。難しい内容ではないですが、エラーメッセージと原因が噛み合っていなかったり、リソースを作成した時期によっても結果が異なかったりしてややこしいので、記事にさせていただきました。

ご注意

本ブログの内容は、2023年8月7日時点までの情報を元に作成しておりますが、クラウドサービスの仕様変更等に伴い、将来的に状況が変化することがございます。仕様変更が確認できた場合は可能な限り修正をしますが、最新の情報を常に維持することは難しい点についてはご了承ください。

前提知識:Azure OpenAI Serviceのクオータについて

今、大人気となっている Azure OpenAI Service ですが、多くのお客様にサービスを安定的に提供するために、クオータという仕組みのもと運営されています。ユーザーはクオータの範囲の中で利用する形となり、割り当てられたクオータの範囲を超えると新しくAIモデルのデプロイができなくなったりします。

クオータには各AzureサブスクリプションのリージョンごとのOpenAIリソース数や、1分あたりのトークン数、デプロイされた微調整モデルの最大数などが含まれますが、アップデートが頻繁に行われているので、公式ドキュメントをご覧ください。

Azure OpenAI Service のクォータと制限 – Azure AI services | Microsoft Learn

また、クオータに関しては緩和申請を行うこともできますので、制限の範囲を超えて利用したい場合はそちらも上記ドキュメントを参考に申請いただけたら幸いです。(今は需要が多いので、時間待ちはありますが・・・)

お問い合わせ内容

お客様

既にあるAzure Open AI リソースに対してAIモデルを新規デプロイしたり、既存のデプロイの編集をしたいと考えています。

しかし、Azure OpenAI で明らかにクオータ制限に抵触してないのに、Azure Open AI Studio において、”No quota is available for this deployment. You can request for more quota. ”というエラーが出て、モデルがデプロイできません。どうしたら対処したらよろしいでしょうか?

対象ユーザーは”Open AI リソースをスコープ”とした「Cognitive Services Contributor (Cognitive Services 共同作成者)ロール」のロールを割り当てており、権限は足りていると思いますし、以前はモデルのデプロイは行えていたので、原因がわかりません。

回答

2023年6月以前は「Cognitive Services Contributor (共同作成者) ロール」の権限のみで、Azure Open AI リソースに対してモデルを新規デプロイしたり、既存のデプロイの編集が行えていましたが、2023年7月頃より必要な権限が変更になったので、それが起因する可能性があります。2023年7月以降に作成されたリソースの場合、 “Open AI リソースのデプロイ先サブスクリプションをスコープ”とした「Cognitive Services Usages Reader ロール」 を付与すると事象が解消される可能性があります。

ロールの付与対象必要なアクションアクションを含んだロールの例
当該リソース“Microsoft.CognitiveServices/accounts/deployments/・・”Cognitive Services Contributor
当該サブスクリプション“Microsoft.CognitiveServices/locations/usages/read”Cognitive Services Usages Reader
Azure Open AI リソースに対してモデルを新規デプロイしたり、既存のデプロイの編集を行うために必要な権限

「Cognitive Services Usages Reader」はAzure サブスクリプション全体のクォータ使用量を「表示」するために必要な最小限のアクセス権 であり、クォータ使用量を取得しないことにはAzure OpenAIのリソースをデプロイできないように仕様が変更なされました。もしこれで解消されない場合は、不具合の可能性が高いので、Azureの購入元に問い合わせいただけたら幸いです。

おわりに

個人的に、権限が足りないのに「No quota is available for this deployment.」というエラーメッセージ内容には解せないですが、知っていれば対処は簡単かと思います。エラーメッセージと原因が噛み合っていない分、対処が難しいケースもあると思いますので、同じトラブルで困っている人の助けになれば幸いです。

参考文献

ぐっちー

コンサル会社にてISO27017やISMAP等のセキュリティ規格案件を経験した後、クラティブに転職。趣味はダンス(Soul, Lock, Waack)です。