こんにちは!たつみんです。
先日の記事でPrintixの設定について触れましたが、今回は社内に残るプリンタサーバを撤廃するためのアプローチとして、Microsoft ユニバーサルプリントというサービスと、Printixを検討し、実際に導入することで得られるものについてお話します。
Printixについて
Printixは拠点数が多い企業やリモートワークを推進している企業にとって非常に有用な製品となりうるものです。それは以下の特徴によります。
インターネットに接続されているPrintixクライアントがインストールされている端末であればどこであっても印刷ができる。
この一点に尽きます。
上記を実現するPrintixの特徴
Printixはプリンタサーバの役割をクラウド上で実現するSaaSです。従来のプリンタサーバの運用では管理が大変で辛かった部分をより簡単に柔軟に対応できる上、加えて以下のような特徴があります。
- SaaSなのでサーバーレスで運用管理が可能
- プリンターメーカーが混在した環境に対応
- Windows/Mac/Chromebookに対応
- すべてのプリンターを一つの管理画面で管理可能
- スマホアプリによる印刷物リリース
- Azure/Google Workspace/Okta/OneLoginによるSSO認証
- Azure/Google Workspaceとのディレクトリ連携
つまり超高機能なうえ、どんな複合機やプリンターでも対応し、印刷をするデバイスのOS選択肢が多いということです。Chromebookからも印刷できるのは強いです。
Printix社について
Printixを提供するPrintix.net ApS社は2014年にデンマークで創業され現在はドイツやオーストラリアにも拠点があります。2021年8月にインテリジェント・オートメーション・ソフトウェア・プラットフォームを提供するKofax(米国)に買収されました。
Printixの採用実績
ノルウェーの家電量販店やアイルランドの航空機リース会社などで採用されています。Businessプランの他にEducationプランの提供があるため学校での採用も進んでいます。
また、PrintixはMicrosoft Education partner solutionsやGoogleCloud Partnerに認定されています。
リモートワーク時に障壁になるプリンターに関する課題
Printixがない世界だと以下のような課題があります。これらの課題はリモートワーク時に顕著に問題になりますが、大規模な拠点数が多い企業ではリモートワークをしない場合でもこれらの問題が発生しているはずです。
プリンタドライバのインストール大変だよ問題
オンプレのプリンタサーバがある場合、Windowsはグループポリシーで配布し、MacはMDM経由で配布したりすることが多いと思います。MDMがない場合は1台1台インストール対応をしないといけなくて、情報システム部門のマンパワーに頼るか、ユーザー自身に行ってもらう場合もあるでしょう。さらに業種によってはChromebookの活躍の場も増えてくることも想定しておく必要があるかもしれません。
ただし、これらを実行しようとすると上の図のように各拠点毎に非常に複雑な構成となり、管理のための管理が必要となります。
このことはリモートワークに限らず拠点の追加・統廃合が発生した場合の非常に大きな影響を及ぼす要素となります。
管理のための管理が大変問題
上の図の問題はプリンタサーバやMDMといった管理ツールがプラットフォーム毎に存在しているために、ポリシーやグループを一元的に管理できず、管理のための管理が必然的に発生します。
例えば、WindowsとMac両方を利用している社員のプリンター管理はそれぞれの管理ツールを確認しなければならず、一元的に管理をしようとすれば管理ツールとは別に台帳を作成する必要があるということです。
この問題はプリンターを一元管理できる製品が存在すれば解決できる問題ですが、プリンタメーカーを統一することでメーカー独自ソフトウェアを導入する、などのハードルを越えられず、既存のツールでは実現できません。
サポートコストの増加問題
プリンターの入替えや増設の時には設定やドライバ入れ替えなどの追加作業が必要になります。オンプレサーバの場合は、サーバ側で設定を変更してもクライアント端末がネットワーク外だと端末まで到達できずに、結局VPN接続しないといけなかったりと何かと手間がかかります。また平常時の運用でも複数のプリンターを管理をするために様々な画面を確認しなければならず大変です。
ユーザーからのプリンターに関するトラブルシューティングも、PCとプリンタサーバの間なのか、プリンタサーバとプリンターの間なのかを確認するのに手間取って、場合によっては出社や拠点に訪問しないと状況把握ができないことがあったりと、サポートコストが増加する要因となります。
このことは、モダンなIT環境構築を目指す情報システム部門の人材を有効活用できない状態となり、より高度な課題解決の妨げとなる要因となっています。
Printix導入による改善
ドライバー配布の軽減
ユーザーはPrintixクライアントをインストールするだけで、Printix上に登録されている複数のプリンターを利用できるようになります。クライアント配布はMicrosoft IntuneやJamf Proによる配布が可能です。Chromebookの場合はエクステンションとして提供され、Google Workspaceで一元管理できます。情報システム部門でプリンターを登録する必要はありますが、ドライバ配布の苦労は劇的に軽減されます。
これは拠点の追加・統廃合が発生した時に、これまでよりもよりスムーズにプリンターを展開できるということです。
もちろんリモートワークを推進する上でも非常に大きな力を発揮します。
管理のための管理からの解放
PrintixではWindowsやMacといった各プラットフォームをひとつの画面で管理し、グループによる制御もより容易に実現できます。これにより管理のための管理を行う必要がなくなります。
WindowsやMacの両方を利用している社員であっても、Printixを確認するだけですぐに現状把握ができ、人的な入力が必要な台帳による管理よりも精度の高い管理が行えます。
ユーザーと情報システム部門の負担軽減
プリンターの増設などの場合は、情報システム部門でPrintixに対してプリンターを追加するだけで、ユーザー側は一切なにもせずに増設されたプリンターを利用できます。
トラブルシューティングはPrintixの管理画面上で、プリンター単位、印刷ジョブ単位、コンピューター単位で確認することができるため、管理者が現地対応することがなくなります。
情報システム部門は、より高度な課題解決にリソースを割けるようになり、人材をより有効活用できるようになります。
シンプルな構成による過剰な投資を防ぐ
一般ユーザーが印刷ジョブを流してもすぐに印刷されることはありません。スマホアプリによる認証で、印刷物を取り出すことができるセキュアプリント機能により、取り違えなどのセキュリティリスクを軽減することができます。この機能により、IDカード認証のためだけにオンプレADを用意する必要もなくなり、よりシンプルな構成でこれまでと同等のセキュリティを担保することができます。IdPと連携することで、印刷とIDの一元管理が実現できます。
Azure ADやGoogle Workspaceとの連携
Azure ADやGoogle Workspaceとディレクトリ連携することで、どのプリンタを誰に割り当てるかをグループ単位で簡単に管理できるようになり、一元的な管理をより容易に実現します。
また、Microsoft Universal PrintとPrintixと連携することで、スマホアプリによる印刷物リリースなどのUniversal Printだけでは実現できなかった機能を利用できます。
重要なポイントは、Microsoft Universal PrintではWindows端末のみが対象です。
Printixでは、Windows/macOS/Chromebookに対応しています。
価格面でもMicrosoft Universal Printでは最低で月額$4からとなりますが、Printixは月額$2から利用できる点が大きなメリットと言えます。
Printixの料金設定について
Printixの料金は、Businessプランで下記のように利用ユーザー数が増えることで1ユーザーあたりの金額が安くなるようになっています。
また最低ユーザー数は15名からなので小規模に始められる点もおすすめポイントで、1ヶ月の無料トライアルも可能です。
ユーザー数 | 1ユーザー/月額 |
1-50 | $ 1.99 |
51-100 | $ 1.84 |
101-250 | $ 1.71 |
251以上 | 問合せ |
なお、学校関係に向けたプランのEducationプランでは、課金対象のみが異なります。管理スタッフと教職員のみが課金対象となり、学生については課金対象外となります。
実際の使用感について
Printixのトライアルを行って感じたのは、管理画面がシンプルな構成で理解するのにそれほど時間が掛からなかった点が魅力的でした。各端末にクライアントソフトを入れてさえしまえば、状況の確認や新しいプリンタードライバーの配布がすぐに行え、運用負荷が大きく減らせられるのではないかと思います。
ネットワーク環境に縛られることなくプリンターの状況を一元的に把握ができることや、ディレクトリ連携によるグループ管理も直感的でストレスなく利用できました。
また実際の印刷体験も、スマホアプリによる認証でリリースするなど、IDカード認証よりも高度なセキュリティが実現でき、安全性を損なわずにプリンタサーバのクラウド化が実現できるのは、ポテンシャルのある製品だと感じました。
トライアルの詳細や詳細な動作、設定についてはこちらの記事でご参照ください。