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海外で評判のHopin(とZoom Events)をさわってみましたよ

こんにちは。けーすけです。普段はmxHeroの記事ばかり書いてますが、担当業務としてはSaaS検証です。今日は海外で話題のバーチャルイベントプラットフォーム、Hopinをテストしました。

さわった感じ、日本ではZoom Eventsが競合になると思ったので、簡単な比較もしてみました。

Zoom Eventsとは?

注意点

  • 2021年8月31日現在の情報に基づきます。
  • 一定期間運用した結果を踏まえての検証記事ではありません。

Hopin検証の経緯

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ということで触ってみます。
なお、Zoom についても配信系のアドオンを触るのは初めてなので、フラットな目線でご紹介できるかなと思っています。

まずHopinとは?

イギリス発のバーチャルイベントプラットフォームで、現在急成長中です。

参考記事

最大10万人にまでに対しての配信が可能だったり、

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既存顧客も錚々たる会社が名を連ねています。

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引用元: https://hopin.com/case-studies

特徴としては、日本で言えば、connpassのようなイベントプラットフォームに、ウェビナー機能やオンラインMTG機能、展示会規模の複数社共催バーチャルイベントブースの作成が可能で、それにマーケティングツール、その他もろもろ一式がセットになっている全部入りツールです。

有償イベントの開催も可能です。(手数料が発生します)

パッと見だいぶ期待できそうなツールですね。

そしてまず結論

中小規模ならZoom Eventsでいいんじゃないかなー

でした。

全体的に”手軽ではない”って意味で取り回しがよくないんですね。これはユーザー側からみても管理側から見てもそうです。すごくカチッとした作りで、大企業での大規模配信向けの印象を受けました。

試してみると印象通りで、大規模イベント向けかつ、有料課金前提という意味ではZoom Eventsよりも優れたところがありましたね。
以下に詳しく書いていきます。

Hopinのよかったところ

  • ものすごくカチッと管理できるところ
  • 配信中の操作はとても簡単(Stream Yardが利用できる)
  • 基本的に全部入りのため、あまり追加費用は考えなくてよい

Hopinのちょっと合わなかったところ

  • カチッと設定しないと使えない(ように見えるUI)
  • ほぼ大企業専用
  • 料金プランが極端
  • 個別機能の品質がZoomに劣るものがある
  • 認証や承諾を頻繁に要求される
  • 日本だと死に機能が多い
  • ユーザー側に表示される画面側でも半端な翻訳がある

等々、ちょっと多くなっちゃったので個別に見ていきます。

あと、あまりそこに期待してる人はいないと思いますが、できるとは書いているものの、Hopinはオンラインミーティング用途はまったく意識されていません。”Hopinを買ったのでZoomは要らない”とはなりませんのでご注意ください。

ではまず管理の部分です。

管理

基本的に、

  • スケジュール設定
  • 利用する機能の選択
  • 機能を利用した各コンテンツの設定
  • チケットの作成・適用
  • イベントの公開
  • ユーザーの参加登録
  • 参加(アカウントのないユーザーについてはアカウント登録要求)
  • 承諾事項への同意の要求
  • 待機ロビーへ

というのが、基本的な流れで、かなり手順を省略していても上記のようになります。

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こういうチェックリストのようなUIで設定していきます。


なお、WindowsとMacではブラウザで直接参加が可能ですが、モバイルデバイスについてはアプリケーションのダウンロードまたは指定のブラウザからのアクセス(Safari)が必要になります。

こういったことから”手軽さ”はまったくなく、あくまで大規模配信向けです。

ちなみにイベント開催する場合のスケジュールの設定画面は以下です。左側に設定項目ごとのタブがあります。

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なんとなくイメージをつかんでいただけたでしょうか。次に配信関連機能についてです。

配信関連機能

Stage(ウェビナー配信)


Stageはウェビナー配信機能です。画質も良く、また、最近Stream Yardも組み込まれました。

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そのため、操作はとても簡単です。Zoomと比べた感じ、画面共有が少し重いかな?というくらいで、簡単に使えます。ただ、バーチャル背景は設定が見当たらず利用できませんでした。

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Session(ミーティング・オンラインセッション)

最大20名までのパネラーを参加させて、オンラインセッションを行うことが可能です。ただしこちらは10人を超えたくらいで明らかなブロックノイズが発生するなどあまり良好な結果は得られませんでした。また、人数が少ない状態でもZoomのほうが画質で優れていました。

Networking(時限式の1on1)

きちんと試してませんが、3分制限で1on1をぐるぐる回す機能です。オンライン名刺交換タイムですね。

Expo(オンラインブースを複数社と合同設置)

これもテストできていませんが、バーチャルExpoを開催できるようです。

UX

ここまでかなりカチッとした細かいUIだということは書いてきましたが、翻訳まわりもクセがあります。基本的にはこれまで見ていただいた通り管理画面は基本英語のみです。

イベントページについてはこのように日本語化されています。ただし所々未翻訳の部分が残っています。

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機能によってはほぼ英語のままです。例えば以下はNetworkingの画面です。

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これに加えて、冒頭にも書きましたがモバイルデバイスを除き、アプリケーションなしのブラウザアクセスのみで視聴・参加ができるのが特徴なのですが、ユーザー登録・許諾のポップアップが英語で複数回挟まるために、視聴者からの問い合わせが発生しやすくなっています。

また、ユーザーにとっては無関係ですが、Freeプランの場合、チュートリアルのポップアップが”毎回”表示されます。このため、事実上、Freeプランは自由度の高いオンラインデモのようなプランになっており、業務として利用するにはストレスがかかるプランになっています。

以下のようなポップアップが複数箇所で毎回表示されます。例えばこの画面ではポップアップが5回、再読み込みのたびに発生します。

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個人的には不快感を解消するための対価としての有料プランという考え方は好きではないため、ここは大きな減点ポイントでした。

その他

料金プラン全体についてもクセがあります。といってもよくあるパターンではありますが、

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上位プランについては要問い合わせになっています。

例えばSSOはEnterprise限定、integration系の機能も要問い合わせのBusiness以上でなければ利用できません。

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ほか、メール通知の文面なども、Growth以上の機能となっており、イベント主催者がイメージする機能を利用できるのは実質的にGrowth以上のように見受けられます。

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Zoom Eventsのよかったところ

これに対してZoom Eventsの場合はどうかというと、

UXが考えられている

初回のイベント作成時に、テスト用の非公開イベント作成をするか否かのポップアップが表示されます。イベントの立ち上げまでも流れに沿って簡単に設定できるように工夫されており、英語が苦手な方でもブラウザの翻訳機能を通すだけでも十分使えます。

軽くて画質がよい

これは周知のことですので割愛します。

学習・サポートコストが低い

既に広く普及しており学習コスト・サポートコストは低くなります。また、MTG用途で既にアプリケーションがインストールされているケースがあり、”イベントのためにわざわざアプリケーションをインストールする”という印象をユーザーに与えません。

アドオン式かつ細かい料金体系で、小規模事業者にとってわかりやすい

Zoom本体のプランと視聴者数が連動しないため、費用的にムダがでません。例えば500名までであれば以下のプランで賄うことができます。

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ただしHopinが向くケースもあります。

Hopinが優位に立つ可能性のあるケース

  • 視聴者1万人超えのイベント
  • 複数社合同イベント
  • グローバルイベント

これらになってくると、Hopinの強みが生きてくるのかなというところです。

たとえば、Zoom Eventsの場合、10000人オーバーの場合の価格は要問い合わせ、10000人まででは、以下のようになかなかの金額になってきます。

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これがHopinの場合は、Stage機能を利用する場合の最大視聴者数は10万人です。

Max On-Screen and Viewer Limits

抜粋

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ウェビナーだけを視野に入れる場合は、料金プランは以下の通りで、Zoom Eventsと比べると、大規模ウェビナー配信だけを考えるなら圧倒的に安く済みます。

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ほか、現時点ではZoom Eventsでは、複数社合同イベントを行う機能を持っていないようです。

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ほか、Zoom Eventsもイベントプラットフォームを持っていますが、Hopinが最初から注力していた分野でもあり、既にイベントプラットフォームとしては相当に活発であり、日本語圏に場所を限定しなければ、組み込みのマーケティングツールと相まって、効果的に利用可能かと思います。

とはいえ、以下の画像が象徴的ですが、Hopinは”日本では”まだ立ち上がりかけのサービスです。機能面はともかくUXに大きな課題があるように感じました。しかし、明らかに有用な局面もあるため、規模に応じてご検討いただくのがよいかと思います。

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まとめ

イベント配信とマーケティングのプラットフォームに配信機能を載せたHopin、オンラインミーティングツールのアドオンとしてのウェビナー配信とイベント管理を載せたZoom Events、それぞれ性格が大きく違いました。大規模向けはHopinを検討いただき、中小規模ならZoom Eventsという住み分けでいいんじゃないでしょうか。

というまとめで締めようかと思いましたが、次回、Zoom Eventsの紹介記事に続きます。具体的にイベント開催までの流れをご紹介します。

おわりに

今回はHopinの検証でした。宝浜具をまず連想しちゃったのは内緒です。それでは、けーすけでした。

ksuke

調理師から情シスにジョブチェンジしてから10年くらいになります。
燻製や低温調理などの料理や、シーシャが好きです。
りんごの国(北にあるほう)で生まれました。