こんにちは!新米PMのYukaです。
プロジェクトマネジメントを勉強するぞ!となった時、勉強ネタとして一番最初に上がるのはフレームワークかと思います。ただ世の中にはPMBOK、PRINCE2、P2Mと、似たような名前のフレームワークが次々に出てきており、どこから始めるか悩みどころ。
ということで、この記事は主要な5つのフレームワークを見渡すための入り口として、新米PM・PM志望の方が安心して学習の一歩を踏み出せることを目指して記載しています。それぞれの詳しい中身は、今後入門編として一つずつ取り上げていく予定です。
そもそも「フレームワーク」とは?
ここでいうフレームワークとは、先人たちがプロジェクトの進め方を整理してまとめた「型」のことです。
フレームワークは丸暗記するための正解集ではありません。料理に和洋中があるように、プロジェクトの進め方にもいくつかの流派があります。どれも「正しい料理」です。状況や好みに合わせて選び、必要なところだけ使えばいいのです。
種類が複数あるのは、それぞれ生まれた国も目的も、カバーする範囲も違うからです。
主要な5つのフレームワークの種類と違いを地図で見渡す
まずは代表的な5つを、早見表に整理してみました。
| フレームワーク | 出身・主体 | 性格(タイプ) | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| PMBOK | 米国・PMI | 知識体系をまとめたガイド | プロジェクト管理の「網羅的な辞書」 |
| PRINCE2 | 英国発・PeopleCert | プロセスと段階管理を重視する手法 | 段階を踏んで進める「手順書」 |
| P2M | 日本・PMAJ | 複数プロジェクトの統合と価値創造を重視 | 事業全体を束ねる「価値づくりの設計図」 |
| ISO 21500/21502 | 国際機関・ISO | プロジェクト管理の国際標準 | 世界共通の「ものさし」 |
| IPMA ICB | 国際連合体・IPMA | 個人の能力(コンピテンシー)に着目 | PMに必要な力の「チェックリスト」 |
使う目的から逆引きすると、こんなふうに選べます。
- プロジェクト管理に何が必要か(知識の全体像)を知りたい → PMBOK
- どう進めて、どう統制するか(手順・段階)を決めたい → PRINCE2
- 複数のプロジェクトを束ねて事業の価値を生みたい → P2M
- 世界で基準や用語を揃えたい → ISO 21500シリーズ
- PMという人にどんな能力が必要かを見たい → IPMA ICB
それぞれの概要をご紹介します。
PMBOK(米国・PMI)
アメリカの非営利団体PMI(Project Management Institute)がまとめている、プロジェクトマネジメントの知識体系のガイドです。世界的に広く参照されていて、PMの勉強を始めると最初に名前を聞くことが多い一冊だと思います。
PMBOKの特徴は、その守備範囲の広さです。スコープ(やること・やらないことの範囲)、スケジュール、コスト、品質、リスク、関係者との関わりなど、プロジェクト管理に必要な知識をひととおり体系的に整理しています。「こう進めなさい」と一つの手順を強制するのではなく、「プロジェクト管理にはこういう要素がある」という知識の全体像を示してくれるのが持ち味です。だからこそ特定の業界ややり方に縛られず、まず土台となる共通言語を身につけたい人に向いています。
PRINCE2(英国発・PeopleCert)
イギリスの政府機関を起点に生まれ、現在はPeopleCertという組織が管理しているフレームワークです。PMBOKが「どんな知識が必要か」という全体像を示すのに対して、PRINCE2は「どう進めるか」という手順そのものに重きを置きます。同じプロジェクト管理でも、見ている角度が違うわけです。
最大の特徴は、プロジェクトをいくつかの段階(ステージ)に区切って進めることです。各段階の区切りで「このまま進めてよいか」を確認しながら統制していく、プロセス重視の進め方です。やるべきことの順番と確認のタイミングがはっきりしているぶん、進め方をきちんと統制したいプロジェクトで力を発揮しそうです。
P2M(日本・PMAJ)
日本で生まれたフレームワークで、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が標準を管理しています。その個性は、視点の広さにあります。
重きを置くのは、複数のプロジェクトをまとめた「プログラム」全体を束ね、事業としての価値を生み出すことです。個々のプロジェクトを成功させること自体がゴールではなく、それらをつなげて事業の成果に結びつける、という発想が土台にあります。複数の案件を束ねる立場の人や、日本語の資料から学びたい人になじみやすいでしょう。
ISO 21500/21502(国際機関・ISO)
ISO(国際標準化機構)が定めた、プロジェクトマネジメントの国際標準(ISO 21500シリーズ)です。ISOは特定の国の機関ではなく、各国の標準化団体が集まってできた国際的な組織で、世界中で話が通じる「共通のものさし」をつくることを役割としています。
そのためISOは独自の流派を主張するというより、国や組織をまたいで認識を揃えるための土台に近い存在です。プロジェクト管理の考え方を整理した文書と、実務的な手引がそれぞれ用意されています(手引はISO 21502)。国際的に基準や用語を揃えたい組織が参照する、共通の土台だと捉えてください。番号や構成の細かい話は入門編に譲ります。
IPMA ICB(国際連合体・IPMA)
IPMA(International Project Management Association)は、各国のプロジェクトマネジメント協会が集まってできた国際的な連合体です。ヨーロッパで生まれ、いまは世界各国に広がっています。その基準であるICB(Individual Competence Baseline)が、ここまでの4つとはっきり毛色が違います。
ほかのフレームワークが「何をすべきか」「どう進めるか」を扱うのに対して、ICBは「PMという人にどんな能力が必要か」という角度から整理されています。能力をPeople、Practice、Perspectiveという3つの領域から捉えるのが特徴です。手順ではなく担い手の力量に光を当てるので、PMとしての自分の能力を見つめ直したい人に響く視点だと感じます。
迷ったわたしは、まず1つから始めることにした
ここまで読んで、「やっぱり全部やらないと」と思う必要はありません。わたしは今、下記の方法で学習を進めています。
- まずは広く参照されているPMBOKで、プロジェクト管理の全体像を掴む
- 自分のいまの現場や、これから関わりたい仕事に近そうなものを1つ選ぶ
最初は「どれか1つを深く学ぶべきでは?」とも思いましたが、フレームワーク同士は排他的なものではなく互いに参照し合うものであり、どれから始めてもその学びはほかを理解するときの土台になるなと思い改め、上記の通り学習を進めています。
まとめ
プロジェクトマネジメントのフレームワークは種類が多くて戸惑いがちですが、整理すると怖くありません。
- PMBOK、PRINCE2、P2M、ISO、IPMAなど、主要な体系は性格が違うだけで優劣ではない
- 全部を暗記する必要はなく、違いを理解すればいい
- まずは1つ選んで、そこから少しずつ広げていけば十分
このシリーズでは、今後それぞれのフレームワークの入門編を一つずつ取り上げていく予定です。
よくある質問
Q. フレームワークと手法や方法論は何が違いますか?
厳密には使い分けられることもあるようですが、わたしは学び始めのうちは、まとめて「プロジェクトの進め方を整理してまとめた型」と捉えています。言葉の定義よりも、性格の違いをつかむほうが役立つと感じています。
Q. PMBOKとPRINCE2は何が違いますか?
PMBOKは「プロジェクト管理にはどんな知識が必要か」という全体像を示す知識体系で、PRINCE2は「どう進めるか」という手順や段階管理に重きを置く手法です。扱っている角度が違うだけで、優劣はありません。
Q. アジャイルはフレームワークではないのですか?
アジャイルは「変化に柔軟に対応する」という価値観や原則の集まり(進め方の思想)で、それを形にしたのがスクラムなどの手法です。この記事で並べた5つとは軸が違うため、同じ列には並べていません。優劣の話ではありません。
Q. 新米PMはどれから学べばいいですか?
わたしはまずPMBOKから始めました。広く参照されていて、全体像を掴みやすかったからです。そのうえで自分の現場や関わりたい仕事に近いものを選ぶと、迷いにくいと思います。





