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個人情報保護士に合格した勉強法と受験までの流れ

Web開発から転身し、クラウドネイティブでセキュリティを担当しているKazunoriです。
本記事では、個人情報保護士認定試験を、対策講座を受けずに独学で受験し、合格したときの流れや勉強方法を紹介します。

想定読者はこれからはじめて個人情報保護士を受ける方です。

結論だけ先に書くと、平日1時間・休日2時間で合計50時間程度、課題Ⅰ(法令)に学習時間を寄せて問題集を3周するのが最短ルートでした。

個人情報保護士とは

個人情報保護士は、一般財団法人 全日本情報学習振興協会が認定する民間資格です。個人情報保護法・マイナンバー法の理解(課題Ⅰ)と、組織的・人的・物理的・技術的安全管理措置を含む情報セキュリティ対策(課題Ⅱ)の2本立てで、法令とその実装の両方を対象にしています。

この構成のおかげで、業務で個人情報を扱う立場の人にとってとっつきやすい資格だと思います。人事や総務、営業、カスタマーサポート、個人情報保護の責任者など、セキュリティが本職ではない人でも、自分の業務に直結する個人情報を中心にしながら、その周辺のセキュリティ対策まで幅広く学べるからです。技術的な前提知識がなくても進められるレベルなので、セキュリティ学習の入口としても使えます。

項目内容
認定団体一般財団法人 全日本情報学習振興協会
試験形式マークシート(択一式)100問(課題Ⅰ・課題Ⅱ各50問)、試験時間150分
合格基準課題Ⅰ・課題Ⅱとも正答率70%以上(難易度により調整あり)
受験料一般 11,000円(税込)/学割 8,800円(税込)※オンラインIBT受験は+3,000円、CBTは+1,500円
実施回年4回(例年3月・6月・9月・12月)
合格率過去の平均合格率 41.5%(協会公式サイトの公表値)
有効期限認定カードは2年。更新手続きで延長

合格すると合格証書と写真入りの認定カードが交付され、名刺などにロゴを表示できます。

取得するメリット

  • 「これは個人情報か/報告義務があるか」に根拠を添えて即答できる:セキュリティの相談で実際に多いのは高度な攻撃の話ではなく、法令とルールの境界の質問です。
  • 規程・委託契約のレビュー観点が増える:委託先の監督、再委託、共同利用の記載など、見るべき箇所を言語化できます。
  • 法令要件と技術対策を同じ言葉でつなげられる:安全管理措置が課題Ⅱとして試験範囲に入っているため、対策の必要性を法令側から説明できるようになります。

出題範囲と法改正の扱い

出題範囲は、課題Ⅰが11編、課題Ⅱが4編という構成で、協会の試験内容ページに公開されています。課題Ⅰは「利用目的の特定・変更(法17条)」のように条文単位まで明示されているので、学習範囲の見積もりはしやすい試験です。一度目を通しておくと、問題集を解くときに自分がどの論点をやっているのかを見失わなくなります。

法改正のスケジュールは次のとおりです。

時期内容
2026年7月10日課徴金制度の新設やこども(16歳未満)の保護強化を含む改正法が成立
2026年7月17日改正法が公布
公布から2年以内一部を除き、政令で定める日に施行(施行日は2026年9月時点で未定)
本記事執筆時点(2026年9月)未施行。公認テキストも「2022年改正法に完全対応」と案内されており、直近の試験は現行法ベース

ただし施行が近づけば出題範囲や教材の改訂が入る可能性が高いので、受験回を決めたら試験内容ページと教材の版・正誤表を確認し、教材は必ず最新版を買ってください。古い版で古い法令を覚えてしまうのが一番もったいないパターンです。

使った教材

メインは公式精選問題集

軸にしたのは『改訂新版 個人情報保護士認定試験 公式精選問題集』(2,420円・税込)です。協会編集部による公式問題集(A5判336ページ、マイナビ出版)で、問題ごとに詳しい解説が付いています。これを3周しました。あわせて、協会の公式ページに掲載されている参考問題(過去問題からの抜粋)も解いています。

やり方はシンプルで、正解を当てて終わりにせず、外した選択肢がなぜ誤りなのかを解説まで読み込むことです。3周それぞれの役割は次のように分けました。

周回やること目的
1周目全問を解き、正誤にかかわらず解説を読む知識の穴を洗い出す
2周目間違えた問題を、誤答の理由を言葉にしながら解き直す判断を外した理由を言語化する
3周目間違えた問題だけを回す残った弱点をつぶす

この試験は同じ論点を「主体・対象・例外・期限」のどこかだけ変えて出してきます。1問につき選択肢4つ分の論点を拾っていくと、本番で初見に見える応用問題もほぼ既知の組み合わせに分解できます。逆に正解だけを覚える進め方だと、3周しても応用に対応できません。

もう一つ大事なのは、解説の片隅に添えてあるような細かい記述が、そのまま設問になって出てくることです。本文の太字だけを追うのではなく、注記や補足、例外の列挙まで読んでおくと取りこぼしが減ります。

公認テキストは辞書として使う

協会発行の『改正法対応 個人情報保護士認定試験 公認テキスト』(2,420円・税込)もありますが、問題集の解説を読み込めば通読は不要というのが正直なところです。買うなら、詰まった論点を引く辞書として。法改正のある試験なので、購入時は版と正誤表を確認してください。

対策講座はどんなもので、いくらかかるのか

独学以外の選択肢も価格を並べておきます(いずれも税込・2026年9月時点)。

手段費用内容
独学(公式精選問題集+受験料)約13,420円問題集2,420円+受験料11,000円(公認テキストを足すなら+2,420円)
実戦対策講習会16,500円(試験と同時申込なら14,355円)6時間のオンラインライブ配信。受講者に公認テキストとWeb模擬試験ID1回分を進呈
SMART合格講座23,100円(試験と同時申込なら19,800円)ビデオ講座+答練+模試(100問×2回分)。申込者に公認テキストを進呈

受験料を含めても、講座を使った場合の総額は2.5〜3.1万円です(いずれも試験と同時申込した場合)。独学との差額は1.2〜1.7万円程度なので、「学習の強制力と要点解説をいくらで買うか」という判断になります。

そのうえで私は独学を選びました。理由は、他の方の合格体験記をいくつか読んで、公式問題集だけで十分に受かると判断したからです。出題範囲が公式に条文単位まで公開されているので、問題集の解説を追うだけで迷子になりにくいというのも大きいです。逆に、法令の読み方そのものに不安がある場合や、学習の強制力が欲しい場合は、1〜2万円で講義が付くのは十分に合理的だと思います。

勉強方法

まず問題集を1周して地図を作る

1周目は解けなくて当たり前と割り切り、正誤よりも解説を読んで「この論点はここにある」というインデックスを貼る作業にしました。細部は2周目以降で埋まります。

定義・義務の一覧表を自分で作る

個人情報・個人データ・保有個人データ・個人関連情報・仮名加工情報・匿名加工情報・要配慮個人情報は、それぞれ義務の重さが違います。設問は「どの類型に当たるか」を判断させ、そのうえで「必要な手続きは何か」を問う二段構えになりがちなので、類型が曖昧なままだと後半の手続きも連鎖して落とします。

第三者提供・共同利用・委託・オプトアウト・外国にある第三者への提供は、「原則は同意が必要。ただし例外がある」という構造で出題されます。例外の側(法令に基づく場合、生命・身体・財産の保護に必要な場合、委託・事業承継・共同利用など)を先に固めるほうが早く安定しました。

漏えい等報告と本人通知も頻出です。速報と確報、報告先、本人通知の必要性、「漏えいのおそれ」でも対象になる点まで、時間軸で1枚にまとめるのが正解でした。

間違えた問題は「判断を外した場所」まで戻る

演習で間違えたときは、正解を覚えるのではなく「どの類型の判断を外したか」を記録しました。同じタイプの間違いが何度も出るので、そこだけ潰せば正答率は素直に上がります。

課題Ⅱは実務経験があると有利。ただし油断はできない

課題Ⅱはアクセス制御、ログ、暗号化、マルウェア対策、教育といった内容なので、セキュリティ実務がある人は取り組みやすい範囲です。ただしISMSやマネジメント寄りの用語、物理的対策や教育・監査の観点は技術偏重だと抜けます。ここだけは意識して埋めました。

学習スケジュール

時期内容目的
1〜2週目問題集を1周(解けなくてよい。解説を読む)全体像と論点のインデックス作り
2〜3週目定義の類型表・報告と通知の時間軸表を自作課題Ⅰの判断軸を固める
3〜5週目問題集の2〜3周目。誤答は類型まで遡って記録し、選択肢と解説を読み込む弱点の特定と応用への対応
直前1週間課題Ⅰの弱点だけを反復取りこぼしの回収

ペースは平日1時間・休日2時間で、週あたり約9時間。6週間・合計50時間程度で合格ラインに届きました。まとまった時間を取るというより、通勤時間や夜の1時間を積み上げる形です。

配分の方針は明確です。学習時間は課題Ⅰに寄せる。セキュリティ実務の経験がある人ほど落とすのは課題Ⅰのほうで、課題Ⅱは実務経験があるぶん解きやすくなります。

申し込みから試験当日まで

実施は年4回、締切は約1.5ヶ月前

試験は年4回(例年3月・6月・9月・12月)です。例えば第85回は2026年12月13日(日)10:00〜12:45の開催で、申込締切は2026年10月29日です。締切が試験日の1.5ヶ月前に来るため、思い立ってから直近回に滑り込めないケースがあります。学習開始前に日程を確認しておくのがおすすめです。

おすすめはオンラインIBT受験

はじめて受けるなら、自宅で受験するオンラインIBT受験を勧めます。受験料は一般11,000円(学割8,800円)で、オンラインIBT受験はこれに3,000円(360度全周Webカメラの往復送料)が加算されます。カメラは協会から貸し出されます。

この3,000円で、次の負担がまとめて消えます。

  • 試験会場までの移動がない。会場は主要都市が中心なので、住んでいる場所によっては移動や宿泊が発生します。交通費を考えれば3,000円は十分に元が取れます。
  • 遅刻で受験機会を失わない。この試験は少しでも試験時間に遅れると受験できません。年4回しかない試験を、交通トラブル1つで失うのは割に合いません。
  • 移動で消耗しない。直前まで自宅で弱点を確認し、そのまま受けられるのは地味に効きます。

逆に、自宅にカメラを設置できるスペースがない、ネットワークが不安定、といった場合は、全国のテストセンターで受けられるCBT受験(+1,500円)も選べます。

オンラインIBT受験で見落としやすい点

オンラインIBT受験は、実力と関係のないところで受験不可や失格になります。以下は2026年9月時点の公式案内(用意するもの、トラブル対処マニュアル)にもとづき、特に見落としやすいものだけ挙げます。

  • 顔写真と身分証は申込後すぐに提出する。期日までに出していないと当日は「受験不可」で、受験料の返金も振替もできません。一番重いのに一番忘れやすい手続きです。
  • 試験日の約3日前までに、顔認証でログインできるか試しておく。マイページの「受験する」ボタンは試験日の約2週間前に表示されます。当日になって顔認証に失敗すると、そこで受験できなくなります。
  • 机の上に置けるのはA4の白紙1枚とペンだけ。書籍やノート、スマートフォンは置けず、ペンケースも使えません。カメラは360度を撮っており、映像は採点時に点検されます。
  • 360度全周Webカメラを使っていない→失格。パソコン内蔵カメラや視野角の狭い市販カメラでの代用は認められません。
  • 試験中にパソコンがスリープして通信が途切れる→失格。電源・スリープ設定は前日に解除しておきましょう。
  • 離席した時点で失格。全問解き終わったあとでも同じです。150分は席を立てない前提で、直前の水分とトイレを調整してください。
  • 会社のパソコンと社内ネットワークは避ける。試験説明動画がブロックされ、開始に必要なスタート番号が分からなくなる事例が公式に挙がっています。ブラウザはChromeかEdge、回線は有線が安全です。
  • 受験票が届かないときは5日前までに連絡する。受験票は試験日の10日前までに届きます。届かない場合は5日前までに協会へ連絡が必要です。
  • 当日は朝9時以降に早めにログインして画角を確認する。ログインでつまずいても対処する時間を作れます。
  • 困ったらすぐに協会へ電話(03-5276-0030)。自力で粘るより早いです。番号は試験前に手元に控えておきましょう。

不合格でも次回が10%割引になる

前回試験が不合格だった場合、「連続チャレンジキャンペーン」で次回の受験料が10%割引になります。落ちた場合の再挑戦コストはその分下がります。

試験内容と難易度

出題はすべて択一式のマークシート方式です。課題Ⅰ・課題Ⅱ各50問の合計100問を150分で解きます。時間は十分にあります。1問あたり1.5分の計算ですが、設問文も選択肢も長くないため、私の場合は全問を解き終えたあとに2周以上見直す余裕がありました。解く順番も自由なので、迷った問題は飛ばして最後にまとめて戻れます。

取りこぼしやすいのは、前述のとおり類型の判断と手続きの組み合わせを問う設問です。選択肢はどれも正しそうに書かれていて、主体・対象・期限のどこか一つだけがずれています。設問を読んだ時点で自分の表を思い出して答えを先に作り、それに近い選択肢を選ぶほうが安定しました。

結果は課題Ⅰが37/50、課題Ⅱが43/50で合格でした。合格基準は各課題70%(35問)なので、課題Ⅰの余裕はわずか2問分。事前に想定していたとおり、差が付いたのは法令側でした。課題Ⅱはセキュリティ実務の経験があるぶん点が伸びますが、合否を握っているのは課題Ⅰだというのが点数にそのまま出ています。

受験の感想

協会が公表している過去の平均合格率は41.5%。数字だけ見ると半分近くが通る試験ですが、「セキュリティが分かっているから法令も何となく解ける」という前提で臨むと落ちるタイプだと感じました。落とすなら課題Ⅰです。

逆に、課題Ⅰの定義と義務を表で整理しきってしまえば、得点は安定します。学習の難所が「暗記量」ではなく「整理の質」に寄っているのが、この試験の特徴だと思います。

これから受ける方へ

  • 学習時間は課題Ⅰに寄せる。落とすのはほぼ法令側です。
  • 定義の類型表と、報告・通知の時間軸表を自作する。この2枚が合否を分けます。
  • 年4回・締切1.5ヶ月前という日程から逆算する。1回落ちると次は約3ヶ月後です。
  • 更新のある資格だと理解しておく。認定カードの有効期限は2年です(更新料や講習の要否は申込前に公式ページで確認を)。

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