概要
Microsoft 365 Business Basic / Standard / Premium のテナントで、特定のユーザーの OneDrive が 1 TB を超えそうだ、という相談をいただくことがあります。これまではこのような場合は 5TBまで利用できるOneDrive for Business Plan 2 を当該ユーザーに追加する方法をご案内しておりました。
ところが、OneDrive for Business Plan 2 は、2026年5月31日で新規販売が終了しました。
代替手段を Microsoft サポートに問い合わせたり調査した結果、対象ユーザーに Microsoft 365 E3またはOffice365 E3 を追加で割り当てるのが多くの場合では無難な結果となりました。既存のOneDrive Extra Storage、今年9月に追加された従量課金制ストレージ(Microsoft 365 OneDrive Storage)との単価比較もあわせて整理します。
3行まとめ
- OneDrive for Business Plan 2 は2026年5月31日で新規販売が終了し、2027年1月以降は既存契約も更新できません。
- Business Premium 単体では 1 TB を超える増量ができません。対象ユーザーに Office 365 E3 を併用で割り当てると、E3 に含まれるOneDrive for Business Plan2相当の権利が適用されて 5 TB まで増量できます。(Microsoft 365 E3では確認済み、Office 365 E3でも可能か確認中)
- 単価で比べると、容量超過が 84 GB($0.20/GB/月、1ドル155円換算) を超えたあたりから Office 365 E3(Teams なし)の併用が従量課金制ストレージより安くなります。従量課金は ¥31/GB/月($0.20/GB/月、1ドル155円換算)で、小容量または5TB を超える要求がある場合の選択肢といえます。
Business プランの OneDrive for Businessは 1 TB まで
OneDrive の容量は、SharePoint のテナントプールとは別に、ユーザーのライセンスで決まります。OneDrive サービスの説明の記憶域の制限は次のとおりです。
| プラン | 記憶域の制限 |
|---|---|
| Microsoft 365 Business Basic / Standard / Premium | ユーザーあたり 1 TB |
| Microsoft 365 E3 / E5 | 1 ユーザーあたり 1 TB(5 TB に増やすことができます) |
| Microsoft 365 F3 | ユーザーあたり 2 GB |
Microsoft 365 E3 と E5 には「5 TB に増やすことができます」と書かれていますが、Business の3プランにはありません。ライセンスで決まるこの容量を、公式ドキュメントではライセンス クォータと呼んでいます。
これまではOneDrive for Business Plan 2 を追加できた
大容量が必要なのは、たいてい組織全員ではなく数人です。そこで OneDrive for Business Plan 2 の単品契約がフィットしていました。当該ユーザーにだけ単品ライセンスを足せば、その人の OneDrive だけ容量を増やすことができました。
OneDrive for Business Plan 2 の販売終了
2026年1月28日、Microsoft はパートナー向けに単品プランの廃止をアナウンスしました。対象は SharePoint Online Plan 1 / Plan 2 と OneDrive for Business Plan 1 / Plan 2 です。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年1月 | 廃止のアナウンス |
| 2026年6月 | 販売終了(2026年5月31日以降、新規テナント・新規顧客への販売なし。既存顧客の更新のみ) |
| 2027年1月 | 提供終了(更新不可。既存契約は満了まで継続) |
| 2029年12月 | サービス終了 |
移行先としてMicrosoft 365 スイート、容量パック、または従量課金制ストレージを挙げています。
customers must transition to Microsoft 365 suites, capacity packs, or pay-as-you-go storage options(意訳:お客様は Microsoft 365 スイート、容量パック、または従量課金制ストレージの選択肢へ移行する必要があります)
選択肢は4つ
現状とれる対応は4つとなります。今回はSharePointへの移設以外の三つについて解説します。
| 手段 | 足せる量 | 向くケース | 難点 |
|---|---|---|---|
| 代替策1:対象ユーザーに Office 365 E3 またはMicrosoft 365 E3を併用で割り当てる | 最大 5 TB まで | 超過が常態化している | 5 TB が天井。ライセンス費は使わなくても発生 |
| 代替策2:OneDrive Extra Storage | 100 GB〜6 TB(合計 25 TB まで) | 必要量が読めていて、継続的に使う | 使わなくても払う。パックは分割できない |
| 代替策3:Microsoft 365 OneDrive Storage(従量課金制) | 25,600 GB まで | 量が読めない。5 TB を超える | Azure サブスクリプションが必要。プレビュー中 |
| SharePoint への移設、アーカイブ、削除 | 運用で調整 | そもそも個人領域に置く必要がない | 移設先の設計と、利用者への説明が要る |
代替策1:対象ユーザーに Office 365 E3 またはMicrosoft 365 E3を併用で割り当てる
Business Premium のユーザーの容量を増やす方法を Microsoft サポートに問い合わせたところ、次の回答を得ました。
• Microsoft 365 Business Premium ライセンスのユーザーは、標準で 1 TB の OneDrive ストレージが付与されます。
• Microsoft 365 Business Premium のみのライセンスでは、1 TB を超えるストレージ増量のリクエストは対応しておりません。
• OneDrive ストレージを最大 5 TB まで増量できるのは、Microsoft 365 E3/E5 などの対象となるエンタープライズ サブスクリプションであり、Business Premium ライセンス単体には適用されません。
• そのため、追加の OneDrive ストレージが必要な場合は、ユーザーに Microsoft 365 E3 ライセンス を割り当てることが適切です。
• ユーザーに Microsoft 365 Business Premium と Microsoft 365 E3 の両方を割り当てた場合、E3 ライセンスに紐づくより大きな OneDrive ストレージの権利が適用され、ストレージ容量を増やすことが可能です。
OneDrive の容量は、割り当てられているライセンスのうち最大の権利が適用されるという見解でした。Business Premium を Microsoft 365 E3 に置き換えても、両方を割り当てても、容量は同じく 5 TB まで上がります。
Office 365 E3 でも 5 TB にできるのか(確認中・・・)
回答が挙げている Microsoft 365 E3 は Teams なしで ¥4,565/月 ですが、同じSharePointライセンスが含まれるものということであればより安価な Office 365 E3(Teams なし ¥2,616/月) があります。
Microsoft 365 E3 より安い Office 365 E3 で同じことができるなら、そちらが有利です。公開情報を追うと、OneDrive の上限はスイート名ではなく、含まれる SharePoint (Plan 2) サービス プランで決まっているように読めます。
Modern Work Plan Comparison の Intranet and storage には「SharePoint Plan 2(1+ TB OneDrive storage)」という記載があります。
Microsoft will provide up to 5 TB of initial OneDrive storage per Microsoft 365 E3 or E5 user based on the default quota for the tenant.
クォータ超過の FAQ も、教育機関向けの説明でスイートではなくサービス プランを基準に書いています。
A3 / A5: Licenses that include the “SharePoint (Plan 2) for Education” service plan entitle the user to a 5 TB OneDrive limit.(意訳:A3 / A5 のうち「SharePoint (Plan 2) for Education」サービス プランを含むライセンスは、そのユーザーに 5 TB の OneDrive 上限を与えます)
Office 365 E3 の製品ページには、Microsoft 365 E3 と同じ「ユーザー 1 人あたり 1 TB から 5 TB 以上のクラウド ストレージ」とあります。よって問題はなさそうに見えますが、念の為調査中です。
「5 ライセンス必要」は現行ドキュメントに記載がない
なお、5 TB への増量には一定数のライセンスが必要、という情報が一部のブログで記載されています。この点も問い合わせた回答は以下の通りです。
過去の公開情報では「5TB 拡張にあたり一定数のライセンスが必要」と読める説明が掲載されていた時期がありましたが、現時点で確認できる最新の公開ドキュメントでは「最低 5 ライセンス」という条件を明示した記載は確認できておりません。
- Microsoft 365 E3 ライセンスを 1 ライセンスから購入できること
- OneDrive の保存容量を 5TB に拡張できること
は別の内容となります。容量設定はユーザーに割り当てられたライセンスが許可する上限に基づいて適用されること、およびテナント全体のストレージルール(pooled storage limit)が適用されることが案内されています。
ちょっと解釈に悩むところですが、現在は最低ライセンス数という公開情報がないのは確定です。検証で Microsoft 365 E3 を1ライセンスだけ割り当てた場合でも増量は可能でした。
設定手順
Microsoft 365 管理センターの[ユーザー]→[アクティブなユーザー]→ 対象ユーザー →[OneDrive]タブ →[使用済みストレージ]の[編集]→「このユーザーの最大ストレージ」で設定します。
代替策2:OneDrive Extra Storage
容量パックをアドオンとして買い、ライセンスと同じ要領でユーザーに割り当てます。
Microsoft 365 管理センターの マーケットプレイスから、[カテゴリ別に表示]→[Office 365]→ OneDrive追加ストレージ、を選択すると購入できます。(直接契約の場合)
割り当て解除と再割り当てができるので、異動や退職に合わせて付け替えられます。ただし、プリペイドですので1 TB のパックを付けた人が 200 GB しか使わなくても請求は 1 TB 分です。
代替策3:Microsoft 365 OneDrive Storage(従量課金制)
2026年9月22日にパブリック プレビューへ入ったばかりのサービスですのでご存じない方も多そうです。11月にGA予定となっています。
管理者権限をお持ちのユーザーであれば以下から確認できます。
https://admin.cloud.microsoft/#/MessageCenter/:/messages/MC1477185
ライセンス クォータを超えた実使用量に対して支払いが発生します。Microsoft 365 アーカイブや Microsoft 365 バックアップ、Copilot Credits と同じ課金の枠組みです。
なお、5TBを超えるストレージ容量が必要な場合はExtra Storageの事前購入か、Microsoft 365 OneDrive Storageの従量課金のいずれかを手配しなければなりません。
2026年6月からは Microsoft 365 SharePoint Storage(テナントプールの超過分を従量課金するもの)もプレビューに入っています。Microsoft OneDrive Storageは同じ仕組みをユーザー単位のクォータに適用したものと考えられます。(容量単価も同じ)
前提:Azure サブスクリプションが必要
この機能は Microsoft 365 のライセンス追加ではなく、Azureサブスクリプション経由の従量制となります。
| 対象 | 必要なもの |
|---|---|
| Azure | Microsoft 365 と同じテナント内の Azure サブスクリプションとリソース グループ |
| Azure 権限 | 対象のサブスクリプションとリソース グループに対する所有者または共同作成者 |
| Microsoft 365 権限 | SharePoint 管理者またはグローバル管理者 |
| ライセンス | テナントに少なくとも1つの SharePoint ライセンス |
Azure サブスクリプションを持っていない Business プランのテナントは珍しくありません。その場合はサブスクリプションを作るところから始まるので、Microsoft 365 E3 を1つ割り当てるのに比べると手間が増えます。
設定1:課金ポリシーを作る
Microsoft 365 管理センターの[課金]>[従量課金制]から、[課金ポリシー]タブ →[請求ポリシーの追加]と進みます。
手順1. 課金の詳細:課金ポリシーの名前、[サブスクリプション]、[リソース グループ]、[地域]を選び、利用規約に同意します。関連付けたサブスクリプションとリソース グループは後から編集できません。
Azureサブスクリプションの作成は先にしておくことをお勧めします。
リソースグループはこの設定画面で作成することにします。
手順2. ユーザーの選択:[すべてのユーザー]か[特定のグループ]を選びます。ただしこの選択が反映されるのは Microsoft Copilot の従量課金制サービスだけとのことですので、[すべてのユーザー]を適用することにします。
手順3. 予算(省略可能):予算上限、リセットのタイミング(月/四半期/年の初日)、アラートの受信者(メールが有効なセキュリティグループのみ指定可能)と通知しきい値(既定100%、複数設定可能)を設定します。
請求ポリシーの作成が完了です。
手順4. 確認と作成:[ポリシーの作成]の後、[サービスの接続]で Microsoft 365 OneDrive Storage を選び、[接続の状態]トグルを[接続されています]にして保存します。
これで準備完了です。
設定2:ユーザーごとに上限を上げる
課金ポリシーを接続しただけでは容量は増えません。ユーザー単位で上限を引き上げる操作が必要です。
Microsoft 365 管理センターの[ユーザー]→[アクティブなユーザー]→ 対象ユーザー →[OneDrive]タブ →[使用済みストレージ]の[編集]→「このユーザーの最大ストレージ」で設定します。(なお、PowerShell経由でも設定可能ですが手順は割愛します)
上限の最大値は 25,600 GB です。従量課金ポリシーの接続ができていればライセンスクォータより大きい値を設定できるようになります。E3ライセンスユーザーであれば5TB以上を設定できます。
課金は上限ではなく実使用量に対して発生する
従量課金制を設定したら、 特定のユーザーの OneDrive ストレージ領域を変更します。 従量課金制を設定すると、ライセンスクォータよりも高いストレージ制限を設定できます。 最大値は 25,600 GB のままです。 ライセンスクォータを超えたストレージ使用量のみが課金されます。
上限を増やしても使っていなければ請求は発生しません。後払いのメリットです。同時にユーザー単位で上限を引き上げない限りこの機能は利用できないので、管理者が予想外の費用発生で困るものでもありません。
従量制課金を切断するとクォータの適用
やめる場合は、[課金]>[従量課金制]>[サービス]タブから対象サービスの[接続の状態]トグルをオフにします。ただし公式に注意書きがあります。
Microsoft 365 OneDrive ストレージの使用を停止するには、「 従量課金制の切断」の手順に従います。 OneDrive アカウントがライセンスクォータを超えている間に切断すると、クォータの適用が再開されます。
超過した状態のまま切断すると、そのアカウントはクォータ超過として扱われ、前述のとおり OneDrive は読み取り専用になります。容量を減らしてから切断してください。
単価で比べる
ライセンス価格は Microsoft の各製品ページに掲載された日本円(年間サブスクリプション・年払い、1ユーザーあたり月額相当、税抜)です。従量課金制ストレージは USD 建てでしか公開されていないため、1ドル155円で換算しています。
併用で足す Office 365 E3 は、Teams なしの SKU を選びます。Teams は Business プラン側にすでに含まれているためTeams 不要です。
| プラン | 月額(税抜) | 年額(税抜) |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Business Basic | ¥1,049 | ¥12,588 |
| Microsoft 365 Business Standard | ¥2,098 | ¥25,176 |
| Microsoft 365 Business Premium | ¥3,298 | ¥39,576 |
| Office 365 E3(Teams なし) | ¥2,616 | ¥31,392 |
| Microsoft 365 E3(Teams なし) | ¥4,565 | ¥54,780 |
Office 365 E3(Teams なし)を併用で追加すると、対象ユーザー1人あたり +¥2,616/月(年額 ¥31,392) です。これで 5 TB まで使えます。Microsoft 365 E3 (Teams なし)を選ぶ場合は +¥4,565/月(年額 ¥54,780)になります。
従量課金制ストレージの単価は $0.20/GB/月 で、従量課金制サービスと価格のページに掲載されています(機能ページには載っていません)。1ドル155円で ¥31/GB/月 です。
| サービス | 課金対象 | 単価 | 155円換算 |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 アーカイブ | アーカイブされたデータの GB 数 | $0.05/GB/月 | ¥7.75/GB/月 |
| Microsoft 365 バックアップ | バックアップされたデータの GB 数 | $0.15/GB/月 | ¥23.25/GB/月 |
| Microsoft 365 SharePoint Storage | SharePoint テナント クォータを超えた GB 数 | $0.20/GB/月 | ¥31/GB/月 |
| Microsoft 365 OneDrive Storage | 各アカウントのライセンス容量を超えた GB 数 | $0.20/GB/月 | ¥31/GB/月 |
ストレージ超過量に対する価格比較結果は以下の通りです。(1ドル155円で ¥31/GB/月 )
| 超過量 | 従量課金 (毎月発生分) | Office 365 E3 併用 (年間契約月割) | Microsoft 365 E3 併用 (年間契約月割) |
|---|---|---|---|
| 84 GB | ¥2,604 | ¥2,616 | ¥4,565 |
| 100 GB | ¥3,100 | ¥2,616 | ¥4,565 |
| 147 GB | ¥4,557 | ¥2,616 | ¥4,565 |
| 500 GB | ¥15,500 | ¥2,616 | ¥4,565 |
| 1TB(1,024 GB) | ¥31,744 | ¥2,616 | ¥4,565 |
| 4TB(4,096 GB) | ¥126,976 | ¥2,616 | ¥4,565 |
損益分岐は、Office 365 E3(Teams なし)の併用で 84 GB です。 これを超えるとライセンスのほうが安くなり、しかも 5 TB までいくら使っても金額は変わりません。1 TB 超過のケースでは、従量課金の ¥31,744/月(年額 ¥380,928)に対して併用は ¥2,616/月(年額 ¥31,392)で、12分の1以下に収まります。
従量制の方が優位なケース
- 超過が概ね100GB未満(厳密には84GBだが、為替変動もありますのでざっくり計算)にとどまる
- 超えるかどうか読めない、数か月だけの可能性がある
- Microsoft 365 E3等を使っていて5TB を超える
なお、アクセス頻度の低いデータを Microsoft 365 アーカイブに移動すれば $0.05/GB/月(¥7.75/GB/月)で、費用を1/4まで圧縮できます。
まとめ
OneDriveの容量不足時のオプションが整理され、従量制課金が新たに追加されました。Copilot Credits、アーカイブ、バックアップに続いて、ストレージも従量課金になっています。今後も従量課金のサービスが追加されていきそうです。