AI

NotionのAI検索機能「Q&A」で自社ワークスペースと対話する

セキュリティチームの ぐっちー です。NotionがNotion AIの新機能としてリリースした「Q&A」を検証してみました。質問に対して回答してくれるサービスですが、僕の感覚としては自社ワークスペースと対話しているような感覚でとても面白い機能だと感じています。尚、Notion AIの一般的な話は、以下のブログにまとめているので、そちらを参照いただけたら幸いです。

ご注意
  • 本機能を利用するにはNotion AIのアドオンライセンスが必要です。
  • 本ブログの内容は、2023年11月15日時点までの情報を元に作成しております。
  • 本ブログは検証結果を元に記載していますが、検証テナントでの少量のデータによる検証結果であり、大規模なデータを活用した検証などは行なっていません。
  • 本機能は現時点ではベータ版での提供です。

Notion AI の新機能「Q&A」

Notionのようなサービスに情報を集約していても、ユーザーが見てくれない問題に直面している企業は多いと思います。管理者としては情報を公開してユーザーの自己解決を促したいところですが、ユーザーサイドとしては膨大な情報の中から自分の欲しい情報を探すのは大変な作業であり、結果人に聞くという行動となってしまうケースも多いと思います。質問されるのは一概に悪いこともないので悩ましい問題ですが、そんな中違う選択肢としてAIに質問するというのが技術の進展により盛んになってきました。

そんな中登場した、Notion AI の新機能「Q&A」はユーザーからの質問に対して、自社のNotionワークスペース内の情報を検索・参照して回答してくれる機能です。この機能により、数多くのページから特定の情報を探索したり、情報から示唆を得るまでの時間を効率化・強化することが期待されています。

参考

Notion AIの裏側で利用されているAI基盤モデルはOpenAI社のChatGPTではなく、米国のスタートアップAnthropic社が開発している「Claude」というモデルが利用されています。

検索対象範囲

特筆すべきはアクセスコントロールの部分です。この機能で検索対象なるのは、ワークスペース内で検索したユーザーがアクセスできる(権限がある)範囲の情報です。文字にすると簡単に写りますが、ChatGPTが登場してから様々なAIを搭載した検索システムを自社開発していく上で、大変となるポイントでもあったので、SaaSとして対応がなされているのは大変ありがたいことだなと思います。

また、作成した新規コンテンツをQ&Aが参照するようになるまでに、1時間ほどかかる場合があるとのことで、ユーザーが誤認しないように注意が必要です。

ライセンス体系

Q&AはNotion AIアドオンライセンス(月額10ドル)に含まれています。また、順番待ちリストに参加して、Q&Aをトライアルいただくこともできます。トライアル時の注意事項等はリンク先をご覧ください。

使ってみた

基本的な使い方

使い方としては、非常に簡単でデスクトップアプリやWeb版に表示されている右下の「AIマーク」をクリックするだけで、チャットのウインドウが立ち上がります。ここに対して、知りたい質問を聞くだけです。また、左上の検索バーからも質問をすることができます。

日本語での質問に対しても素早く回答してくれる

最近、AIを搭載したSaaSサービスが様々登場していますが、日本語への対応は後回しになっている傾向があります。そんな中、この機能に関してはリリースと同時に日本語での回答をサポートしてくれていました。また、データの容量に依存する部分もあるかもしれませんが、検索から回答のスピード感もなかなかのもの(筆者主観)であり、ユーザー体験も良いなと感じました。

5~10個程度の参考ドキュメントを出してくれて、シームレスにアクセス可能

質問やワークスペース内にある情報にもよりますが、質問をすると5~10個程度の関連ドキュメントを検出してくれて、それを元に回答を生成してくれます。参考としたドキュメントのリンクを表示してくれるので、シームレスにアクセスが可能となっている点が非常に嬉しいポイントでした。

検索・回答の精度はまちまち

これは、すべてのAIサービスに言えることですが、現時点ではAIは完璧な回答は難しく、誤った引用や回答をすることがあります。Notion AIでもそれは例外ではなく、ユーザーに対してはAIの回答は参考にしつつ、ソースの情報をあたって自身が責任を持って判断するように教育していくことが重要です。また、AIのモデルは日々進化を遂げていますので、今の結果に一喜一憂せずに、業務に使って嬉しいところから適用していくことが重要であると考えています。

また、ベータ版ということもあり、検索部分の精度もまだまだ訓練中という印象を受けました。この点についても日々賢くなってくれることを期待したいと思います。

検索範囲の絞り込みは現時点できなさそう

検索範囲を特定のページ、データベース、チームスペースに限定することは現時点ではできなさそうです。例えば、セキュリティ関連の規定が存在する場所をユーザーが把握していて、その中から特定の記載を見つけたいケースなどに検索範囲の絞り込みをやりたいところですが、Q&Aは常に全力でワークスペース内であなたがアクセスできるすべてのページを検索してしまうようです。

検索範囲が広いとノイズが増えてしまうので、今後の対応に期待です。

想定されるユースケース

Notionにどのような性質の情報を置いているかにも依存しますが、以下のようなユースケースが想定されます。

  • 社内Wikiに関する情報を質問する
  • 社内規定や手順書の内容を質問する
  • 特定の顧客に対する情報を質問する
  • 特定の部門の定例MTGのトピックに対して質問をする
  • 特定の製品や技術に関する情報を検索する

おわりに

AIに関する構築支援サービスを提供していて、検索の部分はニーズが多いところなので、今回の新機能追加は非常に嬉しいばかりです。現時点でも業務活用を狙えるレベルに近づいていると思いますが、さらに生成AIのモデルは続々と良くなっている傾向があるので、データをしっかりと貯めておけば、将来的に非常に強力な武器となってくれるのではと思います。Notionがこれからもどのように進化していくのか、私たちユーザーにとっては非常に楽しみです。

関連ブログ・関連サイト

参考文献

ぐっち

コンサル会社にてISO27017やISMAP等のセキュリティ規格案件を経験した後、クラティブに入社。セキュリティチーム所属ですが、最近は生成AI等を使ったシステムの開発や導入をやっています。趣味はダンス。Microsoft MVP for AI Platform & M365(Copilot)