はじめに
こんにちは、俊介です!
今回はタイトルにもある通り、2026年4月28日にGA(一般提供開始)された Box Automate を、Enterprise Plus環境で実際に触ってみた検証記事になります。
先に結論
読み進める前に結論だけ先にお伝えします。
現状のEnterprise Plusは「Box内完結型の自動化」として割り切って使うのがベストです。
- シンプルな承認フローや請求書ルーティングなどの業務には機能する
- メタデータは従業員が手動入力する必要があるため、大量ファイル処理には向かない
- ループオーバーでのメタデータ条件分岐や外部SaaS連携はEnterprise Advancedが必要
- リリースされたばかりで、テンプレートギャラリーがまだBox Relayのものという状態
「触れる機能は揃っているが、業務に本格導入するにはまだ惜しい」というのが正直な印象です。とりあえず触ってみようかなって方はこのまま読み進めてください!
どんなユーザー向け?
- Boxをメインでドキュメント管理している企業
- 2026年4月にGAされたBox Automateが気になっている方
- Enterprise Plusでどこまでできるのか知りたい方
なお、Box公式プレスリリースによると、Box AutomateはBusinessプラン以上の全アカウントで利用可能で、利用できる機能はプランによって異なります。プランが足りないと一部機能が使えないのでご注意ください。
そもそもBox Automateとは?
Box AutomateはBoxにネイティブに組み込まれたワークフロー自動化ツールです。
今まであったBox Relayの後継?にあたるもので、ドラッグ&ドロップのビジュアルキャンバスでワークフローを組み立てられます。ファイルのアップロードやメタデータの更新をトリガーに、承認タスクの割り当て・フォルダ移動・通知送信などのアクションを自動で実行してくれます。
Box公式プレスリリース(2026年4月28日)によると、プランによってできることが変わってきます。
| プラン | できること |
|---|---|
| Business / Business Plus | ファイル・フォルダの自動化、電子サインイベント連携 |
| Enterprise / Enterprise Plus | ↑に加えてメタデータ活用ワークフロー+複雑なロジック |
| Enterprise Advanced | ↑に加えてAIエージェント・Box Extract・Box Forms・Box Doc Gen フル活用 |
見た感じ、Enterprise / Enterprise Plusでも良さそうだけど、AIも一緒に使いたいならEnterprise Advancedにしないと有効活用できなさそう。
Box RelayとBox Automateの違い
Box Automateは「Box Relayの次世代版」という位置づけみたいです。Box公式サポートページ「Differences Between Box Automate and Box Relay」によると、主な違いは以下の4点です。
| 比較項目 | Box Relay | Box Automate |
|---|---|---|
| UI | 縦スクロールの設定画面 | ドラッグ&ドロップのビジュアルキャンバス |
| ワークフロー共有 | 所有者1人のみ | 複数人での共同編集が可能 |
| 変数・ロジック | 限定的 | 動的変数フレームワークとして大幅強化 |
| AI連携 | なし | AIエージェント連携(Enterprise Advanced) |
実際に触ってみて最初に気づいたのが、テンプレートギャラリーがまだBox Relayのものだったという点です。
テンプレートギャラリーを開いたら「Relayテンプレートギャラリー」というタイトルが表示され、実際にテンプレートを使用しようとするとURLが以下のようになりました。
automate/workflow/relay/new/***一方、「新規+」→「ワークフロー」から作成すると、URLは以下になります。
automate/workflow/newリリースされたばかりなので、テンプレートギャラリーはまだRelayのものが流用されている状態のようです。これは今後Box Automationのテンプレートが出来てくるんだと思います。
今回触る環境情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プラン | Enterprise Plus |
| 用途 | 検証用サンドボックステナント |
Box Automateの画面構成
「新規+」→「ワークフロー」から作成すると、こんな画面が開きます。
- 左側:ドラッグ&ドロップでノードを配置する場所
- 右側:使えるトリガー・アクション・分岐オプションのライブラリ
トリガーの種類
| トリガー | 概要 |
|---|---|
| ファイルイベント | アップロード・移動・削除など12種類 |
| フォルダイベント | 作成・移動・削除など6種類 |
| メタデータイベント | メタデータが適用されたとき |
| 手動で開始 | ファイルを選択して手動起動 |
| トリガーのスケジュール設定 | 毎日・毎週など定期実行 |
| Signイベント | 署名完了・期限切れなど |
| タスクイベント | タスクの完了・承認・拒否 |
| ファイルリクエスト | ファイルリクエスト経由でのアップロード |
アクションの種類
| アクション | 概要 |
|---|---|
| ファイルアクション | 移動・コピー・名前変更・削除・ロックなど11種類 |
| フォルダアクション | 移動・作成・コピーなど |
| 通知を送信 | Box内通知+メールを送信 |
| タスクアクション | 承認タスク・一般タスクを割り当て |
| メタデータを追加 | メタデータテンプレートを適用 |
分岐の種類
| 分岐 | 概要 |
|---|---|
| 分岐 | 複数の並列ルートに分岐 |
| 条件分岐 | 条件に応じてルートを振り分け |
| ループバック | 前のステップに戻る |
| ループオーバー | フォルダ内のファイルを1つずつ処理 |
カスタムHTTPはEnterprise Plusでは使えなかった
Box公式サポートページ「About Box Automate」のOutcomesセクションには「HTTPS Request** — call external APIs directly from a workflow」という記述があります。これを見てAsanaなどの外部SaaSとの連携を試みたのですが、Enterprise Plusの画面にはHTTPS Requestが表示されませんでした。
同ページの注釈を確認すると、Enterprise/Enterprise Plus限定の機能には「*」、Enterprise Advanced限定には「**」が付いており、HTTPS Requestには「**」が明記されています。つまりドキュメント上もEnterprise Advanced限定と明記されていました。検証結果と一致しています。
Enterprise Plusは「Box内完結型の自動化」という位置づけになります。Asanaなどの外部SaaSとの連携はEnterprise Advancedか、Make/Zapierなどの連携ツールを別途使う必要があります。
やってみたユースケース:多段階承認フロー
Before(手動の場合)
手動でやる場合の流れは下記で考えました。
- 営業がメールで契約書を添付して申請
- 上長がメールを見落とす・返信忘れ
- 営業がリマインドメールを送る
- 紙に印鑑→スキャン→Boxに保存
メール往復・見落とし・印鑑スキャンと、地味にしんどい作業が積み重なっています。
After(Box Automate導入後)
Box Automateで組んだフローはこうなります。
トリガー:契約書フォルダにメタデータを適用
↓
条件分岐(契約金額 > 100万円)
├─ 分岐経路1(100万超=部長承認)
│ └─ 承認タスク(部長)
│ ├─ 承認 → 契約書_承認済みへ自動移動
│ └─ 拒否 → 申請者に差し戻し通知
└─ Else(100万以下=課長承認)
└─ 承認タスク(課長)
├─ 承認 → 契約書_承認済みへ自動移動
└─ 拒否 → 申請者に差し戻し通知事前準備:メタデータテンプレートの作成
ワークフローを組む前に、管理コンソール→メタデータで「契約書管理」テンプレートを作成します。
| フィールド名 | 種類 |
|---|---|
| 契約金額 | 数字 |
| 契約種別 | ドロップダウン(NDA・業務委託契約・売買契約・その他) |
| 承認ステータス | ドロップダウン(申請中・承認済み・否認・差し戻し) |
| 申請者 | テキスト |
ポイント: テンプレートを保存するとフィールドタイプを変更できなくなるので、保存前にしっかり確認してください。
ワークフローを組んでみる
こんなフローを作ってみました。(ほぼBox Relayのテンプレートに似たようなものにしてみました)
トリガーにメタデータイベントを設定した後、条件分岐でメタデータ属性「契約金額」を変数として選択できました。ここが地味に重要で、メタデータテンプレートを事前に作っておかないと変数として使えません。
タスクアクションのメッセージ欄では / を入力することでメタデータの値を動的に挿入できます。例えばこんな感じです。
契約金額が{{契約金額}}円の契約書です。承認をお願いします。実際に動かしたら、メール+Boxのタスク一覧にこのメッセージが届きました。
通知の届き方がアクションによって違う
検証していて気づいたのが、アクションの種類によって通知が届く場所が違うという点です。
| 場所 | タスクアクション | 通知を送信アクション |
|---|---|---|
| メール | 届く | 届く |
| Boxベルマーク | 届かない | 届く |
| Boxタスク一覧 | 届く | 届かない |
タスクアクションはタスク一覧からワンクリックで承認・拒否ができて、しかも期日まで設定できるので使い勝手が良いです。
通知先を動的に指定できる
通知を送信アクションの通知先には、固定のメールアドレスだけでなく以下の動的変数も使えました。
- ワークフローの所有者:ワークフローを作った管理者
- トリガー:ファイル所有者:ファイルをアップロードした人(=申請者)
- トリガー:ユーザー:トリガーを発火させたユーザー
差し戻し通知に「トリガー:ファイル所有者」を設定しておくことで、誰が申請してきても申請者本人に通知が飛ぶ仕組みが作れます。
動作確認
実際に150万円の契約書をアップロードしてメタデータを入力したら、部長承認ルートのタスクが発火しました。メッセージには「契約金額が1500000.0円の契約書です。承認をお願いします。」と動的に挿入されていました。
承認ボタンを押すと、契約書が「契約書_承認済み」フォルダへ自動移動。50万円の契約書で拒否を押すと、申請者に「契約書が差し戻されました」という通知が15秒以内に届きました。
▼フォルダにファイルを入れる
▼メタデータ入力
▼タスク通知
▼承認を押すとフォルダが移動された
▼拒否された場合は申請者に通知
応用:請求書ルーティング
多段階承認フローから条件分岐を外すとこんなシンプルなフローにもなります。
トリガー:請求書フォルダにメタデータを適用
↓
承認タスク(経理担当者)
├─ 承認 → 請求書_月次フォルダへ移動+完了通知
└─ 拒否 → 申請者に差し戻し通知メタデータテンプレートには取引先名・請求金額・月度・処理ステータスを設定。承認タスクのメッセージに {{取引先名}}から{{請求金額}}円の請求書が届きました! と動的に挿入できるので、誰の何の請求書かが一目でわかります。
Enterprise PlusとAdvancedの境界線
ループオーバーでメタデータ条件分岐ができない
スケジュールトリガー+ループオーバーを使って「有効期限が30日以内のファイルに通知する」というワークフローを組もうとしたのですが、ループオーバーで取得したファイルのメタデータを条件分岐の変数として使う機能が現時点ではサポートされていませんでした。
これはBox Automateの公式サポートページにも「There is no support for metadata from Current Outcome.」と明記されています。
つまり「コンプライアンス文書の期限管理」のような「ファイルごとにメタデータを見て条件を変える」処理は、現状のEnterprise Plusではできません。
Enterprise Plusでできること・できないことの整理
できること
- メタデータをトリガーにしたワークフロー
- 条件分岐(メタデータの値で承認者を変えるなど)
- 承認タスクの割り当て・通知送信
- 承認後のファイル自動移動
- ループオーバーで全ファイルに同じ処理を一括適用
できないこと(Enterprise Advancedが必要)
- ループオーバー+メタデータ条件分岐
- Box ExtractによるAI自動メタデータ抽出
- カスタムHTTPによる外部SaaS連携
- AIエージェント・Box Forms・Box Doc Gen連携
結論
改めてになりますが、Enterprise Plusは 「Box内完結型の自動化」 として割り切って使うのがベストです。
メタデータは従業員が手動入力する必要があるので、ファイル数が多い業務には向きません。「月に数件の契約書承認」「経理担当が請求書を仕分けてルーティング」くらいのシンプルなフローであれば十分機能します。
「ファイルをアップロードするだけで全部自動化したい」「大量のファイルを毎日処理したい」という場合はEnterprise Advancedが必要です。Box ExtractでAIが自動的にメタデータを抽出してくれるので、従業員はファイルを置くだけで済みます。
全体の所感
- Box AutomateのビジュアルキャンバスUIは直感的で使いやすい
- 条件分岐・動的変数・通知先の動的指定など基本機能は揃っている
- ただしEnterprise Plusでは「メタデータは手動入力」が前提なので、大量ファイル処理には向かない
- ループオーバーでメタデータ条件分岐ができないのは思ったより制約が大きい
- テンプレートギャラリーがまだRelayのもの→リリースされたばかり感がある
- 「すぐに業務を楽にできるか?」と言われると、シンプルなフローなら◎、複雑な要件はAdvancedが必要
さいごに
ここまで読んでくださってありがとうございました!
今回は2026年4月にGAされたBox Automateを、Enterprise Plus環境で検証してみました。
触る前は「ノーコードでどこまでできるんだろう」と期待していましたが、正直なところ 現時点のEnterprise Plusでは「触れる機能は揃っているが、業務に本格導入するにはまだ惜しい」 という印象です。
特にメタデータの手動入力が必須という点と、ループオーバーでのメタデータ条件分岐ができない点は、実務で使うには結構ネックになります。
一方で、Box AIも連携できるEnterprise Advancedでは「ファイルを置くだけで全自動」が実現できるようになるので、そちらも機会があれば検証してみたいと思います。
では、またの機会に。





