経理担当のShotaです。今年1月に株式会社クラウドネイティブへ入社し、気づけば3ヶ月が経ちました。
前職では毎日オフィスに出勤する、いわゆる「フル出勤」の経理担当でした。請求書の受け取りから押印、ファイリングまで、業務の大半が紙を中心に回っていました。そんな私が、フルリモート・フルフレックスの会社に飛び込んでみて気づいたことを書きます。
「経理はリモートができない」は本当でしょうか。この3ヶ月の実体験から、その答えを整理してみました。
3行まとめ
- 経理=出勤必須、は思い込みかもしれません
- 出勤が必要になる原因は「紙」と「ログが残らない対面コミュニケーション」の2つです
- どちらも運用を変えれば減らせます。まず自分の業務を棚卸ししてみてください
入社してまず驚いたこと
フルリモートの会社であることは入社前から知っていました。ただ、頭でわかっていることと実際に体験することは別物でした。
入社初日に最も衝撃を受けたのは、経理担当として、本当に初日からフルリモート・フルフレックスで業務が成立していたことです。さらに驚いたのがPC設定です。入社当日、PCは自動でアクティベートされており、セットアップもオンラインのレクチャーを受けながら完全にリモートで完結しました。「出社してITチームに渡す」「対面で説明を受ける」といった手順が一切なく、それ自体が会社の文化を象徴しているように感じました。
実際に業務に入ってみると、確かに出勤が必要な場面はあります。でも、その頻度は想像よりずっと少なかったです。最初の1ヶ月は「なぜ出勤しなくていいのか」を考え続けていました。
そして3ヶ月かけてたどり着いたのは、フル出勤が必要になる原因は大きく2つあるという結論です。
壁①:「出勤が必要な業務」の正体は紙だった
出勤が必要になる理由の一つ目が、紙です。
具体的には:
- 郵便物の受け取り・仕分け:請求書や契約書が紙で届く場合
- 原本の保管・ファイリング:税務上の保存義務がある書類
- 押印・捺印:電子印鑑に移行していない取引先とのやり取り
- 現金・小口精算:現金を扱う場合は出勤が必要
逆に言えば、これらの「紙イベント」がない日は出勤する理由がほとんどありません。前職で毎日出勤していたのは業務の都合ではなく、紙の都合だったのかもしれないと気づきました。
壁②:対面コミュニケーションは「ログが残らない」構造になっている
もう一つ、同じくらい驚いたことがあります。それは、フル出勤の職場ではコミュニケーションの記録がほとんど残らないという問題です。
これは咄嗟の会話に限りません。事前にスケジュールされた会議でも、レコーディングや議事録が残っていないケースは珍しくありませんでした。前職を振り返ると、こんな場面が日常的にありました。
咄嗟のやり取り:
- 上司に口頭で確認してそのまま処理した
- 隣の席の人に「あれどうなった?」と聞いてその場で解決した
スケジュールされたミーティングでも:
- 会議で決定した内容がどこにも書き残されなかった
- レコーディングなし・議事録なしで「言った・言わない」が後から曖昧になった
- 参加できなかったメンバーへの共有が口頭の伝言ゲームになった
その場では問題なく進んでいるように見えますが、後から「あの処理、なぜそうしたんだっけ?」「あの会議で何が決まったんだっけ?」となったとき、根拠がどこにも残っていない。経理業務では、処理の根拠が後から問われる場面(税務調査・監査・引き継ぎ)が必ずあります。ログのない対面コミュニケーションは、そのときに大きなリスクになります。
つまり、対面コミュニケーションが多い職場は意図せず業務のMECE(モレなく・ダブりなく)を損ない続けていると言えます。
リモートワーク中心の職場では、この問題が構造的に起きにくくなっています。チャットツールでやり取りすれば自然とログが残り、「なぜその判断をしたか」が後から検索できます。オンライン会議はレコーディングや文字起こしが容易で、参加できなかったメンバーにも正確に共有できます。リモートワークの導入は、働き方の変化であると同時に、業務の透明性を高めるきっかけでもあるのです。
「リモートでできる業務」は思ったより多い
では、リモートで問題なくこなせる業務は何か。実際に3ヶ月やってみた感覚では、以下はほぼ支障がありませんでした:
- 仕訳入力・会計ソフトの操作:クラウド会計ならどこからでもアクセス可能
- 請求書の照合・突合:PDFで受け取れる取引先との業務
- 社内の経費精算対応:チャットツールやメールでやりとりできればOK
- Excelでの集計・分析:もちろんリモートで完結
- 銀行振込:インターネットバンキングで完結
加えて気づいたのが、税理士や各種経理サービス提供者とのやり取りも、ほぼすべてオンラインで完結していることです。前職では定期的に対面で打ち合わせをしていましたが、対面と変わらずやり取りできています。
もう一つ、入社してから大きく変わったのが会計資料の管理と活用のやり方です。資料をクラウドに保存するだけでなく、AIに「○○に関する資料はどこにある?」と聞くと短時間で見つけ出してくれます。なかでも印象的だったのは、AIが資料の内容を自律的に読み取り、自分では存在を忘れていた関連資料まで合わせて提案してくれることです。
この体験をきっかけに、今はクラウド保存した会計資料とAIの処理を組み合わせて、分析資料やミーティングのアジェンダを自動で作成するツールの構築と改善に取り組んでいます。リモートワークは「場所を選ばない」だけでなく、こうした業務改善の実験を日常的に回せる環境でもあると実感しています。
2つの壁を越えるための運用改善
紙を減らすには:
① 電子帳簿保存法の活用:2024年から本格施行された制度で、電子データで受け取った請求書はデータのまま保存できます。紙で受け取る頻度を減らす交渉の根拠にもなります。
② 電子印鑑の導入:CloudSignやDocuSignなどのサービスで、押印をオンラインで完結させる取引先を増やしていきます。
③ 請求書受領のデジタル化:「紙で送ってください」から「PDFで送ってください」へ。取引先に一言お願いするだけで変わることも多いです。
ログを残す文化を作るには:
④ 口頭決定をチャットツールで残す習慣:「さっき話したこと、念のためここに書いておきます」の一言で、業務の根拠が残ります。
⑤ 会議後の議事メモをテキストで残す:長文でなくていい。「決定事項:○○、担当:○○、期限:○○」の3行でも十分です。
まとめ:出勤の原因は「紙」と「口頭文化」の2つ
3ヶ月の経験から言えることは、経理の出勤日数は「紙の量」と「口頭コミュニケーションの多さ」に比例しているということです。
フル出勤で働いている経理担当の方は、一度自分の業務を棚卸しして、「この出勤は紙のためか、それとも対面でないとできないコミュニケーションのためか?」を問い直してみてください。
どちらも少しずつ運用を変えれば減らせます。完全リモートが目標でなくても、週に1〜2日でも在宅できる日が増えれば、働き方の選択肢は確実に広がります。





