【2026年5〜6月】AzureのAI(Foundry)の開発者向けアップデートを、まとめてみた

はじめに

こんにちは、俊介です!

普段はAzureを中心に、お客様向けにAIソリューションの構築をやっています。

今日はいつものハンズオン検証ブログとは少し趣向を変えて、ここ1ヶ月(2026年5月中旬〜6月中旬)のAzureのAI系アップデートを、開発・実装の目線でまとめてみました

あるあるなのが「Microsoftの発信、量はすごいけど情報がバラバラで追いきれない!」と自分が思ったからです。Foundry Blog、Azure Blog、Build のニュースページ、各サービスのリリースノート……と窓口が分散していて、しかもプレビューなのかGAなのかも入り混じっているので、「で、結局いま何が本番で使えるの?」が分かりにくいんですよね。

なので、今回は公式ドキュメントを見つつ約1ヶ月間の動きをまとめてみました。

この記事もおすすめです

Build 2026の全体像・思想的な話・セキュリティ/ガバナンス観点については、同じ弊社ブログで すかんくさんが記事を書いています。

Microsoft Build 2026まとめ ~コンテキストの海をAIが泳ぐ時代に、業務基盤屋は何を考えるか~

Microsoft IQの世界観や、Agent 365・Entra Agent ID・Purviewといったガバナンス/セキュリティの話が書かれてあります!

この記事ではどんなユーザー向け?

  • Azure AI Foundryで実際にエージェントやAIアプリを「作っている」開発者の方
  • 5月〜6月に何が増えたのか、実装に効くものだけサクッと把握したい方
  • 「プレビュー」と「GA」を分けて、本番で使えるものだけ知りたい方
  • 自治体・エンタープライズでAIの実装・導入を担当しているエンジニアの方

まず「情報がどこにあるか」のマップ

本題に入る前に、そもそもMicrosoftのAI情報がどこで発信されているかを整理しておきます。ここを押さえるだけで、だいぶ追いやすくなります。

情報源何が分かるか
Microsoft Foundry Blog(devblogs)Foundryの月次まとめ・モデル追加・新機能
Azure Blogデータ基盤・大型発表(HorizonDBなど)
Microsoft for DevelopersBuildなどイベントのまとめ
Build News ページBuildの全発表が一覧で見られる
Microsoft Learn「What's new」ドキュメントベースの正式な更新履歴

個人的には、Foundryまわりだけ追うなら Foundry Blogの月次「What's new」記事を毎月チェックする のが一番ラクだと思います。

それでは見ていきます。今回の1ヶ月は、ちょうど 「Build前(5月)」「Build 2026(6/2〜3)」 できれいに2フェーズに分かれているので、その流れで紹介します。

この記事に出てくる用語を簡単に

固有名詞が一気に出てくるので、先にざっくり整理しておきます。「もう知ってるよ!」という方は読み飛ばしてOKです。用語名に公式ドキュメントへのリンクを張ってあるので、詳しく知りたいものはそちらへどうぞ。

用語ざっくり言うと
Microsoft FoundryAIアプリ・エージェントを「作る→テスト→デプロイ→運用」まで一気通貫でやれる、Microsoftの統合プラットフォーム(旧 Azure AI Foundry)
Foundry Agent ServiceFoundry上でエージェントを動かすためのサービス
Hosted agentsエージェントをMicrosoft側のマネージドな環境(サンドボックス)で本番稼働させる仕組み。サーバー管理を自前でしなくていい
Microsoft Agent Framework複数ステップ・複数エージェントの制御(オーケストレーション)を組むための開発フレームワーク
グラウンディング(grounding)LLMの回答を、社内データやWebなど「信頼できる情報源」に紐づけて答えさせること。ハルシネーション(それっぽい嘘)対策
Foundry IQエージェントの背後に置く専用の「ナレッジ層」。自前でRAGを組まなくてもデータソースをつないでグラウンディングできる
Web IQWebから最新情報を取ってきてグラウンディングに使う仕組み(Bingベース)
Microsoft IQFoundry IQ / Web IQ / Work IQ / Fabric IQ をまとめた呼び名。「エージェントに文脈を与える層」のファミリー
メモリ(procedural/user/session)エージェントが会話や作業の文脈を覚えておく仕組み。手続き・ユーザー・セッションの3種類
Toolboxesエージェントが使えるツール(APIなど)をまとめて管理する仕組み
Voice Liveエージェントにリアルタイム音声での対話経路を持たせる機能
観測性(Observability)エージェントが「何をどう判断して動いたか」を可視化・監視すること。Trace / Evaluate / Monitor / Optimize の4本柱
トレース(Trace)モデル呼び出しやツール実行など、エージェントの各ステップの記録
評価(Evaluation / Evals)エージェントの出力の品質・安全性・タスク達成度を採点すること
OpenTelemetry(OTel)アプリの動作ログ・トレースを集める業界標準の仕組み。Foundryもこれに対応
Managed VNETMicrosoftが管理する仮想ネットワークでFoundryを分離・保護する構成
BYO VNet自社で用意した仮想ネットワークにFoundryやエージェントをつなぐ構成(Bring Your Own VNet)
MAIモデルMicrosoftが自社開発しているAIモデル群(Microsoft AI)
Azure HorizonDBAIエージェント向けに作られた、PostgreSQL互換のフルマネージドDB。ベクトル検索などを内蔵

そして、この記事で何度も出てくるステータス用語だけ、先に押さえておくと早見表が読みやすくなります。

  • プレビュー(Preview):試用はできるが、基本的に本番利用は非推奨(評価・検証フェーズ)
  • GA(General Availability):正式提供。本番で使ってOK
  • gated GA:申請ベース・条件付きで正式提供されるGA

フェーズ1:Build前(2026年5月)の動き

Build 2026のインパクトが大きすぎて見落とされがちですが、5月にもまとまった更新が出ています。実装目線だと、むしろこっちのほうが「すぐ効く」ものが多いです。

モデルの追加

  • Grok 4.3(xAI)がFoundryに追加。エージェント用途・ドメイン特化ワークロード向け。
  • DeepSeek V4 ファミリーがカタログに登場。
  • Fireworks AI経由で DeepSeek V4 ProKimi 2.6 も利用可能に。
  • GPT-5のReinforcement Fine-Tuning(RFT) がgated GAに昇格。

Managed VNET が GA(実装的にここ重要!)

そして個人的に一番注目していたのがこれです。Foundryの Managed VNET(Microsoftマネージドのネットワーク分離)がGA になりました。

実はこのManaged VNET、自社テナントで事前に検証していたところなので、「ついにGAか!」という感覚でした。自治体やエンプラ案件だと、パブリックアクセス前提の検証環境から、本番向けの私設ネットワーク構成へどう持っていくかが毎回の悩みどころなので、ここがGAになった意味は大きいです。

※このあたりは別途、実機検証ブログを書こうと思っています。

評価まわり

  • トレースベースの評価 が、外部エージェント/ホスト型エージェント両方に対応。手作りのデータセットを用意しなくても、本番のトレースをそのまま採点できるようになりました。
出典:What's new in Microsoft Foundry|May 2026(Foundry Blog)

フェーズ2:Build 2026(6/2〜3)の「作る・動かす」アップデート

ここからがBuildの波です。発表は山ほどありますが、本記事では開発・実装に効くものに絞ります。役割ごとに分けて見ていきます。

(くり返しになりますが、Microsoft IQの世界観やセキュリティ/ガバナンスの全体像は すかんくさんの記事 が詳しいので、そちらと合わせてどうぞ)

① エージェントを「本番で動かす」基盤

  • Hosted agents(Foundry Agent Service):本番エージェント向けのマネージドランタイム。各セッションが専用のコンピュート・メモリ・ファイルシステムを持つサンドボックスで動きます。現在パブリックプレビューで、20リージョンで利用可能。GAは6月末〜7月初旬予定
  • Microsoft Agent Framework:オーケストレーションの基本部品が安定版に。
  • Foundry Toolkit for VS Code:GA。VS Code上でエージェントをテンプレートから作って、ローカルで動かしてからデプロイ、という流れが組めます。
出典:What's new in Microsoft Foundry|Build Edition / What's New in Hosted Agents in Foundry Agent Service

② ツール・チャネル・メモリ

  • Toolboxes in Foundry:エージェントが使うツールをまとめて管理。パブリックプレビュー。
  • Voice Live:リアルタイム音声の経路を追加。テキストのホスト型エージェントにも音声をワンクリックで載せられるように。
  • Memory in Foundry Agent Service:パブリックプレビュー。procedural(手続き)/ user(ユーザー)/ session(セッション)の各メモリに対応。会話履歴やユーザー設定をまたいで保持できます。
  • Teams / Microsoft 365 Copilotへの発行:Foundryのエージェントを、社員が普段使うツールに直接デプロイ。ID・権限・ポリシーが自動で引き継がれます。GAは6月予定

③ グラウンディング(ナレッジ取得)

  • Foundry IQ:RAGパイプラインをゼロから組む(チャンク化・インデックス・取得をデータソースごとに実装する)代わりに、エージェントの背後に専用のナレッジ層を置ける仕組み。自前でRAGを作り込んできた身としては、ここは素直に気になる機能です。
  • Web IQ:Webからのリアルタイムな情報をエージェントに与えるグラウンディング(Bingベース)。
補足:Foundry IQ・Web IQを含む「Microsoft IQ」全体が何を狙っているのか、という世界観の話は すかんくさんの記事 が掘り下げています。本記事では「実装で使える機能」として事実ベースに留めます。

④ 観測性(Observability)

Trace(全ステップのテレメトリ)/ Evaluate(品質・安全性・タスク完了の採点)/ Monitor(Azure Monitor連携の検知・アラート)/ Optimize(本番シグナルから改善案を提示)の4本柱。

  • どのフレームワークでもトレース&評価:OTelエクスポータをFoundryに向けるだけで、Microsoft Agent FrameworkでもLangChainでもOpenAI SDKでも有効に。パブリックプレビュー。
  • Rubric:エージェントの文脈に応じて評価基準を自動生成する新しいEvaluator。パブリックプレビュー。
  • ホスト型エージェント向けのトレース&評価は、6月中にGA予定
出典:Build 2026: From observability to ROI for AI agents on any framework / Build and run agents at scale with Microsoft Foundry

⑤ モデル・チューニング

  • 新しいMAIモデル:Microsoft自社開発のモデル群が追加。サイズの幅が広がりました(推論・コーディング・画像・文字起こしなど)。
  • Frontier Tuning:フロンティアモデルをFoundry内でファインチューニングする新しいアプローチをデモ。
出典:Microsoft Build 2026 recap(Microsoft for Developers)

⑥ データ基盤

  • Azure HorizonDB:パブリックプレビュー。PostgreSQL互換のフルマネージドDBで、ゾーン冗長がデフォルト、ストレージは128TBまで、コンピュートは3,072 vCoreまでスケール。ベクトルインデックス・セマンティック検索・Foundryへの直接接続を内蔵。
  • Cosmos DB agent memory toolkit:プレビュー。Cosmos DB・Durable Functions・Foundryモデルを組み合わせたエージェントメモリの標準基盤。
  • Cosmos DB Linux Emulator:GA。Linux / macOS / Windowsでローカル開発・テストが可能に。
  • Cosmos DBのセマンティック再ランキング:プレビュー。検索の関連性を、組み込みのコンテキスト理解で高める機能。
出典:Azure HorizonDB: Enterprise-Ready Postgres, Engineered for the AI Era / Microsoft Build 2026: Building agentic apps with Microsoft Fabric and Microsoft Databases(Azure Blog)

ステータス早見表

「で、結局いま何が使えるの?」を一覧にしました(※2026年6月時点。ステータスは今後変わる可能性があります)。

機能ステータス
Managed VNETGA
GPT-5 RFTGated GA
Foundry Toolkit for VS CodeGA
Cosmos DB Linux EmulatorGA
Hosted agents(Foundry Agent Service)プレビュー(GAは6月末〜7月初旬予定)
Teams / M365 Copilotへの発行プレビュー(GAは6月予定)
ホスト型エージェントのトレース&評価プレビュー(GAは6月中予定)
Toolboxes / Memory / Foundry IQ / Web IQプレビュー
Rubric / どのフレームワークでもトレース&評価プレビュー
Azure HorizonDB / Cosmos DB agent memory toolkit / セマンティック再ランキングプレビュー

所感

現場でAzureのAIを「実装している」目線で、本音をいくつか。

  • エージェントの本番運用に必要なピース(ランタイム・メモリ・観測性)が一通り揃ったのが、実装側としては一番大きい。去年までの「作れる」から、今年は「運用できる」に手が届いた印象。◎
  • 自治体・エンプラの実装目線だと、5月のManaged VNET GAが地味に一番効きます。私設ネットワーク要件のある案件で「本番に持っていける」材料が増えた。実機でも触っていたので体感込みで◎。
  • Foundry IQは、自前でRAGを組んできた身からすると素直にありがたい。ただ、既存のグラウンディング構成からどう移行するかは要検証なので、現時点では○。
  • 一方で、話題の機能の多くがまだプレビューなのは正直なところ。本番採用の判断は、GA時期とリージョン展開をちゃんと見てからが安全です。△
  • 情報源がバラバラな問題は相変わらずなので、月1でFoundry Blogの「What's new」を見る習慣をつけるのがおすすめです。

参考リンク

本記事の内容は、以下の公式情報をもとにまとめています。詳細は各リンク先をご確認ください。

あわせて読みたい(弊社ブログ)

さいごに

ここまで読んでくださってありがとうございました!

普段は検証ブログが多いですが、こうして1ヶ月分を開発・実装の目線で整理してみると、「いま自分の案件にどれが効くか」が見えてきて、ちょっとだけワクワクしました。

プレビューのものは、追って実機で触って検証ブログにしていこうと思います。特にHosted agentsの私設ネットワーク対応あたりは、自分の案件にも直結するので優先的にやりたいところです。

少しでも参考になれば嬉しいです!また書きます!!

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