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Claude MCP + Claude 3.7 Sonnetでポケモンカードゲームのデッキ分析をしてみた

IDチームの前田です。 最近Claude MCP、Cursor MCPの検証しているので、今回は筆者が日々娘達にボコられているポケモンカードゲームの環境デッキ分析をしてみました。ちなみに筆者はソウブレイズexデッキを愛用しています。

3行まとめ

  • Claude MCP + Claude 3.7 Sonnetでポケモンカードのデッキ分析をしてみた
  • Claude MCPで外部リソースにアクセスし、Claude 3.7 Sonnetにて分析をさせることで精度の高い分析が可能
  • Claude MCPで複数リソースを組み合わせることで可能性がさらに広がる

Claude MCPとは

  • Claude MCPは、LLMであるClaudeが外部ツールと連携するためのオープンプロトコルで、データベース、ファイルシステム、APIなど様々なデータソースと安全に接続し、自然言語での操作を可能にします。
  • チャットを通じてデータへのアクセスや操作が行え、AIアシスタントの活用範囲を大幅に拡張します
  • MCPを利用することでローカルのファイル、Google Drive、GitHub、Notion、SlackなどとAIアシスタントと連携が可能になります。

Claude 3.7 Sonnetとは

Claude 3.7 Sonnetは、Anthropic社が2025年2月25日に発表した最新のAIモデルで、「標準モード」と「拡張思考モード」を単一モデルで切り替え可能なハイブリッド推論モデルです。拡張思考モードでは思考過程が可視化され、複雑な数学、科学、プログラミングの問題に対して最大128Kトークンまでの深い推論が可能になっています。また、不要な応答拒否を45%削減し、より自然な対話を実現しています。

ポケモンカードゲームの用語説明

  • デッキ
    • ポケモンカードゲームのデッキとは、通常60枚のカード(ポケモンカード、トレーナーカード、エネルギーカード)で構成される、バトルに必要なカードセットのことです
  • 環境デッキ
    • ポケモンカードゲームの競技シーンにおいて多く使用され、高い勝率を誇るデッキのことを指します。現在(2025年2月)の環境では、ドラパルトex、テラスタルバレット、タケルライコex、サーフゴーexが環境の中心となっています

ちなみに下記がチャンピオンズリーグ2025 福岡 マスターリーグを制したデッキになります。

セットアップ方法

Claude MCPのセットアップについては公式参照ください。

セットアップの流れ

公式ドキュメントが一番詳しいのですが、簡単なセットアップの流れを書くと下記のようになります。

  1. Claude Desktopのインストール
  2. MacにNode.jsのインストール
  3. MCP用の設定ファイルを作成する
  4. Claude Desktopを起動
    • エラーが発生したらエラーログを見て修正を繰り返す


検証環境

筆者の検証環境は下記になります

  • Macbook Pro 16インチ(2023年Late)
  • Claude Desktop 0.7.9
  • Node v23.8.0
  • データベースにはSupabaseを利用
    • 前提として、筆者の個人的なデッキ研究のために、直近1ヶ月のポケモンカードゲームの大会結果を保存しているデータベースが存在する形になります。(こちらの作業についても本題から離れるため割愛)
    • データベースの中身としては下記の2テーブルになり、デッキ同士の相性、対戦結果、カード詳細情報などは含まれていません。情報としては非常に少ない状態です。
      • 大会の順位とデッキのテーブル
      • デッキに含まれるカード一覧のテーブル

今回の構成の説明

  • MacBook Proの中でClaude DesktopとMCPが稼働
  • 外部リソースにSupabase

MCPを動かすための設定 ~/Library/Application\ Support/Claude/claude_desktop_config.json の内容は下記のような形

{
  "mcpServers": {
    "postgres": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-postgres",
        "postgres://postgres.xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx:xxxxxxxxxxxxxxxx@aws-0-ap-northeast-1.pooler.supabase.com:6543/postgres?sslmode=require&ssl=true&rejectUnauthorized=false"
      ]
    }
}

動作に必要な環境が揃っていない、設定ファイルに不備があるなどの場合は、エラーが出るため、エラーログを確認し修正します。

Claude MCPを利用してデッキ分析をしてみる

Claude Desktopを起動し、MCPが利用出来る状態になっているとコンセントのようなマークが表示されます。

それでは実際に、プロンプトを入力してデッキ分析を行ってもらいます。いま利用者が増えている非常に強力なデッキ、オーガポンバレットについて分析をして貰います。

とだけ指示に対して、MCP経由でデータベースにアクセスし、データの内容やテーブル構造などは一切案内しなくてもClaudeが作業をしてくれます。

下記がその様子。テーブル構造を確認し、クエリを作成、結果から分析というのを自走。

そして出力された分析結果。Markdown出力なので、そのままだと見にくいですが、Notionとかに貼ればきれいに見えます。

データベースから収集したオーガポンバレットデッキのデータを分析した結果、以下の特徴が明らかになりました。

## オーガポンバレットデッキの概要

オーガポンバレットデッキは、複数の「オーガポンex」カードを状況に応じて使い分けながら戦うデッキコンセプトです。主に「みどりのめんex」と「いどのめんex」が中核となり、「いしずえのめんex」を補助的に採用するパターンが主流となっています。「かまどのめんex」は採用率が低く、現在のメタでは使用頻度が低いようです。

## 採用されるオーガポンexの分布

1. **オーガポン みどりのめんex**: ほぼすべてのデッキで採用され、平均採用枚数は2枚です。草タイプの特性を活かした攻撃力が魅力です。
2. **オーガポン いどのめんex**: 90%以上のデッキで採用され、平均採用枚数は約2枚です。水タイプの特性を持ち、コントロール面での活躍が期待できます。
3. **オーガポン いしずえのめんex**: 約40%のデッキで採用され、平均採用枚数は1枚です。超タイプの特性を持ち、特定の状況で有効活用されます。
4. **オーガポン かまどのめんex**: 採用率は非常に低く、現在のメタではあまり使用されていません。

## デッキの構成要素

### 主力ポケモン
- **ホーホー/ヨルノズク**: ほぼすべてのデッキで合計4-7枚採用されており、デッキの重要な基盤となっています。
- **スピンロトム**: 約90%のデッキで2枚程度採用され、サポート役として機能します。
- **ピカチュウex・リーリエのピッピex・ラティアスex・キチキギスex**: 各1枚程度採用され、特定の状況で有効なテクニカルカードとして機能します。
- **メタモン**: 多くのデッキで1枚採用され、ユーティリティ性の高いポケモンとして評価されています。

### トレーナーカード
- **グッズ**:
  - ネストボール: ほぼ全てのデッキで4枚採用
  - ハイパーボール: ほぼ全てのデッキで3-4枚採用
  - エネルギーつけかえ: 約90%のデッキで2-3枚採用
  - 大地の器: 80%以上のデッキで1-2枚採用
  - 夜のタンカ: 80%以上のデッキで2枚前後採用

- **ポケモンのどうぐ**:
  - きらめく結晶(ACE SPEC): ほぼ全てのデッキで1枚採用

- **サポート**:
  - アカマツ: 全てのデッキで3枚前後採用
  - ボスの指令(各種): 約95%のデッキで2枚前後採用
  - ナンジャモ: 約85%のデッキで1枚採用
  - 博士の研究(各種): 約80%のデッキで1-2枚採用
  - フトゥー博士のシナリオ: 70%以上のデッキで1枚採用

- **スタジアム**:
  - ゼロの大空洞: ほぼ全てのデッキで3枚程度採用

### エネルギーカード
- 基本草エネルギー: 平均5枚程度採用
- 基本超エネルギー: 平均2枚採用
- 基本水/雷/鋼/闘エネルギー: 各1枚程度採用

## 戦績分析

戦績データによると、オーガポンバレットデッキの成績は以下のように分布しています:

- 1位~3位: 約30%
- 4位~5位: 約25%
- 6位~9位: 約45%

この結果から、オーガポンバレットデッキはトップメタとして一定の成功を収めていますが、環境に応じた適切な調整が勝率向上のカギとなっています。

## デッキの戦略とプレイスタイル

オーガポンバレットデッキの主な戦略は次の通りです:

1. **適応型のプレイスタイル**: 異なるタイプのオーガポンexを状況に応じて使い分けることで、対戦相手のデッキに柔軟に対応します。
2. **エネルギー効率**: 「エネルギーつけかえ」や「大地の器」を利用して、エネルギーを効率的に管理します。
3. **ホーホー/ヨルノズクのサイクル**: 主力サポートポケモンとして機能し、デッキの回転率を上げます。
4. **テクニカルカードの活用**: 状況に応じて「ラティアスex」や「キチキギスex」などの単発採用カードを効果的に使用します。

## 環境における位置づけ

現在のメタ環境において、オーガポンバレットデッキは上位入賞が可能な強力なデッキとして位置づけられています。様々なデッキに対して柔軟に対応できる汎用性の高さが魅力で、プレイヤーの技術次第でさらなる成績向上が期待できます。

## まとめ

オーガポンバレットデッキは、複数のオーガポンexを使い分ける柔軟性と、堅実なサポートカード構成を持つ汎用性の高いデッキです。「みどりのめんex」と「いどのめんex」を中心に、状況に応じたテクニカルな選択肢を持つことが特徴で、メタに適応しやすい構成となっています。上位入賞の実績もあり、現環境で十分に戦えるデッキと言えるでしょう。



続いて優勝したデッキに限定した分析をしてみます

↑の雑なプロンプトから生成された、分析結果がこちら

大会で優勝したオーガポンバレットデッキに限定して分析を行いたいと思います。まず、優勝デッキのデータを取得しましょう。

今回、大会で優勝したオーガポンバレットデッキに焦点を当てて分析を行います。データベースから取得した20件の優勝デッキを詳細に調査し、その特徴をまとめました。


# 大会優勝オーガポンバレットデッキ分析

取得したデータベースの情報をもとに、大会で優勝したオーガポンバレットデッキについて詳細に分析しました。

## デッキタイプの分布

オーガポンバレットデッキは以下の3つの主要バリエーションに分かれています:

1. **純粋オーガポンバレット**: 60.0%(12デッキ)
   * オーガポンexの複数タイプを中心に構築

2. **オーガポン+タケルライコ**: 30.0%(6デッキ)
   * オーガポンexとタケルライコexを組み合わせたハイブリッド型

3. **オーガポン+イーブイ系**: 10.0%(2デッキ)
   * オーガポンexとイーブイ進化系を組み合わせたハイブリッド型

## オーガポンexの種類別使用状況

* **みどりのめんex**: 平均2.1枚(最も採用率が高い)
* **いどのめんex**: 平均1.4枚
* **いしずえのめんex**: 平均0.9枚
* **かまどのめんex**: 平均0.0枚(ほとんど採用されていない)

## 共通採用カード

### ポケモン
* **ホーホー/ヨルノズク**: 95%(平均7枚)- ドローサポートの中核
* **スピンロトム**: 90%(平均2枚)- エネルギー管理
* **ラティアスex**: 85%(1枚)- テクニカルアタッカー
* **キチキギスex**: 85%(1枚)- 特殊エネルギー処理
* **ミュウex**: 80%(1枚)- 多様な技によるサポート
* **リーリエのピッピex**: 75%(1枚)- 特殊カウンター
* **ピカチュウex**: 70%(1枚)- 雷タイプアタッカー
* **メタモン**: 60%(1枚)- 技コピー
* **ガチグマ アカツキex**: 55%(1枚)- 闘タイプアタッカー

### トレーナーカード
* **ネストボール**: 100%(平均4枚)
* **ハイパーボール**: 95%(平均3-4枚)
* **エネルギーつけかえ**: 80%(平均2-3枚)
* **ゼロの大空洞**: 90%(平均2-3枚)
* **大地の器**: 85%(平均1-2枚)
* **夜のタンカ**: 85%(平均2枚)
* **アカマツ**: 95%(平均3枚)
* **ボスの指令(各種)**: 90%(平均2枚)
* **ナンジャモ**: 85%(平均1枚)

### ACE SPEC
* **きらめく結晶**: 65%(純粋オーガポンバレットで主流)
* **プライムキャッチャー**: 35%(タケルライコハイブリッドで主流)

### エネルギー
* **基本草エネルギー**: 100%(平均5枚)
* **基本超エネルギー**: 85%(平均2枚)
* **基本水/雷/鋼/闘エネルギー**: 各80%程度(各1枚)

## デッキタイプ別特徴

### 1. 純粋オーガポンバレットデッキ

* **メインアタッカー**: オーガポン みどりのめんex(2枚)+ オーガポン いどのめんex(2枚)
* **サブアタッカー**: オーガポン いしずえのめんex(0-1枚)
* **テクニカルポケモン**: ラティアスex、キチキギスex、ミュウex等(各1枚)
* **サポートポケモン**: ホーホー/ヨルノズク(6-8枚)、スピンロトム(2枚)
* **ACE SPEC**: きらめく結晶が最多
* **エネルギー構成**: 草(5-6枚)、超(2枚)、各タイプ(1枚)の多色構成

### 2. オーガポン+タケルライコハイブリッド

* **メインアタッカー**: タケルライコex(3-4枚)+ オーガポン みどりのめんex(3-4枚)
* **サブアタッカー**: オーガポン いしずえのめんex(0-1枚)
* **サポートポケモン**: ホーホー/ヨルノズク(5-6枚)、スピンロトム(2枚)
* **ACE SPEC**: プライムキャッチャーが最多
* **サポートカード**: オーリム博士の気迫(4枚)の採用率が高い
* **エネルギー構成**: 草(6枚)、雷(3枚)、闘(3枚)の構成が一般的

### 3. オーガポン+イーブイハイブリッド

* **メインアタッカー**: ブースターex/ニンフィアex(各2枚)+ オーガポン いどのめんex(1枚)
* **サポートポケモン**: イーブイ進化ライン、ホーホー/ヨルノズク
* **ACE SPEC**: きらめく結晶が採用される
* **エネルギー構成**: 炎/水/超/雷(各2枚)のバランス型

## 戦略的特徴と成功要因

1. **柔軟性と対応力**:
   * 複数のオーガポンタイプを使い分けることで様々な対戦環境に対応
   * 単発採用のテクニカルポケモンによる状況別対策

2. **安定したサポートラインの構築**:
   * ホーホー/ヨルノズクによる安定したドローエンジン
   * スピンロトムによるエネルギー管理
   * 「大地の器」「エネルギーつけかえ」による効率的なエネルギー活用

3. **ハイブリッドモデルの特化型**:
   * タケルライコハイブリッド: 爆発力と攻撃力に特化
   * イーブイハイブリッド: タイプ多様性と特殊対策に強み

4. **環境適応性**:
   * 「きらめく結晶」「プライムキャッチャー」などのACE SPECの使い分け
   * 複数種類のエネルギーを採用することによる対応力の向上

## 結論

オーガポンバレットデッキは、純粋型とハイブリッド型の両方で優勝実績があり、特に純粋オーガポンバレット型が最も成功率が高いことが分かりました。このデッキの最大の特徴は、複数のオーガポンexタイプを状況に応じて使い分けられる柔軟性と、ホーホー/ヨルノズクによる安定したドローエンジンを持つことにあります。

最も効果的な構成は、みどりのめんex(2枚)といどのめんex(2枚)を主軸に、テクニカルなポケモンを単発で採用するバランス型です。また、タケルライコとの組み合わせも強力なオプションであり、より攻撃的なプレイスタイルを求めるプレイヤーに適しています。

これらの分析から、オーガポンバレットデッキは多様な環境に適応できる汎用性の高いデッキであり、大会で安定して結果を残せる構成であることが証明されています。

前述で書いたとおり、大会順位とデッキ、デッキに含まれるカードのみの情報でここまでの分析が可能でした。

ポケモンカードゲーム自体は歴史のあるゲームなので、Claude自体がゲームルールは理解していますが、最新カードの役割等の情報は一切持ち合わせていなくとも、ポケカ初心者の筆者には十分すぎる分析になり、デッキ同士の相性、対戦結果、カード情報(カードの役割)などの情報が揃えば、さらに高度な分析が可能になるため、Claude MCP + Claude 3.7 Sonnetの凄まじさを痛感しています。

ちなみにClaude MCPにはWEB検索もBrave Searchを利用し出来るため、

  1. WEB検索で最新の環境デッキを調べる
  2. Supabase(データベース)から環境デッキについて分析
  3. デッキの回し方、カードの役割などはWEB検索

というようなことも可能なためやってみましたが、こちらはWEB検索の精度があまり高くないせいか、現行レギュレーションに沿っていないなど、誤っている情報が散見されます。Brave Searchの使い方やプロンプトの調整が必要そうです。

今回はClaude MCP + Claude 3.7 Sonnetを利用し、ポケモンカードゲームのデッキ分析を行ってみました。 Claude MCP周辺の情報が揃ってきて、手が出しやすい状態になったかと思います。
Claudeからだけでなく、AIエディタのCursorでもMCPが利用出来るようになりましたので、そちらも記事にしたいと思います。

glidenote

memolist.vim作者. GMOペパボ、Kaizen PlatformといったWEB系スタートアップでシニアエンジニア、SRE Group Manager、Engineering Group Managerを歴任。AWS Certified Security – Specialty.
Speed Cube初心者 1/5/12=19.21/29.70/30.27。ばね指治療中