この記事は「make Advent Calendar 2024」15日目の記事です。
このアドベントカレンダーについて
このアドベントカレンダーは25日間でIPaaS製品の「make」について使い方や、実践を学べる連続ブログ企画です。
「おかしん」「ばるす」「たにあん」の3名がリレー形式でお届けします。
25日間のスケジュールは以下の通りです。
| 日付 | 内容 | 担当 |
| 12/1 | 話題のIPaaS製品「make」とは | おかしん |
| 12/2 | makeで作ってみたScenario紹介 | ばるす |
| 12/3 | make 基本操作編 機能紹介：Organization | たにあん |
| 12/4 | make 基本操作編 機能紹介：Scenario、Template | おかしん |
| 12/5 | make 基本操作編 機能紹介：Connections | ばるす |
| 12/6 | make 基本操作編 機能紹介：Webhooks | たにあん |
| 12/7 | make 基本操作編 機能紹介：DataStores、DataStructures | おかしん |
| 12/8 | make 基本操作編 機能紹介：Devices | ばるす |
| 12/9 | make 基本操作編 機能紹介：Functions | たにあん |
| 12/10 | make 基本操作編 機能紹介：CustomApps | おかしん |
| 12/11 | make 基本操作編 機能紹介：Flow Control,Tools,Text parser | ばるす |
| 12/12 | make ドキュメント動線の話：ResourceHub | たにあん |
| 12/13 | make 検証：Make Bridge | おかしん |
| 12/14 | make 検証：Make REST API | ばるす |
| 12/15 | make 検証：AI Search | たにあん |
| 12/16 | make Community Hub：Overview | おかしん |
| 12/17 | make Community Hub：Academy Courses,Blog Articles | ばるす |
| 12/18 | make Community Hub：Showcase,CustomApps | たにあん |
| 12/19 | makeの管理運用の話：Github連携 | おかしん |
| 12/20 | makeの管理運用の話：実行ログと再実行と停止中リクエスト滞留 | ばるす |
| 12/21 | makeの管理運用の話：Connection権限管理 | たにあん |
| 12/22 | makeで作ってみた事例：（未定） | おかしん |
| 12/23 | makeで作ってみた事例：（未定） | ばるす |
| 12/24 | makeで作ってみた事例：（未定） | たにあん |
| 12/25 | makeの総論を語る | ばるす |
はじめに
どうも、たにあんです。今回はmakeの「AI Assistant」を触ってみたお話です。
生成AIが話題になってからiPaaSをまったく触っておらず、「いまさらかい！」といった内容も含まれているかもしれませんが、ご容赦ください。「こんなことやってくれんのかい！！！」って感動しました。よき時代になったものです。
なお、2024/12/15時点でAI AssistantはBeta版となっていますので、今後のアップデートで使用感や機能が変わる可能性がある点にご留意ください。
また、「AI」ということで本記事だけを読みにきてくださった方もいるかもしれないので、記事内で使用したmake用語については最後あたりに説明を記載しておきますので、そちらも参考にしていただければと思います。
AI Assistantとは？
Moduleの配置作成や変更、Filterの作成、機能の使い方や説明など、Scenarioの画面上から指示を入力することで、プロンプトにしたがって操作を実行してくれます。
Scenarioの画面右下から、「AI Assistant」を選択するとテキスト入力欄と利用例が表示されます。利用例を選択すると例文が入力されるので、参考にしていただくとイメージが湧きやすいと思います。
以下にAI Assistantを使ってみた例を載せておきます。GIFでお見せしたScenario自体に意味はないので悪しからず。
GIFには映っていませんが「Please create a scenario」とインプットする前に、どんなScenarioを作成して欲しいかについてすでにインプットしています。
また、AI AssistantはFreeプランでも使えます。Enterpriseプラン以外は実行数の制限があり、24時間でリセットという形になっています。上限があるとは言え、Freeプランでも30回/dayという十分な数がユーザー毎に用意されています。
評価まとめ
どんなことができるかなーと思い、色々試してみましたので、以下の表にまとめました。
| 操作 | 評価 | 所感 |
|---|---|---|
| Scenarioの作成や変更 | ⚪︎ | Scenario作成の最初にAI Assistantを利用して大枠の流れを作成してあげるとScenario作成が爆速になる（かも）。 |
| Moduleの接続や配置変更 | △ | 普通に操作した方が早い。接続は変になることが多い。Module同士を入れ替えるみたいなことは可能。複数のModulesをまとめて別の場所に移動するといった操作は難しそうな印象。 |
| Scenarioの説明 | ⚪︎ | 概ね良さげな説明が出力されます。Scenarioのノートに貼っておくと作成者以外の方にも理解されやすくなると思います。よく使うかもしれない。 |
| 機能に関する説明 | ⚪︎ | 正直、Help Centerを見なくてもAI Assistantに聞けばええなという印象。Communityで探すような内容も答えてくれる様子。 |
| Module のパラメーター設定 | × | プロンプトとModuleによりけりかもしれないが試した限りは無理そう。なんなら入力されていたModuleの設定が消えるということがしばしば。 |
| その他テキスト生成 | ⚪︎ | これはもう言わずもがな。メールの文章案やJSONなどなどなども作成してくれます。 |
Good
- 初回のScenario作成が楽になる
- Scenarioの画面で完結できそう
- Help CenterやCommunity使わなくてもなんとかなる気がします
- シンプルにこんなにやってくれるんだという驚き
- 他のiPaaS製品にも同じような機能あり
Bad
- 生成は遅め
- 他製品と比較しても動きは遅い
- アウトプットが出てこないことがある
- ワークしてくれたら心強い
- Module内の設定値はほぼ変更できない
- 他の製品はできたりできなかったり
- Enterを1回押すとプロンプトが送信されてしまう
- 海外製品あるある、Shift+Enterで解決
- 言語の壁
- ブラウザの翻訳機能で解決
makeのCommunityでもAI Assistantに関するスレッドを見つけましたが、否定的な意見もそれなりに挙がっています。アウトプットが出てこない安定感のなさもあるので、過度な期待は禁物です。
また、当然ですがmakeに対する基本的な理解は必須で、AI Assistantだけを使ってScenarioが正しく処理されるところまで完結させるのは難しいです。基本機能紹介の過去記事もご覧いただけると嬉しいです。
他製品との比較
みんな大好き比較表？あくまでも私が数十分ほど触った感想をもとにしていることにご留意ください。使っていく中で多少評価が変わると思います。
各製品間で大きい差はないです。各製品間でUIは似たようなものですし、Enter1回でプロンプトが送信されたりといったところも似たり寄ったりです。製品選定に大きく影響する内容ではないですがまとめておきます。
表の1列目はmakeの用語に揃えており、他製品では別の単語が使用されていますので、読み替えていただけると助かります。用語については、別途まとめていますのでご覧いただければと思います。
| 操作 | make | Zapier | Power Automate | Workato |
|---|---|---|---|---|
| Scenarioの作成や変更 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
| Moduleの接続や配置変更 | △ | △ | △ | △ |
| Scenarioの説明 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
| 機能に関する説明 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
| Moduleのパラメーター設定 | × | △ | △ | △ |
| 関数の生成や設定 | △ | △ | ⚪︎ | ⚪︎ |
| その他テキスト生成 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
| 日本語のアウトプット | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ |
その他
プライバシー関連
AIで利用されたデータのプライバシーに関する情報は、12/15時点では見つけられませんでした。
Microsoft Power Apps（Power Automate含む）の場合、以下のようなドキュメントがあり、学習されていないことやAzure AI上で稼働していること、OpenAIと顧客データがOpenAIと共有されていないことが明示されています。
makeはドイツの企業から提供されていることもあり、EUのAI Actの影響で何かしらの記事が公開されると推測していますが、こちらについても待ちたいと思います。
また、makeで使用されているサービスは以下にリストアップされています。AIについてはMicrosoft社とOpenAI社が関与していることが明記されています。
アップデート関連情報
AI Assistantに関する記事は見つかりませんでした。Communityでmake公式から「Betaリリースしたのでフィードバックをいただきたいです。」という内容の投稿は目にしたのですが、それ以外にはパッと見つけられませんでした。
新機能に関する発表はざっと調べた限り、Communityでmake公式が投稿、Blogで記事が公開、Webinarで事前にお知らせ、Help CenterのRelease Notes、CommunityのReleasesとして公開されていたりと、各所で発表されているようです。どこかにまとめて欲しい気持ち。
makeはまだまだこれからな点もありますが、この辺りも改善してくれると嬉しみ。
用語説明
Scenario：どのような処理を自動化するか定義されたもの。ZapierのZaps、Power Automateのフローに相当
Module：Scenario内で利用できる操作そのもの。ZapierやPower Automateのアクション、コネクタに相当。
make Community：ユーザー同士の交流場所。
おわり
AIの内容にも関わらず、あっさりした内容になってしまいましたが、こんなもんでしょうか。
他製品との比較でも記載しましたが、AIがScenario作成を手伝ってくれるという点については、他製品と大きく差が開いているわけではありません。
また、makeのAI Assistantが他製品と比べ劣っている部分があるとはいえ、makeにはAI以外の部分で特徴があります。AI Assistantですべてが完結するわけでもないので、makeの操作や設定方法の理解は必須になります。AI Assistantも有効に使いつつ、makeの良さを味わっていただければと思います。
AI Assistantは2024年7月にBeta版がリリースされ、12/15時点でもまだBetaなので、今後のアップデートにも期待したいところです。
それではまた3日後。
